第34話 - もふもふ -
34話です。
書き留めていたストック全消えのショックから少し立ち直ってきました。。
もうすぐ10000pvですが、今後も頑張って行くのでよろしくお願いします…!
あと数話で第1章が終了になります。
「んっ…もふ…もふぅ…」
「主。起きるのだ」
「もふもふふっ…」
「寝ぼけていないで起きるのだっ」
「んーおはようもふもふ…」
「我はもふもふという名では無いぞ」
「ああ、クロか…おはよ…竜は!?」
「………ご覧の通りだな」
「おお…良かったあ……」
「主よ、本気で闘うのは良いが上空で魔力切れになる事は考えてなかったのか?」
「一応フライはできるくらいは残したつもりだったんだけどねえ」
「我が障壁で受け止めて無かったら死んでおったぞ」
「うん、ありがとうクロ」
「例には及ばぬ。主を守るのも我の役目」
「感謝してるよ」
少し前までは草原だったこの地。
辺りは既に草木は消し飛び、地面は抉れ、大きなクレーターが多く作られた。
クロによって助けられたベルゼはそのクレーターの中で目を覚ますのだった。
「おーーーい!!」
「すげえなコレは…」
「べるぜえええええーーーー!!!」
「「無事かーー!!」」
「ああ!無事だぞー」
リエルとギルド長のビエラ、それに"金色の夜明け"が様子を見に来てくれた。ベルゼはクレーターの上に向かって手を挙げて無事を知らせる。
「べるぜがぶじでよがっだぁぁあ」
「よしよし、ベルゼさんは無事だからそのぐちゃぐちゃな顔をローブに埋めないでくれ…」
「あらぁ〜リエルちゃんって泣き虫なのねえ〜」
「まったく…その辺にしといてやれ。しっかし時間稼ぎだと言っていたのに、まさか竜を倒すとはねえ」
「すいませんギルド長」
「アンタが死ななかったし、約束も守ったから私は何も言うまいよ」
「しっかし強ぇとは知ってたが本当に竜を倒しちまうとはなあ」
「マークスさんわざわざ見に来て下さってありがとうございます」
「気にするな。それに俺らが来たのはたまたまだったんだよ」
「そうそう〜。街中で今にも泣き出しそうな…というか既に泣いてたリエルを見かけてね〜話を聞いて来たってわけよ〜」
「アルノルト様の屋敷の帰りに私も遭遇してね。様子を見に来たってわけ」
「そうだったんですね」
「「しかし、竜を討伐した事も驚いたがお前がまさかあのシャドウウルフをテイムしていたとはな」」
「ああ、そうですね。皆さんに言おうとは思ってたんですけど、タイミングがなくて…」
「まあ言い出しにくいわよね〜」
「あの時皆さんを助けに行った時、俺も攻撃されたんですけど、闇属性の攻撃耐性があるので効かなくて、ちょっともふもふしたら懐いてくれたんですよ」
「ちょっともふもふってお前…」
「でまあ、懐いたしテイムという形になったんですけど、あの時このクロは命令を強制される首輪を付けられてまして…無理矢理、侵入者を排除させられてたんです」
「そうだったのねぇ〜」
「うむ、その件についてはすまない」
「あ、その件はすまんって言ってます」
「お前シャドウウルフと会話できるのか!?」
「ええ、色々あって話せますね」
「私も最初信じてなかったけど、最近ベルゼとパーティになってから話せるようになったよ!」
「「「「「 うそだろ………」」」」」
「というわけです。なかなか言い出せずすいません」
「それについては気にするな。魔物は魔物だが、テイムされた魔物となったなら心配要らないし、過ぎた事を気にしても仕方ないしな。それにそのクロのおかげで俺たちもまたやる気になれたんだし」
「そうね〜」
「「その通りだ」」
無事クロのことを受け入れてもらえたようだ。
「それじゃあこの話はお終いにして、コレをどうするかね」
「そうですね。」
「竜はだいたい王都で買取を行うのは知ってるか?」
「そうなんですか?」
「知らないのか。まあいい。王都で売る事によって、その功績で王族や有力な貴族から取り入れられたり、良い位に士官される近道になるからな。」
「なるほど」
「だから普通は王都まで運んで売るのだ。お前の場合、この大きさでも持ち運べるんだろう?私が書類を書くからそれを持っていけ」
「お断りしますよ」
「そうだな、今から書いて明日には……は?」
「書類は要らないですよ。前にも言いましたけど俺誰かに仕える気は全くないですし、今のところジョブチェンする気もないですからね」
「正気か?」
「正気ですよ。それより、モンスターフェスティバルの討伐数に入れておいてください」
「お前、アルスローで売る気なのか…?」
「え、当たり前じゃないですか!俺優勝賞品の杖狙ってるんですよ!」
「「「「「正気じゃない…」」」」」
「いや、まあギルドとしても素材が手に入るのは有難いのだが…アンタみたいな冒険者は初めてだからな…」
「俺からしたらよくみんな誰かにこき使われたいと思うなと思いますけどね。とりあえず運ぶのは俺が、素材については全部お願いしま…」
