第49話 - 3人目 -
本日は曜日感覚が狂っていたため、投稿し忘れてしまった一昨日の補填分になります。
楽しみにして下さっていた方、大変申し訳ありませんでした…
ダンジョン攻略終了です。
登場人物の会話が紛らわしいので、
人間は「」、魔物は『』での会話となります。
また、リエルとティアの会話も紛らわしいかと思いますが、リエルは明るいイメージ、ティアは物静かなイメージで読んでいただけたら幸いです。
25000pv
ありがとうございます!
「んっ…ここは…」
「気がついたか?」
魔力切れで気を失っていたリエルが目を覚ますと目の前には片目を瞑ったベルゼの顔があった。
「べるぜ?私は…?」
「起きなくて良いよ。天狐によると、ここは79階層にあるダンジョンの機能を司ってるダンジョンマスターの部屋だって。」
「そうなん…天狐ちゃんは!?」
「あそこ」
指を指した先では天狐とクロが戯れていた。
戯れて…というかリアルの最高の一撃を食らって尚、一方的にクロで遊んでいるようにも見えるが…
「私の最高の一撃だったんだけどなぁ」
「凄かったよ。アレ俺が食らってたら絶対死ぬから」
「私も死んでたと思う…」
リエルを膝枕しているベルゼの隣にはティアも座っていた。
「ティアもごめんね…迷惑かけちゃった」
「ん、気にしないで。私は臨時だけどパーティメンバーだから。」
「その事なんだけど」
ベルゼは考えていた。
ダンジョンが攻略できた場合、ティアのその後のことを。
最初はダンジョン攻略の臨時としてパーティを組んでいたが、ティアを含めて3人での連携は悪くなかった。というか非常に良かった。ベルゼとリエルでの対応は少し変わるが人間性もそこまで悪くないと思うし。
それに今回、天狐と相対してこの世界には自分より強い魔物がいる事が分かった。今まではたまたま出会わなかったが、自分より強い人間もたくさんいるのかもしれない。
そうなるとこのままティアと2人パーティではどうにもならない事が起こるかもしれない。
それならば魔法は使えなくても剣技に関しては素人のベルゼでも分かる程、凄腕のティアと、今後もパーティを組んでいた方が良いのではないかと。
「ティアはさ、ダンジョン攻略の間だけの臨時パーティって組んだけどさ、もし2人が良ければ今後は正式にパーティメンバーにならないかな?」
「「いいの!?」」
「うん。せっかくだしね。ティアの人柄も、3人での連携も悪くなかったし。」
「私は2人より弱いけどいいの…?」
「「そんな事ないでしょ」」
「でも私は魔法が使えない。私にはこれしかない。」
「その剣って私より全然凄いんどけどね」
「むしろ魔法で身体強化してないのにアレは凄いよ」
ベルゼは数日前のティアの戦闘を思い出していた。
身体強化もしていないのに、肉眼では見えない動きだったのだ。
「ありがとう…。ダンジョンがもし攻略できたら、私はその後どうしようかと思っていた。この先も2人と一緒に冒険したかったけど、私の力ではお荷物になってしまう。それに私と違って2人には目標があって羨ましく思ってた。」
「そんな大層な事はしてないんだけどね…」
「お荷物なんかじゃない!これからも私は達とパーティしようよ!」
「うん…」
「とにかくっ!ベルゼが良いんだったら私は歓迎するよ!」
「ありがとう…精一杯がんばる…!」
『主、話は終わったか?』
「終わったよ。俺もコレについて聞きたいし。…その前にリエルにも報告しとこうか。」
そう言ってベルゼは瞑っていた右眼を開ける。
開いた右眼は数日前にリエルが見間違えたと思った眼。普段の紅色ではなく、虹彩の部分が黒色、瞳孔の部分が金色に変色した右眼だった。
「っ!? ベルゼその眼…」
『うむ。主はおそらく魔眼を開眼したのであろう。我も見るのは初めてなのだが…闇の魔力を掌握する者が稀に開眼すると親族から聞いた事がある。故に、我はあまりその眼については詳しくは知らぬのだ。その親族に聞いて見ない限り、正しいとは言えぬが…』
「やっぱりあの時見たのは見間違いじゃなかったんだ…」
「え!いつ見たの?」
「ティアが1人で魔物と闘った時の最後の技の時!」
「……ああ、やっぱりそうだったんだ。」
「一瞬見えただけだったから見間違いかと思ったの」
やはりあの時だったのか。
その前の一撃は見えなくて、めっちゃ集中してたんだよね。
『既に開眼していたのか』
「厨二感凄いよな…」
「ベルゼかっこいいー!」
「心なしか師匠に通ずる雰囲気」
「お、おう……その親族の人って故郷にいるかな?」
『いるであろうな。奴はほとんど故郷をでない。この前、主と我の儀式で数十年ぶりに出たと言っていた故、故郷に行けば会えるであろう。』
