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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
17/142

第17話 - 上下関係 -

第17話です。


1000PV達成!!

ブクマや総合評価が日に日に増える一方で、感謝です…!!

いつも本当にありがとうございます!


-変更点のお知らせ-

主人公の冒険者ランクを変更致しました。




ギルドの1階に降り何事もなかった風を装いながらつつ、受付で見送ってくれたヘレンに挨拶をし、ギルドを後にしようとしたベルゼ




「君君〜!先輩に挨拶はするものなんだな?」


(わ、あからさまに変なのに絡まれた…)



「無視なんて酷いんだな?」


「俺たちはBランクパーティ"崇高な財"でやんす。このお方がリーダーのホーマック様でやんす。ご挨拶をするでやんす」





(うわぁ……面倒そうなのに絡まれたな…)






俺は挨拶をしたばかりのヘレンに向き直って聞く。


「なんか変なのに絡まれたんだけど、冒険者って上下関係あるの…?」



「いえ、そういうのは無いんですけど……」

なんとも歯切れが悪い返事が返ってきた。






(Aランクパーティが街を留守にしてるからデカイ顔してるんだよコイツら。お前が蹂躙したスタンピードの作戦には参加してなかったんだよ。)


歩み寄ってきた知らない冒険者が小声で教えてくれた。


(なるほど、道理で絡んで来るわけだ。なら媚びへつらう必要はないんだな?)

(ま、まあそうなんだが…お前なら大丈夫だとは思うが、一応全員Bランクだぞ…)







んなこと知るか。

前世であんなに虐げられて苦しんでせっかく解放されたんだぞ。俺は。この世界では自由に暮らすんだよ。誰かの言いなりになったり媚びたりしなきゃならねえんだよ。








エリースを出る前夜にもあったが、ベルゼは、ベルゼの害となる者には自重しない。そういう存在が現れた時はベルゼの黒い部分が出る。これは前世からそういう兆候があった。が、大人になるにつれソレはなりを潜めていたのだが…






「さっきから黙って聞いてれば全部聞こえてるんだな。さっさと先輩たる僕らに挨拶するんだな!」



こいつ前世で()()()()()()部長に似てるな

あーイライラしてきたなクソ



「ご挨拶も出来ない若輩者にはちゃんと教えてあげなくてはなりませんね」


「そうなんだな!僕もそう思うんだな!」




あー我慢できないぞー

ぶっ飛ばしたーいぞー




「若輩者なんでちゃんと教えてほしいな先輩」


「ベ、ベルゼさんっ!」




(コイツらぶっ飛ばしたらどうなる?)

(ぶっ、ぶっ飛ば…!? いえ、ギルド内では争い事はご法度ですよ! 外に出たら自由ですけど、いくらなんでも相手が悪いですよ!!)



Bランクにビビって媚びへつらうならこの人生捨てるわ。もしコイツらが強くて勝てなかったとしてもこの怒りをぶつけるくらいはしたいしな。



「なら外で教えてもらいましょうか先輩」


「若輩者なのに聞き分けがいいでやんすね」

「徹底的に教えてあげますから付いてくるんだな!」

「ふふ〜」



(おい!崇高な財 がまた新入りいびりしてるぞ!)

(またかよ。Aランクが居ないとすぐこれだもんな)

(あんな小さな子にまで…可愛そう…)

(面白そうだから見に行くか)

(やめとけって。どうせいつもみたいに新入りが負けるんだからよ)




や、普通に聞こえてるから。

俺がスタンピードの作戦に参加したのを知らない連中は止めに入るよりは野次馬として楽しんでるのか。

まあそんなもんだよな。










崇高な財 の後に付いてギルドを出る。

通りには既に多くの野次馬が集まっている。



「今日も楽しませてもらうんだな!」

「そうでやんすね」

「では私が行きますね」


「お前ら新入りにいつも絡んで迷惑かけてんのか?」


「迷惑だなんて失礼なんだな!後輩に礼儀を教えてると言ってほしいんだな!」



なるほど

しょっちゅう新米いびりを楽しんでるのか。

どうしようもないやつらだな。

抑えられない怒りが湧いてくる。



「新米をいびるより大切にするのが先輩だろうがよ」


「怖くなっちゃいましたか? さっきまでの威勢はどうしたのですか?」


「いや、ちょっと怒りを抑えるのに必死でな。あの豚が次喋ったら我慢できそうにないんでね」


そう言ったベルゼからは徐々に透過している黒い魔力が放出されており、ついに覆われる。




不幸な事にこの 崇高な財 のメンバーはスタンピードの作戦に参加しておらず、また、魔力を視る事ができる者が居なかった為、ベルゼの異変に気がつく事が出来なかったのだ。

野次馬の中でも数人がそのベルゼを見た途端、慌てて逃げ去っていく。



「来ないならこっちから行きますよ」

崇高な財 のひょろっとした男が魔法を放つ。



「命の雫よ、集いしそれは大きくなりて、我が命に従い、汝の姿を顕著せよ!水の牢獄(ウォータープリズン)!」




どこからともなく大量の水が集まりベルゼを飲み込む

それは水の牢とも呼ばれる上級水魔法だ。



「ククク、息苦しいでしょう? これは水魔法でも強力な檻でね。抜け出す事は出来ないのですよ」


「粋がるんじゃねぇでやんす。Dランク冒険者が!体も動かせない、 呼吸が出来ない上に言葉も出せないから抜け出せないでやんす」


「呆気ないんだな」







「ふーんそうか。なら試してみるか?」





「「「 なっ!!!?? 」」」



3人は驚いた。

水牢から聞こえたのはどう考えてもベルゼの声。

しかもその水牢を割って出てきたのだから。



「ど、どういう事だ…!!」



(ウォータープリズンという魔法は初めて見たが普通の人間なら抜け出せなかっただろうな。完全にこのローブのおかげだな)



