第42話 - ティア -
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「んんん!」
女が振るう剣は魔物の装甲に阻まれて弾かれる。
「流石に52階層ともなると魔物も硬い」
ここは52階層。
一部の上位ランク者には魔の52階層と呼ばれる階層だ。石の回廊がようやく終わり、開けた森地ではあるのだが、魔物の防御力がそれまでより跳ね上がるからだ。
女が戦っているのは"シェルサンド"
硬い甲殻で高い防御力を持つ蟹のような海老のような魔物。
2本のハサミと口から吐く水のブレスで攻撃をしてくる魔物だ。
振り下ろしたハサミを女は剣で防ぐも、もう1本のハサミの横薙ぎをかわしきれない。
「ぐぅ」
女は吹き飛ばされ立ち上がるも、シェルサンドはブレスの体勢に入っている。
「くっ避けきれない」
吐かれた水のブレスは一直線に彼女に向かう。流石にこのブレスを食らってしまったらかなりのダメージを負う。もし生き延びたとしても次の攻撃により死んでしまうだろう。迫り来るブレスを前に女は半ば自分の生を諦める。
「いや、諦めるのは早くない?」
そんな幻聴とも捉えられるような声と共に現れたのは闇属性の障壁。水のブレスは闇の障壁にぶち当たるも貫く事はできず飛散した。
「いきなり横槍入れちゃってすいませーん!」
「大丈夫ですか?」
「…ありがとう」
「良ければこのまま加勢しますけど、どうします?」
「助けてほしい」
「ベルゼー!良いってー!」
「わかったー!」
「という事だから俺が相手な!今日の晩ご飯はカニ料理だなっ!!」
もはや倒した気でウキウキのベルゼはいつも通り無詠唱で"地獄の霆"を放つ。
"シェルサンド"は名前からして土属性に思われるが、実際は水属性なのだ。水中ではなく陸上に存在している為、その様な名前がついたのだが、新人冒険者はよく勘違いをしてしまう。
ベルゼから放たれた雷は触れたら感電するため、甲羅の高い防御力を誇っていても関係ないのだ。もちろん雷属性にはダメージが少ないのだが、水属性に対して効果は抜群だ。
「リエルー終わったよー!」
身体強化をしてカニを引きずりながら2人の元へと歩いてきたベルゼ。
「お疲れさま!」
「ありがとう」
「気にしないで下さい。それよりこのカニはどうします?」
「それは私には倒せなかった魔物。あなたが倒したから私は何も言えない」
「じゃあありがたく。…良かったら晩にこのカニ食べません?」
「ん、流石にそれは申し訳ない」
「俺たちもいきなり割って入っちゃったのでお詫びに!」
「ん…」
「倒したベルゼが言ってるんだから良いじゃないの!」
「…いただく」
「……いやーすいませんね、私たち料理出来ないんでした…」
「ん、お礼」
「かたじけないでござる…」
晩ご飯に誘ったものの料理がからっきしできない2人だったが、手伝いたいと言い出した女剣士の手際の良さに圧倒され、そのままお願いする事になったのだ。
「へー!ティアって言うほへ」
「ベルゼ、食べながら喋るのはお行儀悪いよ!」
「もぐもぐごっくん。ごめんごめん」
「私もそれよく怒られる」
「ねー!ティアちゃんはソロで52階層まで来たの?」
「ん……前まではパーティだった。色々あって抜けてその腹いせって訳じゃないけどダンジョンに潜って魔物に当たってたらこの階層まで来てた」
「八つ当たりで52階層まで来るとかすげーな…」
「ティアちゃん…」
「んっ」
「原因は男でしょ?」
「…なんで分かるの」
「お姉さんはなんでもお見通しなのよ!」
「…もともと友達だった女の子とパーティを組んでたの」
「「ふむふむ」」
「その子と一緒に冒険者になって、たくさん冒険してきた。数年冒険の旅をしてたまたまその途中で知り合った男の人と仲良くなって私はその人とお付き合いしたの。そのままその人もパーティに加わったんだけど…」
「その友達に取られたって訳ね?」
「…そう」
「それでパーティを抜けてダンジョンに潜って魔物に当たってたと」
「そぅ…しかも宿で彼の部屋に行ったら友達と彼が裸で寝てて…うぅ…信じられない!!!」
「(NTRかよ…)」
「よしよし、お姉さんの胸で気がすむまで泣きなさい」
「うぅ…ありがとう…」
「話は分かったけど、これからどうするの?まだソロで魔物に八つ当たりするの?」
「…さっきの魔物に歯が立たなかったし上階に戻って魔物を討伐する…」
「それならさ!私達と一緒に下に降りようよ!」
「いいの?」
「ベルゼも良い?」
「今更1人2人増えても変わらないし、多人数での戦闘の練習にもなるからね」
「ありがとっ!じゃあティアちゃんよろしくね!」
「んっ!」
こうして臨時ではあるが3人と1匹のパーティとなり、ベルゼは前世振りにカニを堪能するのだった。
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