第41話 - 記録の杖 -
昨日は投稿出来ず申し訳ありませんでした。
体調が悪化してしまい、夜に病院に行って1日入院してました。。
すっかり体調も良くなって来たので今日は無事投稿する事ができました。
ダンジョン探索2日目。
今日も今日とて2人はダンジョンに潜っている。
昨日は順調に進んだダンジョン攻略だったが、昨日到達した38階層からスタートした今日は足取りが芳しくない。
というのも40階層から出現する魔物のレベルが高くなり、またその数も増えた為だ。
今更だがダンジョンについて少し話そう。
この世界にダンジョンと呼ばれる所は発見されているだけでも数ヶ所点在している。
いつから存在し、一体どんな目的で造られたのか。人が造ったのか、それとも自然に造られたものなのか。それすら未だに不明。とにかく謎が多いのだ。
ダンジョンについての情報と言えば、最深部にダンジョンコアと呼ばれる、ダンジョンを成している核が存在していて、核を破壊すると攻略ドロップとして非常に貴重なアイテムが手に入る。
これは昔、ある地域に存在したダンジョンを唯一攻略した者がいたのだ。そのことは現在に至るまで言い伝えられ、文献やお伽話として残っている。
存在したというのは、つまり現在ではそのダンジョンでは無くなったという事だ。
王都の北にそびえる山々の麓にそれはあった。
その者によって攻略されたダンジョンは今や、ただの洞窟となっている。
だがそれだけなのだ。
長年研究している者は多いが、何故、魔物が出現するのか。何故、ダンジョンにおいて魔物を倒すとアイテムがドロップするのか。様々な謎が未だに解き明かされていない。それがこの世界のダンジョンなのだ。
「昨日と打って変わって進みが悪くなったなぁ」
「少しずつ魔物も強くなってるし、群れで出てくる数も増えるからね」
「そりゃそうか。しっかし、途中からリスタートできるなんて随分楽出来るよね」
「そうだね!魔道具の技術が発達して、この "記録の杖" が作られたらしいんだけど、すっごく便利だよね!」
"記録の杖"
上下がフォークの先みたいな形状をしていて2分できる杖。
下側を地面に刺して、杖を上下で半分に折る。別の場所で上側を地面に刺すと、杖の下側に転移できる便利な魔道具だ。だがこれは約500m圏内でしか効果が発動できない。それほどまでに転移というのは極めて難しいのだ。
元はと言うとダンジョンで出土した"記録の珠"。これを改良した物なのだ。
これは転移元と、転移先で2つに分けられる。
転移元の方で珠を破るともう一方に転移する。
転移できる者が少ないこの世界では大変便利なのだがダンジョン内もしくはダンジョンに限りなく近い所でしか使えない謎の珠だ。
ダンジョン同様解明はあまり進んでいないが、こちらはダンジョン内でのドロップ率はかなり高い。その為、ダンジョンに潜る冒険者は必ずと言っても良いくらい持参している。
ちなみにベルゼが使える転移魔法は全て、ダンジョンにおいて効力を発揮できなかった。ベルゼ曰く「なんか拒否られる感じ」との事だ。
各地のダンジョンの前には露店が立ち並び、そこでこの"記録の杖"は売られている。お値段金貨5枚。
そうこうしている間に2人はスタートした38階層から現在48階層まで来ている。
「よし、次の魔物の群れが終わったら休憩しようか!」
「おっけー!」
「気配察知からすると次の群れはもう少し先かな?」
石で出来た回廊を進む。
すでに方向感覚は無いが、道は分かれていないので迷う事なく進んでいる。
突き当たりを右に曲がり小部屋を覗きながら、しばらく歩く。すると、
「リエル!」
「来たねっ!」
待ち構えてたのは、骨が鎧を着た "ボーン・ソルジャー" と後方に構えるは、骨がローブを着た "ヘル・マジシャン" だ。
「CランクとBランクの魔物だな、出てくる魔物が明らかに強くなってるな。」
「ボーンソルジャーは私が引き受けるから、ベルゼはヘルマジシャンをお願い!」
「おっけー!」
2人は剣には剣を、魔法には魔法で対抗すると決めていたのだ。
本来ベルゼの魔法で吹き飛ばせば簡単なのだが、ここは狭い石の回廊、大技は使えない。
