第32話 - 招かれざる -
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「よし!次行こう!」
「うん!ベルゼなんか気合い入ってるね!」
「そうかな?」
「いつもよりね!時間も少ないし、急ごうか!」
前世のベルゼはかなりの負けず嫌いであった。
転生してから今までは誰かと勝負事をする機会がは少なかったのでその節がなかっただけと言えるのだが。
「あっちの方向に気配があるな…この感じは…魔物かな?」
「うん!精度上がってきたね!」
「やっと50%くらいだけどね……」
今回ベルゼは探知魔法は使わない縛りプレイをしている。魔法ではなく気配や魔力を察知する能力を鍛えている為だ。
森を奥へと進む2人。
太陽が昇ってからもう既にかなりの時間が経っているにも関わらずその光は届かない。鬱蒼とした森の中を気配のする程へと急ぐ。
「あれは」
「モノプスだね。それを奥から狙ってるのはケミニスの群れだね」
「そうだね。漁夫れるな…!」
「その漁夫れるってたまに聞くけど何なの?」
「あー…俺が元いた世界であった言葉を略してるんだ。漁夫の利という言葉があってな…簡単に言うと、二者がやり合ってる所に俺たちみたいな第三者が良い所を掻っ攫うって意味なんだ」
「なるほど、ベルゼがたまに意味が分からない言葉を言うのは元の世界の言葉なのね!」
「あ、ああ…(無意識に使ってたか…)」
この世界では前世のことわざや熟語が伝わらないものが存在する。もちろんネットスラングもそうだ。
たまに草生えるとか言ってももちろん通じる訳がなく、相手をポカンとさせてしまうのだ。。
さて、そろそろ目の前の敵に集中しよう。
ーー 図鑑 ーー
[モノプス]
・体長〜300cm ・ランク G
草食系魔物の代表的存在。
温厚な性格で繁殖力が高い。
よく家畜として飼われている。
魔物の間でも良く捕食対象となる場合が多い。
モノプス相手に怪我をするようであれば冒険者は諦めた方が良い。
[ケミニス]
体長〜100cm・ランク C〜B
小型の魔物。基本群れで生息し狩りを行う。
小型とはいえ獰猛な性格。
50匹以上の群れになればBランク相当とする。
1匹あたりの強さはDランク程度が妥当。
ーーーーーーー
「ケミニスは10匹位の群れね。近くにも他の反応は無しと。」
「そうだな。モノプスはスルーしてケミニスに集中しようか」
「そうね!」
いざ戦闘。リエルもベルゼも格下の魔物ではあるが、油断せずに集中する。
「ここから左右二手に分かれてケミニスの両サイドから叩く作戦はどう?」
「いいわね、私も同じ考えよ」
最近はベルゼが作戦を考える事が増えた。
気配察知もそうだが、作戦を考えるのも練習しているからだ。
作戦の1つも考えれないで脳筋プレイばかりでAランク冒険者にはなれない。と、先輩冒険者のリエルさんに言われてしまったのだ。やるしか無いよね。
もっとも光以外の大抵の攻撃はベルゼに対してほぼ効かないのだが、今後戦うかもしれない強敵の為に瞬時に作戦を考える練習は今のうちからやっておいた方が良いとベルゼ自身もそう考えたからだ。
二人は頷きあって二手に分かれる。
ベルゼは左から、リエルは右から回り込むようにしてケミニスに近づいていく。
「霆火花!」
「ライトニングスラッシュ!」
「「「「「「「「ギョァアアアアアア」」」」」」」」
「うん!作戦も攻撃のタイミングもバッチリだったね!ベルゼは凄いよ!」
「リエルには及ばないよ。でも完璧だと嬉しいね」
「じゃあこれを剥ぎ取ったら街に戻ろっか!」
「ああ、そうしよう!」
(あー凄い冒険者っぽいなあ…)
パーティで狩りをして倒した魔物から剥ぎ取りをする。思い描いた通りの冒険者の図だ。
(やっぱパーティって良いなあ……)
剥ぎ取りをしながらふとリエルを見る。
以前までは他人と一定の距離を保つ事にしていたベルゼだったが、一定距離のラインをズカズカと踏み込んできたリエルに深い感謝を抱くのであった。
(いつまで一緒にパーティ組んでいてくれるのだろうか…)
ズカズカとラインを超えてきて、好意を寄せてると、パーティを組もうと迫ってきたのはリエルだ。だが、リエルは自分よりも2つ上のAランク冒険者だ。技量も経験も知識もある。今は臨時パーティなだけだし、他のパーティだって放っておきはしないだろう。
そんなリエルがいつまでも一緒に組んでくれるのかなんて分からない。
"あの日"から女性に対して変に消極的になってしまったかな。そう実感するベルゼだった。
「グォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「「!!!??」」
「今の咆哮と威圧感はなんだ!かなり遠くからだよな!?」
「うん!私もまだ感知できない。ベルゼ!もしかしたら緊急事態かも!探知魔法を使って!」
「まあこれは仕方ないだろうなっ!」
探知魔法を発動する。
「嘘だろ……!」
「どうしたの!?」
「引っかからない…」
「うそ!!?」
たしかに森の中に魔物の反応はある。が、それほど大きい反応がないのだ。
以前より探知できる距離が広がって半径3km程は見ることができる。
だが、今の咆哮の威圧感を出せそうな魔力の反応はない…おそらく探知できる範囲外。
つまり3km以上離れた所で放った咆哮が2人まで届いた。しかも今までで一番の威圧感。
「くそっ、ちょっと見てくる!」
そう言ってベルゼは飛行魔法を使い、生い茂る木々を掻き分け、木の上まで飛ぶ。
「なっっっ!!!」
周囲を確認し驚く。
肉眼で小さく確認できる竜。
それが山を越え、こちらの方にゆっくりと飛んで来ている。
「マジかよ………」
濃い青色。翼を大きく広げ羽ばたいている。
かなら距離があるが、見た目の威圧感がヤバイ。
「これはヤバイだろ…」
転移魔法でリエルのもとへ戻ってきたベルゼ
「リエル…やばいぞ…竜だ」
「嘘でしょ!!!!!?」
「見た目はかなり濃い青色、翼で飛び、距離はかなりあるが肉眼で見えた…」
「うそ…なんでこんな所に…」
「こっちに向かってた…」
「大変だ…わ……濃い青だったのね?」
「ああ…」
「多分だけど、藍鉤翼竜ね…」
「藍鉤翼竜…」
「青色の竜は多く無いの。濃い青は藍鉤翼竜の1種だけなの。ブレスは放てない下位の竜だけど、強力な鉤爪で建物を粉々にする。下位とは言っても鱗が硬すぎて攻撃が通らないの。小国が滅びると言われてるわ」
「マジかよ…」
「もっとも薄い青色だったらこのガヤート王国が滅んでいたわ…」
「うそだろ…。不幸中の幸い…とは言えないな」
「とにかく一旦街に、ギルドに戻りましょう!」
「ああ!急いで戻るから宿まで転移するぞ!」
ベルゼの魔法を知らない冒険者も多く存在する為、いきなりギルドへは飛ばず、2人は宿まで転移し、急いでギルドへと向かうのだった
ご覧頂きありがとうございました!!
次の投稿は明日の予定なのですが、身内の結婚式に出席するため、投稿が遅い時間か、翌々日になってしまうかもしれません……
次話もよろしくお願いします!
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