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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第2章 - 中級冒険者編 -
48/142

第48話 - ラスボス -

昨日の投稿について。

仕事の疲れからか昨日が何故か日曜だと勘違いしていて、投稿致しませんでした。申し訳ありません。


ダンジョン探索も佳境です。

大丈夫48話もよろしくお願いします!





『グルルルルルルル!!!!』


「クロ!?」


「この魔物は!?」


「おい!いきなりどうしたクロ!」


『主、すまぬ!! 奴は"天狐"と言って光属性最上位の魔物だ。今の主では勝てぬかもしれないぞ!あれはヤバい!』



初めて見るクロの焦燥感がある雰囲気。

わざわざティアを気遣って、今まで姿を現わす事はなかったというのに、自ら影から出現するくらいの状況なのだろうとベルゼは理解した。


丸まっていた狐こと"天狐"は、我々に気がついたのか、クロの威嚇で気がついたのかは分からないが、目を閉じたまま顔をこちらに向ける。そして目をゆっくりと開ける。




ゾクリ…




"天狐"が目を開けた瞬間、吹き出る汗。

ベルゼは反射的に"混織霊気"を全力で展開する。

それほどベルゼはこの世界に来て初めて恐怖を感じるほどの濃密な魔力を感じた。






「嘘…だろ…」

「なに…これ…この魔物やばい…」


ベルゼが感じた凄まじい魔力はティアも同様に感じていた。


だがティアが不幸だったのは自分より遥かにレベルが高いベルゼがヤバイと感じる魔力を自らも感じてしまった事と、ベルゼが反射的に展開した全力の"混織霊気"の間近にいてしまったことだ。



「ねえ、待って。あの子私が相手しても良いかな?」


「…ばかなの!?アレと戦うの!?」


「リエル、私は全力で止めたい…」


「あの子がね、私を呼んでるの。」


「知らない人について行っちゃだめって教わらなかったの!?」


『主、娘の言う事は本当だ。その娘は光属性に愛されておるから奴の声が聞こえておる。』


「あ、待って。それって俺とクロみたいな感じ?」


『そうなるな。』


「クロはあの魔物の声は聞こえてる?」


『無論、聞こえている。』


「魔物どうしだもんな…それにしても…」


「ベルゼ!何故かその魔物の声が聞こえる!この魔物は何なの!!」


「落ち着けティア。詳しくは生きてたら後で話すけど、とりあえず味方だ!俺のペットだ。」


『主、ふざけてる場合ではないぞ。』


「ふざけてられる状況じゃないのは分かってる!」



「ねえベルゼ。あの子がね、『アルビナントの倅か、面白そうな主人を見つけたなー!』って言ってるけど」


「そりゃどうも。できればそのプレッシャーを抑えてもらえるよう言ってもらえるかな!」


「言ってみるね!」



アルビナントはクロのお父さんである。

狐さん、お父さんと知り合いなのね。

リエルがダメ元でそれを伝えた結果、先ほどまで感じていたプレッシャーが無くなった。


「はぁ…はぁ…」

「大丈夫か…ティア」

「大丈…夫…」

「下がって休んでな…」

「そうさせてもらう…」



ティアが下がり、呼吸を整えている間もリエルは"天狐"と会話をしている。



「『ごめんごめん!久し振りに誰かとお話しできるからテンション上がっちゃった! シャドウクリーパーの小僧が言った通りアタシは"天狐"で光属性の最上位の魔物だよ!ここに人間が来たのはもう50年前くらいだったかな?久しぶりに誰かとお話しできて楽しいー!』って言ってる!」


