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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
18/142

第18話 - 転生冒険者と犬 -

第18話です!

ブクマ、高評価ありがとうございます!

日に日に増えるのが本当に嬉しく思います…!

誤字脱字や稚拙な文章なのに大変恐縮ですが、めっちゃやる気になれるのです。 今後ともよろしくお願いします!





「なに?あのお荷物が冒険者とのいざこざで怪我をした?」


「ええ、ホーマック様がDランク冒険者に怪我をさせられたとの報告がはいりました。」


「ほう、随分と身の程知らずな奴もいたもんだ。我がアウストロル男爵家に楯突くとは、どんな輩なのだ?」


「それが…ベルゼという何の情報もない新米冒険者みたいで…」


「意味が分からんな。Dランク程度の冒険者があのお荷物に怪我を…?そもそも新米とはなんだ?」


「なんでも冒険者になってから日が浅いとの事で…」


「お荷物とはいえアイツはBランクなんだぞ!そんな奴に負ける訳がなかろう!!全く、こんな時にそっちでなんとかしろ!」


「仰る通りでございます」


「いやそれは事実だ」




「「 誰だ貴様!!! 」」


「いや何度呼んでも出てこないからこっちから来たんだが………まあいい。いきなり来てすまないが、いまここで死ぬか、Aランク冒険者を出すか選んでもらおう」


「貴様!いきなり偉そうに何を言う!」


「貴様みたいなガキに指図される覚えはないぞ!」


「そもそも一体何者だ!屋敷の者はどうしたというのだ!!」


「俺はお前らが今話していた冒険者だが…屋敷の人間はみんな気絶してるよ」


「なっ! Dランク冒険者如きがどうやって!? それよりもアウストロル家の屋敷に踏み入れるなんて不敬だ!!不敬罪で打ち首にしてくれる!!」





「なら…やってみろよ…」





ゾクリ…

今の言葉は、この目の前にいる少年が発した圧とは到底思えないほど、恐怖を覚えた2人。



「Aランク冒険者の居場所も分かってる。魔物のスタンピードがお前らが起こした物だと言うのも分かっている。お前らはここで殺しても問題ないと言われてここまで来たんだ」


「な、な、何を言っているのか分からないな!」


「これを見てもそう言えるか?」


ベルゼは、何やらメモされた紙をひらひら見せつける



「な!! そ、それは処分しろと部下に…!」


「言質とったぞ」



「くっ…!!」






少し時間を遡ろう。

Aランク冒険者が不在の為、幅をきかせていたホーマックをギルドで絡まれ叩きのめした。

幸運にもホーマックはアウストロル男爵家の倅で、丁度良いと、アウストロル家まで引きずってきた。


家の執事やメイド達は変わり果てたホーマックに驚いたが、その場で少しだけ回復をし、助けてくれた冒険者として客室でもてなされていた。



人が減ったところでベルゼは探知魔法を使い、この屋敷の地下に件の冒険者達がいる事を確定させた。

頃合いを見計らい、執事やメイドは気絶させていき、遂には残る2人までと戦力を削ったのだ。1人1人気絶させるのは地味だが大変な作業だった。

たまたま部下っぽい男を気絶させた時にこの紙を発見し、収納していたのだ。






「さて、どうする? 俺は今、非常に腹の虫の居所が悪い。悠長に考える暇はない。なんなら今屋敷毎消し飛ばしてもいいんだが…」


「はったりだろう!お前みたいなガキに何ができ…」



ドゴォーン!



「何か言ったか?」





今3人がいるのは、この屋敷の2階の再奥にある当主の私室だ。

ベルゼが放ったブラックバレット。それは、隣の部屋、それから部屋という部屋を貫通し、穴からは外が覗いている。




何が起こったのか理解ができなかった。

いや、したくなかったと言った方が正確だろう。

詠唱もなく発動した見たこともない魔法で屋敷の部屋全てを貫通し外が見えているのだ。

その光景を見た2人は萎縮し恐怖した。

目の前にいるのは化け物だ。

逆らったら確実に死ぬ。


「わ、、わかった…!交渉だ!金を払おう!好きなだけ!その代わりに見逃し」



ドゴォーン!


