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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
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第4話 - 知らない子 -

4話目です。

よろしくお願いします。



「う…ん……また目が…覚めてしまった……今日もまた…あのクソ上司に怒鳴ら…………れない…?」



そう、仕事中に事故って死んで転生したのである。

パワハラ上司に怒鳴られる事は無くなったのだ。



「そうか。昨日は色々あり過ぎて宿に着いた途端眠ってしまったんだったな……とりあえず起きるか…」




まだ気だるい身体を起こし部屋から出る。

廊下に出た途端いい匂いが鼻をくすぐる。



「腹も減ってたのに寝ちゃったんだよね」



匂いのする方へ釣られて向かう。

すると食堂と思しき場所、木製のテーブルが並び、宿泊客で賑わっている。



「あら起きたのね!ご飯はどうする?」


「おはようございます。頂きたいです」


「なら1食銅貨4枚ね、それと料理作ってる間に顔を洗ってきなさいな」



 まだ俺は目が半分空いてないのに昨日の女将さんっぽい人は今日も元気だ。銅貨を渡すと指で廊下を指す。



「あっちに洗面所があるから。水は汲んであるからそれを使ってね」


「ありがとうございます…」



 とぼとぼと覚束ない足取りで指された方へと歩き出すし、なんとか辿り着いた洗面所は、前世の洗面所と大きくは変わらない造り。

 大きな四角の石をくり抜き、水も溜めれて排水も下に流れるような感じ。まるで洗面台だな。



 前世と違う点は蛇口が無い代わりに桶に水が張ってある。それと前世に比べると洗面台が全体的に少し高いな…?この世界の住人は背が高いのだろうか。そんな事を考えながら洗面鏡を覗く。











「えっ……………」











 思わず絶句した。知らない顔。

 物凄くあどけない年齢も10〜12くらいだろうか。瞳は赤色。男の子なのか女の子なのかも分からない中性的な顔。

 鏡を見ながら思わず顔を触る。動きは反転。えっ…どういう事なの……


 前世の俺は27歳で見るからに男だと分かる顔だったよな。髪も短髪だったのがボブくらいになってる。えっ…どういう事なの……





 あまりに信じられなくてしばらく立ち尽くしていると女将さんが様子を見にきた。




「料理できたけど…ってどうしたの?」


「女将さん、これって鏡だよね?」


「あんたまだ寝てるのかい?」


「いえ、物凄く目が覚めました。一応聞きますけど、俺の顔って鏡に見えてるのと同じですよね?」


「ははっアンタまだ寝てるね!同じ顔に決まってるじゃないか!朝食にコーヒー付けてあげるから早くおいでよ!」











 食堂の椅子に座ったのは、その15分後だった。あまりに衝撃的だ。27年間見慣れた顔のまま転生してると思ったが全くそんな事なかった。

 新しい人生だからそりゃそうなのか…?冷静に考えたら確かに視点も低いし、声も高いような気がするな。



 昨日はあまりにも余裕がなかった。だが流石にいくらなんでも…気がつけよ…俺。


 ちなみに朝から恐縮ではあるが、息子さんは付属してたので男で間違いない。ただ当分は慣れないなあ。












 さて、そろそろ腹の虫が騒ぎ過ぎるから料理を頂こう。

 異世界でのイメージ通りの料理。パンにスープ、サラダに腸詰肉。ボリュームもかなり多いし、なによりうまい!!




 しかし昨晩から何も食べてなく、完全に目が覚めた俺の敵ではなくあっという間に平らげた。ペロリ賞である。味も良かったし、ボリューム満点。これは毎食楽しみだなあ。



「良い食べっぷりね、はいこれサービスね」


と女将さんがコーヒーを差し出してくれた。


「ご馳走さまでした。美味しかったです!」


「そう、なら良かった! あなた名前は?どこから来たの?」


「ベルゼと言います。出身はその……物凄く田舎からきました」


「まあ深くは聞かないから安心しなよ。冒険者になりにきたのかい?」


「まあそんなところですね。昨日登録してきましたよ。」


「そうかい、あなたみたいに若くて可愛い顔の子が冒険者ってのもなんかなーって感じだよ」



 女将さんはそう言いながら目の前に置いた、湯気の立つコーヒーを啜る



「一応男なんだけどね…はは…」


「冒険者に憧れるのは男の性ね…」





 既に人も疎らになった食堂でそのまま少し話をした。勝手に女将さんと呼んでいたが、やはり女将さんで、名前はメーベルさん。旦那さんのペドラさんと2人で宿を切り盛りしている。旦那さんが見えないのは、料理と食材の仕入れ担当で、今は昼の仕込みが忙しいそうだ。


 2人には今の俺くらいの年齢の子供が居たそうなのだが、数年前に森で採取のクエストの最中にそこを縄張りとしていないオークと呼ばれる豚の魔物に襲われて…という話だ。



 とても寂しそうだったが、一呼吸置いて吹っ切れた顔に戻る女将さんはとても逞しく見えた。

 普段、気丈に振る舞ってるがそんな一面もあるのかと思った。









 自室に戻り今後の事をを考える。



【今後の課題】

1.金銭面

2.この世界の状況把握

3.冒険者としての活動


 1と3は同時に解決できる問題だよな。

 冒険者として活躍していけばその分報酬も手に入ると。宿もあと1泊できるし、延長もできる。そうなれば今日は情報収集に徹してみようかな。



【今日の予定】

◎街での情報収集

◎ギルドでの情報収集


 街での情報は図書館みたいな所があれば良いんだけどなあ。なければ街の人に話しかけて聞いてみるか。

 ギルドでは魔物やどんなクエストがあるかだな。

 余力があれば魔物を討伐して稼ごうか!





ご覧頂きありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

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