ウォータープリズンを放った術者に左手を向け水牢をイメージし魔力を放出する。

先程見たよりも大きい水牢が彼を閉じ込める。



「ごぼぼぼぼぼぼ………」



(まあこんなものか)



「お、おい!今詠唱あったか?」

「いや聞こえなかっただけだろう」

「いやそれよりもあんなデカいウォータープリズン見たの初めてだぞ!!」


野次馬も騒ぎはじめたようだ。



「どういうカラクリなのか分からないでやんすが、ぶちのめすでやんす!」



そう言った「やんす」は背中に背負っていた斧を持ちベルゼへと走り出す。



(はあああ… 今世はのんびり大人しく暮らしたかったのにな)



それも今となっては仕方ない。

この後も訪れる事のないだろうドタバタを予想しつつベルゼはため息を吐くのだった。



「余所見してるんじゃないでやんす!」



おっと、やんすが居たのを忘れてたな。

彼は手に持っていたベルゼの身長程の大きな斧を振り下ろした。







「「「「「「「 なっ!!!!!!! 」」」」」」」






ベルゼを縦に二分するであった筈の斧は、切る事はおろかベルゼにすら当たらず止められていた。

ベルゼから放出した透過した黒い魔力の鎧によって。




ベルゼは身体強化した脚で「やんす」を蹴り上げる。

2階程の高さまで蹴り上げられた巨大は、それを見ていた者達を驚嘆させた。




土魔法で地面を軟化させて、空中の「やんす」の上に転移する。この間1秒。

身体強化した腕で、「やんす」を地面に向けて叩き殴る。


地面に突き刺さった「やんす」はクレーターをつくり気絶していた。

彼が死ななかったのは、ベルゼが転移する直前に地面を軟化させた事と、彼が本気で殴らなかったからだろう。





と、ベルゼが地面に降り立ったその時。


聖光の輝き(ホーリーライトニング)!!!」


そう聞こえ、振り向くと 崇高な財 リーダーのホーマックが詠唱を終え、俺に向けた魔法が完成していた。

それはまるで光のビームのようである。






(流石にこれはまずそうだな)





そう直感したものの、ビームの速さがあまりにも早いため避けれないと判断し、咄嗟に魔力障壁を展開する。




ビームと障壁のあたる音がチリチリと聞こえる。

が、そう思った瞬間!

障壁が割れベルゼに直撃し爆発する。







ドゴォォオオオオン!!










「ふふ、結局1撃で倒してしまったんだな」


爆発の影響で地面の土煙に巻かれるも、生きていないだろうと判断したホーマックが呟く。



「ホーマックさん! 貴方は何てことを!! 街中で殺生…それも同じ冒険者をですよ!!!」



爆発音を聞き、ギルドから飛び出したヘレンが扉の前で叫ぶ。



「Dランク程度の雑魚が1人消えた所で何も問題はないんだな! 殺してしまったのは迂闊だったけど、父上に頼めばそんな事は綺麗さっぱり無くなるんだな」









「そうか、ならお前の親父ごと消しとばしてやろうか」




「えっ?」



その瞬間ホーマックの腕に風穴が空く。



「ぎゃああああああああああああああ」



「どうした? 相手はDランク程度の雑魚じゃなかったのか?」



「き、貴様!どうしてだ生きてるんだな!」


「流石に障壁を抜かれたのは焦ったよ。ただ俺のが強かった。それだけだろ」



そこにいたのはベルゼだ。

先程までの黒の魔力のオーラとは少し異なり、黒に赤い光が走っている。



「それで…お前を倒したら親父が出てくるのか?そうなると厄介だからここで殺してしまおうか」



「ま、待ってほしいんだな! 父上はこの街でも偉いんだな!僕に手を出したらどうなるか分からないんだな!」


「ならば殺そう。そして親父も消し飛ばすか」


「お、お前話を聞いてたのか?」


「ああ…もちろん聞いてるさ。その汚ねえ声でぶひぶひ鳴いてるのをよ」


「ベルゼさん待ってください!そのホーマックさんは、アウストロル家の方なんです。下手に手を出すと貴族から何をされるか分かりませんよ!!」



「ほう…」

この豚野郎は例の家の者だったのか。

どうりで偉そうだと思った。

…だからなんだというのだ。

俺の異世界のんびりライフを邪魔してきたのはコイツだ。この家の奴らだ。




「そうか。だが…俺は俺に対して悪意を持って立ちはだかる奴には容赦はしないぞ」



ブラックバレットで左手を撃ち抜く。



「ぎゃああああああああああああ!!!!」



尻餅をついて潰された両手を庇いながら、豚に歩み寄る。



「ゆ、許してほしいんだな。金ならいくらでもくれてやるんだな。そ、そうだ!うちで働くのも斡旋するんだな。そ、それなら」



「そろそろだまれよ」


ブラックバレットで両足を撃ち抜く




「ぎゃあああああああああああああああああ!!!」




その場にいた者は、黒のオーラと赤い光が目視できたと言う。

そして大きく振りかぶり、ホーマックの顔スレスレに着脱した拳は地面を破壊し深く陥没した。




後にアルスローのギルド前に出来た穴は、彼のファンが聖地として人気を博す事になる。


ご覧頂きありがとうございました。

次の投稿は明日になります。

次話もよろしくお願いします。


ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。

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