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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
21/142

第21話 - 酔っ払いの告白 -

第21話です。

今日もお昼に時間が取れたので投稿です。


ブクマとPVが日に日にめちゃめちゃ増えててありがたいです!

今後も頑張っていきますので、よろしくお願いします!




「ミーシャ!おかわり!」


「はーい!お母さん!ベルゼさんおかわりだって!」


「あらあら!またおかわりなの?本当によく食べるわね」


「ここの飯が美味いのが悪い」


「嬉しいね!頑張って作っちゃうわよ!」



ここは宿屋、"夕暮れの鐘"の食堂。

受付をしていたミーシャもこの時間になると料理を作っている母親を手伝うため走り回ってる。



3回目のお代わりで腹が満たされたベルゼ。

リエルとモンスターフェスティバルについて話し合ってから数日。

ここ最近は目立った事もなく、また魔物討伐のクエストも少なくなってきたのでのんびりと過ごしている。


あと数日もしたらモンスターフェスティバルが始まるらしいから、それまではゆるりと過ごすと決めていたベルゼだったが。



「なんでリエルまで宿ここに移ってきたんだ」


「なんでって臨時でもパーティだからいいじゃない!」


「冒険者はそういうものなのか?」


「そうなんじゃない?」


「まあいいか。それより明日は道具屋とか色々回るから飲みすぎるなよ」


「分かってるわよ!ベルゼもたまには飲めば?」


「うーん酒は苦手なんだけど…」


「ミーシャちゃん!グラスもう1個ちょうだーい!」


「はーい!ただいま!」




この世界の酒はエールかワインの2択が主流のようだ。もちろん日本酒とか焼酎とかは無さそうだ。

異世界転生物語の主人公なら、自分が飲むためにと製造法をこの世界にも取り入れて一儲けするのかもしれないが、俺は前世でも酒は飲まなかったからな。アルコールに物凄く弱くて2口飲めば記憶も飛んでしまうのだ。


