第39話 - ルーファスの街 -
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俺は冒険者として失敗してからと言うもの盗賊を生業としている。
最初は順調だったんだ。自分でもいつからかわからない。歯車が噛み合わなくなっていた。何をやっても結果は出ない。それどころか想定以上の失敗が続いた。
大抵冒険者を失敗した奴は商人になるか、田舎に帰って稼業を継ぐか、俺みたいにならず者となる場合が多い。
俺は全てを失ってからはこの身一つで他人から奪う、ならず者へと落ちたのだ。俺が全てを奪われたように他人からも奪うのだ。
もともと身体能力は高い方だと自負している。
その身体能力と、そして唯一使える魔法 -強奪- をうまく活用して他人から金品や食料を奪っていた。
この-強奪- はどんな物でも盗れるわけではない。
いまいちよく分からないが、人が手に持っている武器屋や装飾品は盗れる。一部だが身につけている物は盗れない。
前に試したが、服や下着など、直接身につけている物を盗もうとしたがダメだった。一応俺も男だからな。試してみたくなるのが男の性というものだろう。
盗賊を始めて以来、3級犯罪者となってしまってからもう暫く街には行っていない。
身分証に使っていたギルドカードの有効期間が切れた為、どこの街にもある"登録の魔石"の所為で街に入ろうとするとその場で取り押さえられるからな。
普段は俺みたいな奴と連み、街に向かってる商人を襲ったり、街道で強奪したりしていたのだ。
前もそうだった。あの時は商人から馬車や荷物を奪い、その成果を肴にアジトで呑んでいた時だった。
年端もいないガキがふらっと現れたと思ったら、気がついた時には全員を縛り上げていたのだ。
他の連中はそのまま街に引き渡され死罪か、炭鉱奴隷としてこき使われている。炭鉱での労働は危険過酷なものだ。死人もすぐ出る。ほぼ死罪みたいなものだな。
ガキに捕まったものの、商人から街の衛兵へと引き渡される直前、運良く逃げ出した俺は前にいたエリースから遠く離れたこのブランター地方まで命からがら逃げてきた。
だが結局どこいてもやれる事は同じだなのだ。
犯罪者の俺はまともな職にもつけず、生活に困った俺は盗賊稼業をする事にした。今日も今日とて、この地に集まった俺と似たような奴等と手を組み、いつものように商人を襲っていたんだ。
突然、女が現れたと思ったら他の連中も含めて、一瞬で、のしちまいやがった。
他の連中だって昨日今日に始めた素人じゃない。
むしろ、エリースの時に連んでた奴等より腕っぷしは良い。それを一瞬で…
「あなた達は盗賊になった事を後悔するのね!」
「ぐっ…!お前みたいな女に負けるなんて!」
「あら、女だろうが男だろうが関係ないでしょ?」
「ちっ!クソっ!!」
「お前、負けるも何もこの女に一撃で倒されたじゃねえか!」
「っせえな!おいてめえ!覚えてろよ…!」
この女が一瞬にして俺たちを蹂躙したんだ。10代後半だろうか。若い女に敗北したのだ。
見た目からして冒険者だろう。だが、コイツも強かったが、前にやられた奴はもっと若くてなんかこう…悪魔みたいなガキだったが、最近の若い冒険者はやたらと強いんだな……
「お前らはこのままここで死ぬか、街で引き渡すかしか道は残ってないよ。覚えとく事はないね」
げっっ!!!!?
なんでここにあの悪魔が…!!!!!!!
あの時俺たちを捕まえた悪魔だよなっ?!
男のトラウマが蘇る
身の毛もよだつ程の魔力。
それを持って、大勢いた仲間は蹂躙された。
この男は魔力を可視化できる眼を持っていた。
生存本能が全力で警鐘を促す圧倒的な魔力。
コイツだけは本気でヤバイ。
捕まってから盗賊である事、生まれてからしてきた悪行を悔いた。
まさかまたあの悪魔と出会うとは。
3度目はもう無いだろう。
もし"次"があるなら今度は真っ当に生きよう。
そしてこの男みたいな化け物と2度と出会う事のないように生きよう。そう再び後悔するのだった。
「ここがゴルティア地方の主要都市、ルーファスかぁ!やっぱり新しい街はワクワクするなあ!」
「ここはダンジョンが発見されてからダンジョンにくる人達が多くなって栄えた街なんだよ!」
「そうなんだ、そういえばリエルは前にここのダンジョンに潜ってたって言ってたっけ?」
「そうそう!レベルアップとダンジョンでドロップするアイテム目当てで潜ってたの!懐かしいなぁ」
「じゃあ色々とお詳しいんでしょう?」
「そうだね!それなりには知ってるかな。私は58階層で目当てのアイテムを手に入れちゃったから潜るのをやめたけど、ここの最深到達は78階層で、ゴールは地下100階層とも200階層とも言われてるけど到達した人はいないって話だよ!」
「前人未到って燃えるな…!」
「そうだね!今回はダンジョン未体験のベルゼくんのご要望で来たけど、目標はどうする?」
「もちゴール!と言いたいけど、100とか200まで行ってもゴールしなかったら考えものかなぁ」
「ずっと潜ってる訳にもいかないからね…」
「そうそう、ルーファスに来る道中でも話したけど、色んな所を見たいからね」
「私も各地の魔物を討伐したいし!」
「そうだな…とりあえず100階層を目指して、もし到達できたらその時にまた考えようか!」
「うんっ!」
そうと決まればのんびりしてはいられない。
まず、宿を取る。ここは"夕焼けの洞窟"という宿で、リエルが以前ダンジョンに潜る際に拠点として泊まっていた宿である。
扉を開け入った瞬間に受付の女の子が叫び出したから本気で驚いたが、当時リエルと仲良くしていた為思わず叫んでしまったそうだ。
リエルは宿の受付嬢と仲良くなる特技でも持っているのか…?
宿で一休みしてからギルドへと向かう。
なんでもダンジョンに潜るにはギルドへの申請が必要だとの事。
一通りの説明を受け、書類にサインをする。
これはダンジョン内における規則が書いてあるのだが、ダンジョン内における犯罪、破壊行為はルーファスの領主の元で裁かれる。万が一死んでも責任は自分で持つ。 と、大まかにいうとこんな物だ。
ちなみに、ルーファスの領主は犯罪行為については全く許容をしておらず、厳正に罰せられるとの事だった。念のため軽犯罪でも気をつけなくては。
その為、ダンジョン内は魔物がいなければ非常に安全との事。もうよく分からないよね。
「ふーう。宿は落ち着いてて、ご飯も美味しいし、なかなか良い街だね」
夕飯を終え、部屋に帰ってきた2人。
ベッドでゴロゴロしながら雑談をしている。
「そうでしょ?部屋が空いてて良かったね!」
「そうだなぁ」
「明日からはダンジョン頑張ろうね!」
「前人未到に到達するんだ。気合い入れてこう!」
「なにそれ面白いねっ 明日は何階層まで行けるかなぁ」
「目標は決めないよ!命を大事にガンガン行こう!」
「うん!ガンガンいこうね!」
旅の疲れと満腹感から睡魔に襲われながらも最後の気力で振り絞ったベルゼはそのまま夢へと落ちていくのだった。
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