そしてリエル曰く「剣は振らないと鈍る」らしいのでそういう布陣になったのだ。
とはいえ、リエルから「何かあった時に剣も多少使えるようになったら良いと思う」と言われてしまったベルゼは魔法で象った剣を使っていた。
「ライトニングスラッシュ!」
光る斬撃がボーンソルジャーの体を二分する。
そして斬撃で切りそびれた骨には直接剣を振るう。
無残にも背骨を両断された最後のボーン・ソルジャーはガラガラと音を立てて崩れ落ちた。
この狭い回路の為、リエルの光る斬撃は普段より小さくなってしまう。そういう所が昨日より進行度が遅くなっている所以なのだ。
「よし!終わった!」
「こっちも終わったよー!」
ベルゼはベルゼで雷を剣のように具現化し、ヘルマジシャンを両断していた。魔法には魔法 とは…
「最近その雷の剣をよく使ってるよね!」
「そうだね、この狭いダンジョンじゃ放出系の魔法は不便だからね…」
不便というより放出系の魔法を使った為に落盤し生き埋めになった魔法使いがいる。
そんな話をギルドで聞いてしまった為、この石廊では剣士のスタイルなのだ。
光属性の剣が使えれば闇属性の魔物にはかなりのダメージが入るのだが、あいにくベルゼは使えない。
闇は闇でダメージが威力減衰してしまう可能性がある為、こうして雷属性の剣を使用しているのだ。
「こういう時の為に剣の扱い方を習っといて良かったよ…」
「私も完全な剣士じゃ無いからなんとも言えないけど…それにしても最初ベルゼが剣を持った時は素人感丸出しだったもんね!!」
「今まで剣なんて振った事無かったんだもん。仕方ないだろぅ…」
強いて言うなら修学旅行の時に買った木刀くらいなものである。
それも3日経つと部屋の片隅で埃を被る事になったのだが…
「よし、剥ぎ取りも終わったからここらで休憩しようか。」
「さんせーい!私、お腹空いちゃった!」
時刻は昼。
ダンジョン内は太陽が見えないため、時間の感覚が分からない。そのため2人はこうして体内時計で休憩を取る。
「今日はアルスローの宿で買い溜めした料理でーす!」
「いえーい!」
アルスローを発つ前、宿で無理言って大量に作ってもらった料理を"収納"に入れておいたのだ。
もっとも宿側としては儲けになるためありがたがってはいたのだ。
「やっぱりこの世界の料理は美味しいよなあ」
「ベルゼがいた世界は美味しく無かったの?」
「んー美味しいは美味しかったけど、不味いとこは不味かったんだよね。その点この世界はどこも美味しいから食べすぎちゃうんだよね…」
「でもベルゼ、それだけ食べても太らないじゃんっ!」
「え、リエルだって太ってないじゃん?」
「もうっ!私も気にはするんだからねっ!」
そんなやり取りをしながら美味しいご飯を満喫した2人。午後からまたダンジョン攻略を再開するのだった。
48階層を抜けると自然とダンジョンが明るくなり始める。
「確か、この薄暗い雰囲気って49階層でお終いだったよね?」
「うん!50階層からは森っぽくなるよ!」
「って事はここでボスが現れるのか」
「そうだね、49階層のボスは"アンデット・ロード"って言うんだけどまあ闇属性でも上位の魔物だね」
「なんか今、変な感じしたけど?」
「あ、分かった? "アンデット・ロード"なんて大層な名前だけど、死者を無理矢理起こして使役する技とか使ってくるの」
「あぁ…それでリエルさんはおこなのね」
「そう。本来この世界に蘇る筈のない死者の魂を無理矢理、引き戻す事に私は看過できない。」
「なるほど…」
「なので一瞬でぶちのめします」
「ひぇ…」
今までに感じた事のないリエルの怒り。
死者に対してリエルは人一倍に敏感なのだ。
自身も一度前世で死んだ経験からなのか…
ベルゼには分からなかったが、とにかく普段陽気なリエルがここまで怒りの感情を露わにしている事を初めて見た。今後リエルを怒らすのはやめておこう。そう心に誓い、同時に階層主の"アンデット・ロード"の運命はここまでなのだと半ば憐れみを抱くのだった。
ご覧頂きありがとうございました!!
次の投稿は明日の予定になります。
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