再びの爆発音。今度は2人の後ろが消し飛ぶ。

文字通り消し飛んだのだ。

並んでいる2人の間に風魔法(ウインドバレットと名付けよう) を撃ち込んだ結果、家具や置物はおろか、壁や屋根が文字通り消し飛んだのだ。



「俺の話を聞いていたのか? 今ここで死ぬか、冒険者を出せと言ったんだが」



「「ひっっ!!!!」」




これ以上余計な事を言えば屋敷ごと自分らも消しとばされる。そうとしか思えなくなってしまった2人は、大人しくAランク冒険者がいる地下への案内をした。せざるを得なかった。



丁度今いる部屋の屋根が無くなった為、突入前に決めていた、安全確保ができた場合に上げる照明弾として、ファイヤーボールを上げておく。




2人を縛って放置し、地下へと向かう。

聞き出した地下への隠し扉を抜けると洞窟のような作りではあるが、明るさは十分にある。





しばらく進むと頑丈そうな扉。

探知魔法によると正常な人間は居ないが、罠には気をつけたいところ。









慎重に扉を開けると

そこは牢屋のような作りになっていた。


そして1人、服を剥ぎ取られた女が、鎖で手を上に拘束、両足を拘束され、頭を垂れていた。




外見は傷やアザなどはないようだ。

慎重に頭を上げ顔を確認するも眠っているのか…?

いや、魔力が枯渇して意識を失っているのだろうか。




近づいて見ると、どこかで見たような…

……あ!


「リエル!大丈夫か?起きろ!」


「んっ……」


「大丈夫か!?」


「ベルゼ…?」


「おう。こんな所でなかなか趣深い格好をしてるが、パーティか何かか?」


「何がパーティよ!助けてよ!」



拘束されていたのは

先日クエストで知り合った Aランク冒険者のリエルだった。


「ふむ……お前、こんなチョーカーみたいな首輪してたか?」


「してないわよ!多分これ、魔力を吸い取る魔道具…」




なるほど

この首輪で魔力を吸い取っていたのか。


(この首輪は迂闊に外しても大丈夫なのか…?)


「ちょっと首輪を見るから、じっとしていてくれ」


「うん…」


(これは繋ぎ目とかあるのか…?)


「んっっ、ちょっと、ベルゼ…んっ!」


リエルの首元にベルゼの息がかかる


(いや、フックみたいになってはいるが…)



「あっ…ん…ちょっと…)


(普通に取っても大丈夫なのか…?)


「ねぇ…っ…そこ…は…だめっ…」


(魔道具の知識は無いからなーリエルは知ってるのかな?」


「ベ…ルゼっ…んっ……ん…んっ……あっ………!!」


「なあリエル、首輪の後ろがフックになってるんだが、これ普通に取って大丈夫な魔道具か分かる…なんで顔真っ赤なんだ?」



「……はぁ…はぁ…アンタのせいよ…恥ずかしいから顔見ないで!」




(俺が何をしたというのだ…。顔を見るなって言われても目のやり場に困るんだよなあ…)


目の前の少女は服を剥ぎ取られ両手両足を拘束されているのだ。顔を見るなと言われると…まあ遠慮なく見るけど…



「ちょっと!どこ見てんのよ!」


「顔見るなって言われたから……」


「アンタはもう!この首輪の解除は裏にあるフックを外せば良いの!早く取ってもらえるかしら!?」


「お、おう…」








無事に首輪は解除できたようだ。無事に。

さて、この拘束している鎖だが…面倒だから切るか。



「ベルゼ!後ろ!!!」


リエルの叫び声で振り向く。

探知魔法には引っかからなかった。

というか今は引っかかっている。


(どういう事だ? いきなり現れた…?)




「グルルルルルルウ!!!」



「ベルゼ!こいつはシャドウクリーパーと言ってAランクの魔物よ!知性がとても高くて私もコイツにやられたの!影を移動して攻撃してくるわ!」


「どんな攻撃をしてくる?」


「シャドウボールとかの闇系攻撃よ!」


「…そうか。なあ、この鎖って切っても平気かな?」


「私のことはいいから先にシャドウクリーパーを!!」


「うーん。とりあえず大丈夫だとは思うんだけど、鎖切っていいかな?」


「もう!!!!切っていいわよ!!それよりシャドウボール来るわよ!!!!」



リエルは、いつまでもシャドウクリーパーに背を向け、自分の事を気にするベルゼに叫びながら、シャドウボールが飛んでくるのを見た。そしてベルゼに当たる直前で目を瞑る。



何秒か経つも、何も反応がない事を不審に思い恐る恐る目を開ける。 開けるとベルゼの少女のような顔が目の前にある。


「わわ!!!近い!! なんで!!平気なの!!?」


「ああ、闇属性の攻撃は俺には効かないんだ。それより鎖切れたからもう自由に動けるよ」


「あ、ありがとう…」

心配して損した。そう一瞬思いはしたが、助けてくれた事を感謝する。感謝しつつも闇耐性でもあるのかなと疑問に思うリエル。



「これ着て。十分堪能したから。あとこの指輪、魔力回復するから着けてて」



堪能…?そう思ったのは一瞬。自分は今服を身に付けていないのを自覚した。


「っ!! ありがとう!!!!」

語尾がかなり強かった。







さて。

そろそろ後ろのうるさい犬も片付けるか…

そう思っていると思いもよらない声が聞こえる。


「お主、この声が聞こえているか?」


(どこからだ!?)


