第28話 - 転生冒険者と勇者 -
6000PV…!!
こんなに多くの方に見て頂けるとは思ってませんでした!
面白い小説として読んで頂けるよう、今後も努力致しますので、よろしくお願い致します!!
本日は投稿が少し遅くなってしまいましたが、第28話ご覧ください!
ここはアルスローの宿屋 "夕暮れの鐘" の食堂だ。
「今日は色々あったが、とりあえず1日目お疲れさま!」
「本当に色々あったよな…」
「まあまあ!ベルゼも私も無事だったんだし、良いじゃないの!」
「そうだけどね。情報の整理が全然追いついてないよ。はは…」
「私もそうだけど、それは追い追いね!とりあえず乾杯しましょ!」
「ああ…」
グラスとグラスが重なり合い心地の良い高音が響く。
今日のグラスには酒ではなく、葡萄ジュースが注がれている。
「リエルは酒でも良かったのに。わざわざ俺に合わせる事なかったのに」
「今日酔っ払ってベルゼを襲ったら、本当に私の身体壊れちゃうからね…これ以上は限界!」
「あ、ああ…なるほど…」
「ベルゼも体調は平気?」
「ああ、とりあえず魔力に違和感もないけど、腰が痛いくらいかな」
「………明日も狩りにいけるかな?」
「そうだな、それに関しては問題ないと思う」
紅く染まった自身の髪を触りながら相槌を打つ。
ベルゼが目覚めてクロと話して、一汗掻いた後、晩ご飯を食べに来る前、洗面所に顔を洗いに来た時の事。
「あれ???髪のここだけ赤くなってない????」
(いやいや、真っ黒だったよな???)
この世界には染髪剤は存在しないはずだ。
「なんでメッシュ入れたみたいになってるの?」
鏡に映った自分の髪。
前髪のやや右側、揉み上げ付近が一筋赤く染まっていたのだ。
「なあ、リエル。髪が赤くなってるような気がするんだけど……」
「あ、気がついてなかったんだ?ベルゼが気絶する前、キングサイクロプスを倒す時『お前のためにアイツを倒してくる』って言った時から染まってたよ」
「……誇張すなっ」
びっしっと突っ込みを入れる。
「あたっ… あの時私も結構ギリギリだったからあんまり覚えてないんだけどね」
「そうだよなあ…まあクロが帰ってきたら聞いてみるよ」
という事があったのだ。
魔力を掌握した結果、髪が一部だけ染まった?
ちょっとよく分からないけど、クロが特に何も言ってなかったなら、あんまり気にしなくても良い…のか?
「とりあえずご飯食べましょうか!」
「そうだね。今日も美味しそうだ!」
先ほどから空腹感のあったベルゼは、早々に食べ終わり、お代わりを要求したのだった。
「おい! いたぞ!」
「何ですか急に!他のお客様に迷惑です!」
「うるさいぞ獣人ごどきが!」
「獣人だからなんですか!?」
なにやら騒がしいな?
まあ宿の事で客が口出しするのは違うよな
と、思いながら目の前のパンを頬張る。
それにしてもこの世界は食べ物が美味い。
料理人の腕なのか食材の影響なのか。
それは分からないが、どこで食べても美味いなあ。
「おい!やっと見つけたぞ!!」
「俺様たちの獲物の報酬をよこせ!」
「え、俺なの?」
いきなり怒鳴られて驚くベルゼ
「お前以外に誰がいるんだ!」
「貴様みたいな子供、間違える筈もなかろう!」
日中、森で遭遇し戦闘の邪魔をしてきた3人だった。が、今はその後ろには女がぞろぞろと連なっている。
「モール様の獲物を横取りしたという無礼者はこの子供ですか?」
「いくら子供でも容赦はいないよ!」
「落ち着きたまえ、君たち。貴様が横取りした獲物の報酬を大人しく出せばすぐに帰ろう。それに…その女もついでに貰ってやるから感謝しろ」
「状況がよく分からないんだが」
「お前!しらばっくれるのも大概にしろよ!」
「しらばっくれるもなにも、既に俺達が戦っていたキングサイクロプスに攻撃をしてる最中、いきなり飛び出てきたのはお前らだろ。それにキングサイクロプスが軽く鳴いた程度で腰を抜かして戦えなくなったお前らを助けたのはリエルだろ」
(キングサイクロプスだと!??)