目の前に置かれたグラスに注がれたワインを見る。

前世は弱かったが、今世は新しい体、耐性もある。少なくとも前世の体よりは強い。アルコールにも強いと良いのだが…



グラスを持つ手が一瞬止まる。

前世では分からなかったワインの良い香り

葡萄の芳醇な香りが鼻をくすぐる。

ああ、これがワインの良さなのか。


そう思い恐る恐る1口。


「美味い」


今まで味わって飲んだ事が無いから上手いことは言えないが、ワインはこんなにも美味いのか。


「でしょ?このワインアルコールも低いから飲みやすいだろうし」


「昔は全く飲めなかったからな。酒も良いかもな」



グラスを口に運ぶ。

と、2口目にして急に視界がぼやける。頭もガンガンしてきた。

あ、これダメなやつだ…なんでいきなり…


「リエル、やっぱだめかも…」


「なーに言ってんのよ!魔物より全然弱いわよ!」



ちょっと何言ってるのか分からない。

そう思いながらいきなり朦朧とし始めたベルゼは、楽しそうにミーシャと話しているリエルを見ながら睡魔に身を委ねてしまうのだった。















「あ、起きました? 水持ってきたので飲んでください」



頭がガンガンする。

どの位寝てしまったのか。



「ありがとう。やっぱ酒はだめだな…」


「ベルゼさんまだ子供なんですから飲んじゃだめですよ!」


「飲む前に止めて欲しかったな…どの位寝てた?」


「多分2時間くらいですかね?」



2時間も寝てしまったか。

前世でも大学の頃、飲み会で飲まされて丸々寝て終わった事もあったなあ。



「それとリエルさん連れて帰ってくださいね!」


「あ、ああ? なんでリエルまで潰れてるんだ…?」


「飲みすぎですね。酔ってるリエルさん面白かったですよ!」


「ああ、酔ってなくても面白いけどね」



目も覚めたし、少し落ち着いたかな。

リエルを部屋まで連れて行って俺も寝るか。


「リエル、部屋に帰るぞ」


「なあによ。べるぜーわたしのはだかまたみたいのお?」


「馬鹿なこと言ってないで、ほら行くぞ」




リエルの腕を肩にかけ持ち上げながらそのまま運んでいく。部屋が遠い。俺もまだフラついてるな。



「べるぜのへやがいいー!」


「なんでだよ」


「そっちのがちかいんだもーん」


「近いけど俺の部屋にリエルをいれるのは…」


「やーだ!べるぜのへやじゃなきゃやだあ!!」


「わかったから耳元で怒鳴らないでくれ…」



また頭がガンガンする。

大人しくなるなら仕方ないか。

近い俺の部屋のが楽だし。



部屋に着くとリエルをベッドに投げ込む。



「はあ疲れた。頭痛い…」


「くるしいーぬがせてー」


「お前それは流石にだめだろ」


「ベッドで吐いちゃうー」


「それは困るな。脱がすから待ってろ」


「えへへ。早く脱がせてー」


「わかったから大人しくしてろ」


リエルが装備してるドレスを脱がす。




「えっ??」


暗がりであまり良く見えないが脱がしたドレスの下は肌着も下着も着けていない。




「あのね。私ね、ベルゼに助けて貰った時、ああ、この人の事好きだって思ったの。私よりも強くて優しいんだって。年下だし、背も私よりも小さいし強情だけど… この人と一緒にいたいって思ったの」


「……酔ったふりまでして告白か?」


「だってこうでもしないとベルゼ逃げるんだもん」


「お前なあ…」



確かにその通りだった。

なるべく人と関わらないようにしていた節はある。

というのも、俺自身が転生してこの世界にきた異世界人だ。固有のスキルのおかげでそれなりに強いし、それなりにこの世界で暮らせてるつもりだ。

前世の事があってからこの世界ではのんびり暮らしたいと思っていたのだ。


もし、他人に好意を寄せられても、人はいつか別れがくる。それは前世で経験済みだ。最初は好きだの愛してるだの言ってもそんなのは一瞬。別れる時はいつか訪れる。何回も味わった別れの時は気分の良いものではない。故に男だろうが女だろうが関係なく仲良くなり過ぎないよう一線を超えないように距離を置いていたのだ。


「今はベルゼより弱いかもしれないけどそのうちすぐ追いつく!だから隣にいちゃだめかな?」


「女の子にここまでして告白して貰うのは嬉しいんだ。でも申し訳ないが俺はその気持ちに応えられるか分からない」


「なんでよぉ」



(女の子にここまでさせてしまったんだ。誠意に応えたようか…)



「…………俺は前世の記憶がある。この世界ではない所だ。その世界で、上司に怒鳴られてばかりの毎日を過ごして、事故で死んだ。死んでこの世界に来たんだが、今世はのんびり暮らしたいと思ってる。魔法の研究の為に強い魔物とかとは戦いたいとは思うけど、誰かに仕えたり、諂いながら生きたいと思ってはないんだ。だから誰かに好意を寄せられないように人と接してきた。当然女性関係もそうだ。」


「そうなのね…だからなのかな。私がベルゼに惹かれたのは」


「は?」


「…私も前世の記憶があるの」



「えっ!!!!!???」



「私の記憶はこの世界のものだけどね。死ぬ直前は色々と不運が続いてたの。最期は魔物に襲われて両親と兄、それに私も死んじゃったの。信じてもらえるか分からないんだけど、死んでから光る球体にこちらのミス?だから転生させてあげるって言われてこの世界をまた選んだの」


(一緒だ…)


「なんかよく分からないけど、特典をつけてくれて、この世界でまた生きれる事になったの」


(一緒だ……)


「その特典のおかげで2度目のこの世界で冒険者になって Aランクまで登りつめたの。私は両親と兄と自分を殺した魔物を根絶する為に。そしてその根源たる魔王を滅ぼす為に生きると決めたの」


(そこは一緒じゃない………)



「それでも私より強い魔物は沢山いる。その魔物に負けて捕らわれた私を救ってくれた時、私はこの人と一緒に生きたいと思ったの。…それにあの時の気持ち良さは……」


尻すぼみで後半が聞き取れなかったな。

それにしても、世界が違うとはいえ、リエルが俺と一緒の転生者だったとは。どうしたものか。




「色々分かった。その話はまた今度詳しく聞かせてもらえると助かるかな」


「分かったわ」


「さてそれでだ……困ったな…」




「…………女の子にここまでさせておいて放置なの?」


「ぐっ…」



そりゃ据え膳食わぬはなんたらだが…既成事実を作るのも…

ダメだ…頭が働かない…



「私ね、あの時初めて知ったんだけど、拘束されて自由が効かないのに無理矢理って…好き…かも…」









ぷつん







ベルゼの中で何かが切れた音がした。

創造具現化で拘束具ってできるのか?

真っ黒の感情がベルゼを支配する。

酔いのせいか頭が働かない。

欲望に身を委ねたい。

もうどうにでもなれ……



真っ黒の感情に身を委ねるベルゼだった。


ご覧頂きありがとうございました!

次の投稿は本日の夜になります。

次話もよろしくお願いします!


ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします!

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