「待って!ベルゼ、全部は辞めなさい。竜の素材は高値で売れるけど、武器や装備品の強化にも使えるのよ。少し手元に置いておくべきよ」
「そうなのか!ギルド長、すいません、全部じゃなくても良いですか?」
「ああ、もちろんだ」
「良かった。リエル、どの素材にするかは後で話そう」
「そうしよ!」
♢アルスロー 領主の館
「アルノルト様ぁ!」
「どうしたのじゃノックもせず!」
「竜が…竜が!」
「ついにここまで来てしまったか…」
「いえ!討伐されたとの事です!」
「なんじゃと!!!!!」
「ギルド長からの情報ですので、間違いないかと!」
「して、討伐したのはどのパーティじゃ?」
「それが…パーティではなく単騎で。との事です」
「まさか……」
「はい、例のベルゼ1人によって…です」
「信じられぬ。強いとは知っておったが流石に竜を単騎で…」
「そうですね。ですが、アルノルト様!アルスローは無事守られました!!」
「「…………」」
「「良かったぁぁあああ!!!!!」」
「…そうじゃな!じゃが、ますます彼奴を王家や他の貴族の手に渡るのは惜しくなったのう」
「ええ、無理矢理にでも引き込めれば良いのですが…」
「迂闊な事をして竜を倒した男を敵にするのは避けたいのう。小国をも滅ぼす竜を倒す男じゃ」
「無理矢理は良くないですよね!ええ!」
「しかしのう手をこまねいておるだけじゃ他に取られてしまう…」
「もういっそ思ってる事を直接ぶつけてみてはいかがでしょうか?」
「いきなり投げやりになるのはやめるんじゃ。……じゃが、それもありかもしれぬな」
「竜討伐の祝いとして晩餐を開くのはどうでしょう?邪魔も入らず込み入った話もできましょう」
「いいのうそれ!よし、すぐに取り掛かるのじゃ!馬車を出し、すぐに迎え…いや、ワシが直接行った方が断りにくいかのう?」
「そうですね、流石に領主様直々のお誘いとあれば、いかに冒険者でもお断りできますまい」
「そうじゃの!ならばすぐ支度にかかるのじゃ!」
♢
「マジかよ…本当に竜だ…」
「すげえ…」
「本当にもう動かないのよね!?」
「ソロで討伐だなんて…」
「話に聞いた時は信じられなかったけど目にすると凄いな!」
ここはギルドに併設された倉庫だ。
冒険者が討伐した魔物の素材や、商品、備蓄品など色々な物が並んでいる。
流石に竜を商業ギルドの買取窓口に引きずっていく訳にも行かず、"収納" に入れて倉庫に直接持ってきたという事だ。
アルスローでも数少ないこの様な事態にヘレンの上司と共に数人の職員が集まった。
「ベルゼさん買取の件はギルド長から伺ってます。魔石、眼、爪、髭、鱗少々以外は全てギルドに売却で間違いないですか?」
「はい、大丈夫です」
「分かりました!売却金額はかなりの額になってしまうので素材と一緒に後日お渡し、という形でよろしいですか?」
「はい、それも大丈夫です!」
「分かりました!こちらからは以上ですね!」
「よろしくお願いします〜!」
「では今後について話そう。素材及び売却金額は1週間後にお支払いを。何分アルスローのギルドだけでは賄えきれない額なので、他所から集めてきますのでご了承頂ければと。次に竜討伐で特別ランクアップが恐らくあるとは思うのだが、何分1ランクアップまでしかできないのは心苦しいが、私達がどうにか出来るわけじゃないので許してほしい。」
「全然大丈夫ですよ〜」
「そう言ってもらえると助かる。ランクアップについては近々連絡があると思う。」
「分かりました」
「ではこちらからは以上になる。さて、ヘレン。この竜がモンスターフェスティバル最後の討伐対象だ。それを踏まえて書類の完成を任せる。出来上がり次第、ギルド長に報告を頼んだぞ。」
「分かりました!」
「さて、お前は足が速いから領主様に報告を」
「はい!」
「残りの者は私と一緒に後夜祭の準備だ!行くぞ!」
「「「はい!!!」」」
(良い上司だなあ。状況判断と冷静な対応。自らが現場に立ちつつも部下に的確な指示を出し、後の事も考えて自身も行動する。こんな上司の下で働きたかったなあ)
ベルゼは前世でのクソ上司を思い出していた。
現場を引っ掻き回し、担当している人員の補給はやらず、必要資材も集められず。
部下には指示もアドバイスも何もない。挙げ句の果てには未経験の右も左も分からない新人を現場に連れて来ては怒鳴り散らして、死亡させる始末。今考えてもクソだったな。。
「すいません!領主様が受付においでになられてます!ベルゼさんにご用との事です!」
「わかった。ベルゼ君、急いで行ってほしい。それと領主様に報告は無しだ、お前も後夜祭準備に回ってくれ!」
(イレギュラーへの対応も良いし、投げ出さないのはいいよなあ…)
そんな事を考えながら
ベルゼは倉庫を出て受付へと向かうのだった。
ご覧頂きありがとうございました。
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