(え、あいつ他人に迷惑かけて報酬を横取りしにきたのか?)
(しかもリエル様に助けてもらったなんて!)
(さすがに恥ずかしくてそんな事言えないよねー)
(むしろ普通感謝するでしょー)
時刻は晩。
食堂には夕食や、祭り1日目の打ち上げに来ている人も多い。
目立ってしまった彼らは話を周囲に聞かれているのは当然である。
「ぐっ貴様!私に楯突こうというのか!」
「楯突くというか、起こった事をありのまま言っただけじゃないか」
「それに私はあなたみたいな男に貰われるくらいなら魔物に襲われて死ぬわよ」
「貴様ら!!俺様が誰か分かっての狼藉か!」
「「 全く知らないけど 」」
「これだから田舎者は困る!この方こそ、生まれ持って勇者の称号を手にした男!ラスティム・モール様なのだ!!」
「「 ふーーん 」」
(あいつ今噂になってるクソ勇者かよ)
(横暴で自分の思い通りにならないと暴力に頼るって聞いた)
(店で気に入った物は金も払わないで奪っていくらしいよ)
(うわーないわー)
(勇者ってあんな不細工なの?ゴブリンの方がマシだわ)
(リエルたんマジ天使)
(普通は人々を助けたりして感謝される存在なのに)
周りの冒険者の声が聞こえる。
勇者様()は顔を真っ赤にしている。
そこでようやくベルゼは席を立ち、周りをひと睨みした後こう言った。
「…いつか言おうと思ってたが。リエルたん推しの奴、リエルは俺のものだから譲らないからな!」
「おいおい!こんな所で惚気んなよ!」
「私もそんな事言ってもらいたいわ!」
「リエルたん……」
「いいぞー!もっと言えー!」
ドンッ!
空席だったイスが床に叩きつけられた。
「貴様らどいつもこいつも俺様を愚弄しやがって!この宿ごと燃やしてやる!」
「おいおい待てよ。用があるのは俺だろ」
「黙れ!」
「思い通りにならなくて癇癪を起こす。まるで子供ね。その歳になるまでどうやって生きてきたら、そんな風になれるのかしら?」
「女がデカい口叩いてるんじゃねえぞ!」
「そうよそうよ!!」
取り巻きがうざったいな。まるで虎の威を借るなんちゃらだな。
「まあいい。飯も食べ終わったし、食後の運動に付き合ってやるから表出ろよ。」
「ふんっ!良いだろう。貴様ごときの提案を受けてやる俺様の寛大さに感謝しろ。俺様の剣を受け止める事が出来たら今回の事は許そう。だが、無残にも切り刻まれたらその女は貰っていくぞ!」
「威勢が良いのは感服するけど、ゴタゴタ言ってねーでさっさと表出ろよ」
ニヤニヤしてる勇者様ことモール。
これだけ女を侍らせておいて、リエルにまで手をだすつもりなのか。
心底イラつくが、こんな奴にイライラしてもしかたない。
すでに噂を聞きつけた野次馬が
宿屋の前にある広場には多くの人が集まっていた。
「一応聞くが、森で俺の実力を見たはずだよな?」
「貴様が見せたあの幻覚か。あれは中々のものだったが、俺様が貴様に敗北する事はない!」
ベルゼの強さは幻覚だった…だと…?
「そうかい。なら次はこれだけ見てる人間がいるんだ。負けても幻覚だとか不正だとか言うんじゃねえぞ」
「ふん!貴様もこんな大勢の前で醜態を晒すのは可哀想であるな!」
そう言ったモールは鞘から剣を抜く
「!!!??」
「お、おい!まさかあれ!」
「ああ!本物だ!本物だぞ!」
「初めて見たぞ!!」
「ベルゼ…!!あの剣は|伝説の剣と呼ばれているものよ…!」
苦虫を噛み潰したような顔でリエルは言う。
「伝説の剣? 本当に実在するのか!!」
前世の知識から、ベルゼの中では伝説の剣=エクスカリバーなのだが、それを実際に見れる機会で少しワクワクしている。
「呑気に言ってる場合じゃないよ!あの剣は光属性最強の剣!如何なる闇も切り裂くと言われてる剣よ!」
「うわ、相性最悪じゃん!」
「あなた、あれでもし斬られたら死ぬかもよ……光属性の耐性ないんでしょ!?」
(そうだった…光は100倍ダメージ入るんだった)
「いつまで喋ってるのだ!そろそろ行くぞ!」
ベルゼは魔力を高める。
闇を纏っても斬られるなら意味は無さそうだよなあ。
と、なると闇以外で対抗しなくてはいけないのか。。
伝説の剣が、魔力を解放する。
使用者のとは視るからに異なる量だ。
(あの剣自体が強いのか。本当に闇のオーラは一瞬で斬られそうだな。と、なると対抗するにはやっぱりあれしかないか)
ベルゼの闇のオーラに真紅のオーラが走る。
「この剣で斬った後、お前の死体の前で女を犯してやるからな!」
うわー本気で嫌悪するよ?