「え、その口調なの?」

「うん!そのまま言ってるよ!」

「随分魔力とのギャップがあるな…」


『ここに最後に来た人間は、アタシにダメージ与えられなくて尻尾巻いて逃げたんだよー!』


「…ギャップに耐えられなそうなんだけど」


『主、我慢するのだ。アレを怒らしては我らはマズイ…』


「分かってる…」


『でね!アタシがこのダンジョンの最後!この部屋の奥にある部屋が最終到達点なの!』



「「「ここが最終地点なの!?」」」



『そうだよー!アタシに勝つか、アタシに負けを認めさせたら終わり!でもアタシちょー強いからねっ!』


「リエル、ダンジョン攻略は諦めよう!」


「流石に分が悪い…」


『娘よ、悪い事は言わぬ、アレを相手にしたら死ぬぞ』


「ねぇ、クロ?前に私って光に愛されてるって言ったよね?」


『そうだが…』


「それってベルゼとクロと同じように、私があの子の主人になれるかもって事だよね?」


『そう…だが…』


「リエル!諦めろ!流石に無理がありすぎる!」


「いやっ!私あの子がほしい!!!」


「「「絶対死ぬから!!!!」」」


『あ、もしアタシに勝てなくても殺したりはしないよー!』


「「「絶対嘘でしょ…」」」


『アタシ嘘つかないもんー!むかーしむかし、まだアタシが小ちゃい頃にお腹が空いて倒れそうだった時に人間に助けてもらったことがあるから、人間は殺さないって決めてるの!』


「良い人もいるものだな」


『あの時食べた"お揚げ"っていう珍しい食べ物は一生忘れないなぁ…』


「聞き慣れない食べ物」

『我も記憶には無いな』

「私も食べてみたい…」

「稲荷神社かよっっ!!!!」




「ど、どうしたベルゼ…」


「すまん、つい衝動が抑えられなかった…そのお揚げって食べ物を俺は知ってる。というかおそらく俺だけしか知らないんだ…」


『「あーなるほどね。」』


「リエルもベルゼのペットもなんで納得してるの???」


『ペット…』


「ベルゼはね、ちょっと特殊な出自なのよ」


「そ、そうなの…?」


まあ、納得できる訳ないだろう。

だがこの場で、違う世界から転生したと言っても当然納得は出来ないだろう。



『小僧の主人、お主、お揚げを知ってるのかっ!!!』


「ああ、知ってる。作り方もな。」


『なんと!!!どこに行けば食べれるのか教えて!!!』


「あーー…あれはな、特殊な食べ物なんだ。とても美味かったでしょ?作る方法がかなり特殊だからなぁ。今すぐは作れないよ。」


『なんだ…と…』


頭を垂れる天狐。


「そうだな…そもそも作れるか分からないし、もし作れても持ってくるには、ここはしんどいから諦めるんだなぁ」


『いやっ!!!200年くらい我慢したんだよ!諦められる訳ないでしょ!!!』


「無茶言うなよ…油揚げ持ってくるのにいちいちダンジョン攻略しなきゃいけないとか無理だよ。」


「「たしかに」」


『うーん。…ならアタシが出向く!ここに何年も居たから飽きてたしっ!』


「「「えぇ…」」」


「そんな簡単に出れるの…?」


『…むりっ!』



ズコー!!!