「ならクロの故郷に行った時紹介してね。」
「了解した。」
「しっかし魔眼かぁ。こういう世界じゃお約束だろうけどまさか俺がねぇ…」
「ねえねえ!クロ!それって他にもあるの?どんな人が開眼するの!?」
『魔眼は何種類もある。我は魔眼を見るのは初めて故、どんなものがあるか分からぬ。だが、開眼する者は、その属性を極めし者が多いと聞いた事がある。』
「わー!なら私も可能性あるのかな!」
『あなたは開眼する可能性が高いよ!』
話に割って入ったのは天狐だ。
先ほどまでダンジョンのラスボスとして君臨していたが、油揚げ食べたさにダンジョンを出る事になった。(とベルゼは思ってる)
「天狐ちゃん!」
『体調はもう大丈夫かしら?主さま?」
「わわ!それって!!」
『ええ!あの一撃はなかなか良かったよ!思ってたより気に入っちゃった!これからよろしくね主さま!』
「主さまってなんか嫌だなぁ…笑 みんなみたいにリエルって呼んで欲しいかな…?それかリエルちゃん?笑」
『分かったわリエルちゃん!』
「なんか本当にリエルが2人いるみたいだな」
「ん。私も全く同じこと思ってた。」
『主、我からは以上だ。詳しくは故郷の者に聞こう』
「ん、そうだね。皆、急ぎじゃなくて良いみたいなんだけどクロのお母さんが遊びに来いって言ってるらしいからいずれ行こうと思うんだ。」
「ベルゼの目の事も聞きたいしね!」
「このモフモフがたくさんいる…!」
『モフモフ…』
『それなら早くダンジョンを終わらせてお揚げを食べて行きましょ!』
「そうだな。リエルはもう大丈夫?」
「うん、闘うのは厳しいけど動けるよ!」
「分かった!ならダンジョンを終わらせに行こう。天狐、どうすれば良いのかわかる?」
『ダンジョン核を壊すの!そしたらこのダンジョンはダンジョンとしての機能を停止するよ!それでおしまい!』
「ダンジョン核って…アレだよな?」
「ん。どう見てもアレ。」
「うわーどう見てもダンジョン核だね…!」
『そそ!簡単に壊れるから一思いにぶっ壊しちゃって!』
「一思いにって… ずっといた所なのに…」
『あんまり愛着はないもの!それより久しぶりに外の世界にも興味が出てきたし!』
「「「「(お揚げが食べたいんだろうな…)」」」」
ニコニコしながら急かす天狐。
声には出てないが一刻も早く外に出たいと顔に書いてある気がする。
「じゃあベルゼ!サクッとやっちゃって!」
「え、俺?ラスボス認めさせたのリエルでしょ?」
「えーそこはリーダーのベルゼでしょ!」
「私も同感。」
「…ここまで来てうだうだするの嫌だから、リエルが良いって言うなら壊しちゃうからね。」
「うん!」
簡単に壊れると天狐は言っていたし、全力の混種霊気も使って魔力が心許ないから大技じゃなくて良いよな。
そう思いながらベルゼはよく愛用する技、ブラックバレットをダンジョン核に向けて放つ。
被弾した核は防御壁で守られる事もなく容易く分散した。
『これでダンジョン攻略完了だよ!おめでとう!』
「ラスボスに言われるのって変な感じ…」
『まあまあ!これでダンジョンとしての機能は無くなるよ!』
「…! そういえばダンジョン内にいる魔物はどうなるの?消えたり外に溢れ出たりしない?」
『多分消えないよ!そうだったらアタシも消えちゃうしね!それにここにいる魔物はここが住処だから外には出ないと思うよ!』
「そりゃそうか…。ダンジョンにいた魔物ってどうやってここに来たの?」
「アタシはむかーしむかしに、このダンジョンを見つけて下まで降りてきたよ!その頃は他の魔物も少なくて、静かで居心地が良かったからそのまま住み着いたの!』
「住み着いたって…」
『他の魔物も勝手に住み着いて繁殖してったよ!たまにここまでくる奴がいたからボコボコにしたけどねっ!』
「あははは……」
ダンジョン内に住み着いてるなら外に溢れ出る心配はないだろう。ベルゼは今まで読んだり見たりした異世界転生物で出てきたダンジョンを想像したが、アレらはダンジョン攻略後、魔物が消えたり街へと溢れる事が多かったので不安な所だったが、安心したのだった。
「さてじゃあ、ダンジョンも攻略したし、外に戻ろうか!」
「「うん!!」」
ティアと天狐という新たな仲間も増え、無事にダンジョンを攻略した"冥府の使者"。
彼らはのちにダンジョン攻略パーティとして世界中に広まるのだが、それはまたいつか記せたらと思う。
ご覧頂きありがとうございました!!
次の投稿は明日の予定になります。
次話もよろしくお願いします!
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