気持ち悪いったらありゃしないな?
「…いいから来いよ」
「うおおおおおおおおおおお!」
遅い。あまりにも遅すぎる。
使用者の実力は底が知れるな。
それでも剣は膨大な魔力を放っているんだよなあ。
「本当に闇はやばそうだな!!なら……焔雷障壁!」
ベルゼは炎と雷の障壁にもう1つ、
計3つの魔法を混ぜ合わせた障壁を展開する。
モールが振り下ろした剣は障壁に阻まれながらも、自らが放つ魔力で障壁を切り裂かんとする。
「さすが伝説の剣だな。だが、使用者がポンコツだから剣を生かしきれていないな」
「なんだと!!!」
ベルゼは3つ目の魔法を発動する。
モールの持つ剣は急速に魔力が消失していく。
「お前は3つ過ちを犯した」
「なに!??」
「一つ、リエルに手を出そうとした事。二つ助けてやったにも関わらず、性懲りも無く俺の害となった事。」
「ぐっ!!」
伝説の剣からは既に放つ魔力が失われている。
「最後に相手の力量を見分けられないことだ。
俺がどんな魔法を使うのか知らないで俺の害となったのが敗因だ」
「くそおおおおおお!」
最早、光は愚か魔力すら放たないただの剣に、ベルゼは身体強化をかけた手に雷を纏い、一撃を加えると剣は真っ二つに折れてしまった。
「勇者を名乗るからには人々から褒め称えられるような男になれよ。そうしたらお前は強くなるかもしれないぞ。しらんけど。」
そう言いながら雷を纏った拳を叩き込む。
ズザァァァアアアアアアアアア
一瞬の静けさに包まれる。
吹き飛んだモールがのびているのを見た野次馬達は静けさを忘れたかのように叫び出す。
『うぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!』
「きゃー!すごい!!」
「む、無詠唱じゃねえか!!」
「よく無法勇者を退治した!!!」
「ベルゼたん…!」
「4人目の無詠唱だと!!」
「ありがとうー!!!」
「そんな!モール様が負けた…?」
「なんという事だ…!!」
「私弱い男には興味ないわ!」
まったく、お祭り騒ぎみたいだな。
「ぐっ…!俺様が負けた…だと…」
「そうだ。圧倒的敗北だな」
「くそっ!!俺様が!!そんな事は!」
「あなたも素直になりなさい。ここにいる全員が見てる前で、寝転んでいるのんだから」
「くそっ!!!」
のびていたモールに歩み寄ると、すぐに気がついていたようだ。さすが勇者回復の早い事で。
「モール様!ご無事ですか!さあ、ここは一旦退きましょう!」
「くっ!仕方ない!!お前!今日の所は俺様が退く!次会った時には覚えてろよ!」
「もう会う事が無いよう祈ってるよ。それと忘れもんだぞ!」
「折れた剣なぞ要らぬ!!!」
顔を真っ赤にしながら、仲間に肩を借りてそそくさと逃げていくモール達だった。
「本当に何がしたいのか分からない連中だったな」
「そうね。さて、私達も部屋に戻りましょ」
「ん、このお祭り騒ぎはいいのか?」
「なに言ってるの。平静を装っててもお姉さんにはお見通しよ!」
「ははは…バレてたか…」
「全くもうっ!部屋に戻ったらどうやったのか教えてもらうからねっ!」
やはり年上お姉さんには勝てないようだ。
お祭り騒ぎの中リエルに肩を借り、静かに部屋へと戻る2人だった。
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