「なんかちょっとリエルに似てるな?」

『主、我ちょっとイラッとしたわ』

「私は嫌いじゃなくなった」


『アタシがここを出るには、アタシが死ぬか、主人ができたらの2つなんだよ! でも死ぬのはありえないし、主人もアタシが認めなきゃ、なれないから普通に無理だったー!』


「リエル、やっぱり諦めよう」


「いくらリエルが強いと言ってもこの魔物は桁が違いすぎる」


「それは分かってるけどぉ」


『なら貴女の本気の一撃をアタシに見せてよっ!それでもし気に入れば主人にしてあげるから!』


「主人にしてあげるから。ってどんだけ油揚げが食べたいんだ…」


『悪くない話だと思うんだけどなあー!お互いにメリットしかないじゃん!』


「…天狐はお揚げが食べたい」


「こっちはこれほどの魔物が味方になる」


「俺とティアは無理だからリエル次第だけどね…」


「そもそも"認められる"とか"最上位"とかってなんなの…?」


「あーその辺も生きて帰れれば教えるよ」


「ねぇ、2人で話してる所悪いんだけど、私挑戦してきて良い?」


「ああ…天狐が本当にリエルを殺さないっていうなら良いけど…」


『さっきも言ったけど、アタシは人間を殺さないよー!』


「…なら良いんじゃないか?」


「わかった!」


『頑張ったら主として認めてあげる!そしたらお揚げたくさん食べさせてもらうからねー!』


「うんっ!」


「なんかリエルが2人いるみたいな…」

「奇遇だな。俺も全く同じこと思った。」



『今回は特別ルール! あなたが最高の一撃でアタシに攻撃する。それが納得できるような一撃だったら主にしてあげる!』


「わかったっ!」


そう言うとリエルはベルゼに向けて口を開く。


「とりあえず命の心配は大丈夫そうだけど、本気出すから魔力が無くなると思うの。あとはお願いして良い?」


「ああ…魔力の回復薬もあるし、頑張っておいで。」


「ありがとっ!」



天狐へと向き直り、目を瞑り魔力を高めるリエル。

リエルがここまで集中して魔力を高めている様子を初めて見るベルゼ。

この後繰り出される技は本当に最高の一撃になる。

そう直感したベルゼは無意識にリエルの挙動を見逃すまいと集中する。


リエルの心臓から巡る"何か"が物凄い速さで全身を駆け巡る。やがてそれは右手へと集中する。



「ふぅ」

軽く息を吐き目を開けるリエル。


「いくよっ!」

『おいでっ!』


「聖霊の煌!」


リエルの全身を巡る"何か"が更に加速、右手へと収束する。









「スーパーノヴァ!!!!」







口から溢れたリエルの最高の技。

右手より放出されたその光は一直線に天狐へと向かう。



『いいねっ!こんな攻撃は久しぶりだよっ!」


リエルから放たれた光は天狐に直撃すると大爆破し、部屋の中に煙が充満する。


「どうなったの…?」


「リエルの技は本気で凄かったけど、アレは本当に化け物だな…」


「えっ、この煙で見えて… ん!?ベルゼ!右眼が変!!」


「えっ…?」



ベルゼの右眼は先日リエルが一瞬だけ見たそれだった。

一瞬だった為、リエルは勘違いだと深く突っ込まなかった。


『主、こんな時に魔眼を開花したか!』


「魔眼…だと…?」


「詳しくは後で話そう。今は娘の方が大事だろう」


「そうだな。」



爆破で起こった土埃や煙が晴れてきた。



「「リエル!」」


『いやー!久し振りにワクワクしちゃったっ!この子いいねっ!」


魔力を使い果たし倒れていたリエルに駆け寄る2人。リエルの全力の一撃が直撃した天狐は至ってピンピンしていた。


「魔力が切れて気絶してるだけだな。よかった。」


「本当に殺さないでくれてありがとう狐の人」


『アタシは約束守るからね!それより思ってたよりこの子良かったから主人にしてあげるねっ!』


リエルが気絶しているため、ここからはクロが通訳を務めているのだが、クロには原文ままの通訳は無理がある。。


「良いのか?」


『良いよー!今の一撃はなかなか良かったね!思ってたよりこの子気に行っちゃった!』


「なら良いんだけど…」


『お揚げの約束は守ってね!アタシ約束破る人は…人間として見ないからね。』


天狐さん目が笑ってないから!

そのプレッシャーやめて!

ティアまで気絶しちゃうから!


「俺も約束は守るから!これ以上気絶する人間を増やさないでくれ!」


『なら良かった!』




こうしてゴルティアダンジョンのラスボスは全員無事で、討伐ではないが攻略終了となったのだ。

そして"天狐"という新たな仲間が増えるのだった。






ご覧頂きありがとうございました!!


前書きにも書かせて頂きましたが、昨日の補填を新しい休載日の明日にさせて頂きます。

次の投稿は明日になります。

次話もよろしくお願いします!


高評価、ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。


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