「目の前だ。まさか我の声が聞こえているとは」


「え、もしかして犬が喋ってる?」


「お主!犬とはなんだ!崇められるべき存在の我に向かって犬とは!!」


「ああ、ごめん、魔物って喋るの知らなかったから」


「まったく!まあよい。主に頼みがあるのだ」


「頼み……?」




「えっ、ベルゼもしかしてシャドウクリーパーと会話してる?」


「えっっ、もしかしてこの犬が喋ってるの分かってなかった…?」




「えっ……」




「無理もない、我と会話が出来るのは闇属性でもかなり強力な力を持つ者しかできぬからな」


「ああ、そうなんだ。 リエル、なんかこの犬と喋れるの闇属性でも強力な力を持つ者だけだって言ってる」


「そん…な事があるの…?」


「まあそういう事だ。それでお主よ、我が願いを聞いてくれ」


「ああ、そうだったな。願いとはなんだ?」


「我の首に付いてるこの首輪も外して欲しいのだ」


「ええ…なんでよ」


「この首輪は命令を無理矢理聞かせる為の魔道具でな。ここへの侵入者を排除する命令がされておるのだ」


「なるほど」


「では頼むのだ」


「いやあ俺にそれ取るメリットなく無い?」


「いいのか?一瞬でその娘の首根っこをもぎ取る事も可能だが」


「…やれるものならやってみろよ。俺が一瞬でお前を殺す方が先だぞ」


そう言いながら一瞬にして闇色の魔力が高まる。






「こ、これ程とは。我が見込んだだけはある。だが……… なっ!!!?」


「俺の方が早かったな」



魔力を高めつつ、犬の眼前に転移したベルゼ。

手のひらを目の前に突き出され今にも放出しそうな魔力が感じられる。



「……非礼を詫びよう。そして我が主人となってくれないか。魔神の君主よ」


「今なんて?」


「我の主人にと」


「そのあと」


「魔神の君主。と言ったが…」


「なにそれ…」


「えっ…」





この犬こと、シャドウクリーパー。

見た目は黒い犬。にしてはデカいか。

体長1.5m程かな。少なくとも俺よりは大きい。

その犬が仰向けになっている。服従のポーズらしい。


首輪を取ってやると上機嫌なのかめっちゃ尻尾を振ってらっしゃる。わんおわんお。



「礼を言おう我が主。今日から主に仕いし魔物となる故よろしく頼む」


「お、おおう」


「娘、そなたも襲ってしまいすまなかった」


「リエル、犬が首輪の魔道具のせいで襲ってしまってごめんて言ってるけど……どうしたの?」


「ご、ごめんなさい。あなたの魔力に驚いて…というか怖くて……その、借りたローブを……」


リエルの脚には光る何かが滴って、足元を濡らしていた。



「……ああ、こちらこそすまない。ローブは気にしないで」


「娘よ。気持ちは分かるぞ。我も恐怖のあまり致しそうになったからな…」


言葉は通じてないだろうが、犬の表情でリエルにはなんとなく伝わったみたいだった。



「とりあえず他の冒険者を助けに行くか。犬がいると助けた冒険者が恐怖しそうだが…」


「我は影に潜む者ゆえ、主の影に潜んでいよう。それと、そろそろ犬はやめてほしいのだが…」


「うーん…俺ネーミングセンス皆無だからなあ……黒いからクロでどう?嫌なら犬だけど」


「魔神というより鬼であるな……クロで良い。では何かあれば呼んでもらおう」


そう言うとシャドウクリーパーの犬、改め、クロは俺の影へと消えていった。







「ベルゼ…ありがとう。言いたい事と聞きたい事が山ほどあるのだけど、今は他の冒険者を助けに行きましょう!」



ようやく以前見た、明るいリエルが戻ってきたようだ。

この件が落ち着いたら色々面倒になりそうだと不安に思いながらベルゼは残りの冒険者の救出に急ぐのだった。

ご覧頂きありがとうございました。

次の投稿は明日になります。

次話もよろしくお願いします!


高評価、ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。

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