第16話 - アルスロー侯爵家 -
第16話です。
ブクマ、高評価ありがとうございます!
日に日に増えるのが本当に嬉しく思います…!
誤字脱字や稚拙な文章なのに大変恐縮ですが、めっちゃやる気になれるのです。 今後ともよろしくお願いします!
「ここは………知らない天井……」
「おお!気がついたか!良かった!」
「ここはギルドです!一晩寝てましたが、お体は大丈夫ですか?」
「あ、ああ…レベルアップ酔いで気絶したまでは覚えてるな…」
「あれだけの大群を倒せば相当上がってるだろうよ」
「良かったです!ギルド長を呼んできます!!」
目を覚ますとそこは知らない天井…
ここはギルドの2階にある医務室だ。
衛兵隊長のサッゲンと受付嬢のヘレンが看ていてくれたようだ。
2人がここにいるという事はどうやら魔物のスタンピードは無事に集結できたみたいだな。
頭の中を整理していると、ギルド長と、見知らぬ渋いオジサマが部屋に入ってきた。
「大丈夫そうね、良かったよ!知ってると思うけど私はギルド長のビエラだ」
「こうしてお話しするのは初めてですね。ベルゼと言います」
「フフ、街を救った英雄の名前は分かってるわよ。それで、こちらはアルスロー侯爵家当主、アルノルト・アルスロー様よ」
「この街を救ってくれた英雄よ、良く眠れたかの?」
「…初めまして。ベルゼと申します。なにぶん田舎の出なので礼儀を弁えてませんがご容赦ください」
「ああ、畏まらなくて良い良い。この街を救ってくれたのじゃ、敬うのはこちらの方だ」
「そんな大した事は…」
「アンタあれだけの魔物を1人で殲滅したのに大した事が無いなんて言うんじゃないよ」
「はは…」
「さて、ワシがここに来たのは、お主を讃えるのと、もう一つ用件があったからじゃ」
「もしかして…アウストロル家の件ですか?」
「察しが良いのう。目覚めて早々に悪いのじゃが、君に頼み…いや依頼をお願いしたいと思ってな。」
「はぁ…」
「今街からAランク冒険者が消え、行方が分からなくなってるのよ」
「アウストロル男爵家が関与してるかもしれないというやつですよね?」
「そうじゃ。ワシの家の者に探らせた所、どうやらきな臭いのが間違いなさそうでな…Aランク冒険者の救出と、アウストロル男爵家が関与しているのを暴いてほしいのじゃ」
「……まあそうなりますよねー」
「あれ程の力を持つお主じゃ、普通のAランク冒険者よりも強かろう。今頼れるのはお主だけなのじゃ」
「まあ依頼をお受けするのは構わないんですけど、俺今外に出たら物凄い事になりませんか…?」
「ああ、それについてなんだが…」
「アルノルト様、私から」
「うむ」
ギルド長と領主との会話で完全に空気になっていた、衛兵隊長のサッゲンが口を挟んできた。
「まず、おまえの放った魔法で9割以上の魔物は消し飛んだ。残る1割は我々衛兵隊と、Bランク冒険者で全滅させた。ここまではいいな?」
「はい」
「殲滅が終わり魔石や死体を片付けた後、今殲滅戦に参加した者全員に、アルノルト様より1つの命令が下された」
「命令?」
「アンタの魔法ば強力すぎるんだよ。恐らくAランク冒険者なんて軽く凌駕してるのさ」
今度はギルドのビエラが口を挟む。
「ははは…」
「状況を聞き、現場を見たワシはすぐ全員を集めて命を出したのじゃ。この殲滅戦で1人の冒険者が起こした事は当分、他言してはならぬと」
結局全員で話してませんかね?
「これはアンタを守る為、そしてAランク冒険者奪還の為の作戦なの」
「恐らくはまだ、アウストロル家の者には誰の仕業かまでは伝わっておらぬ」
「居合わせた衛兵と冒険者しか知らないの。上手い事アナタを秘匿する事ができたのよ。」
「なるほど」
「秘匿する事までできたのじゃが、なかなか尻尾を掴む事は出来ぬでな。良い方法があれば冒険者を奪還し、街に対して反逆行為を行ってる連中を一網打尽にできるのじゃが…」
「ああ、それなら出来ると思いますよ」
「まあいきなり言われても難しいわよね」
「流石のお前でもなあ…」
「お主だけが頼りなのじゃが…」
「「「 は? 」」」
「俺は探知の魔法が使えます。1度会ったことのある人の反応は見分けがつくようになってます」
「……! リエルさんですね!!!」
うおっ! ヘレンさんいらしたのですね…
完全に空気でしたけど…
ベルゼは一瞬驚いた様子だったが、ヘレンに向き直り頷く。
「彼女も2週間前から消息不明…恐らくは…」
「そうですね。探知できるか分からないですけど、一応ここから探知で探してみましょうか?」
「そうだな。試す価値はあるな」
「ちなみにですが、アウストロル男爵家は、ここからどの方角で、どのくらいの距離ですか?」
「そうじゃな…ここから南西の方角で、距離は直線で3kmくらいかのう」
「それなら多分大丈夫ですね」
そう言い探知魔法を南西に伸ばしていく。
通常よりであれば円形に伸ばすのだが、その際は半径2kmが限界だが、今回はある1点に伸ばして探れば恐らく答えは……
「いたっ。丁度南西の方角、3kmくらいですね。恐らくこれは地下ですね。ただ…」
「ただ…?」
「魔力がかなり少なそうな反応ですね。恐らく魔力切れで衰弱してます。それと他にも同じような状態の人が数人いますね」
「アウストロル家は黒じゃな!今からすぐ兵を集め、向かうとしようかの!」
「お待ち下さいアルノルト様!Aランク冒険者が数人も捕まるような相手です。我ら衛兵隊でもそんな相手に勝てるとは思えません。ましてやアウストロル家の屋敷ともなればこちらが不利、勝算は低いと思います!」
「むむ。それもそうじゃの…じゃが…」
「屋敷の地面から上だけ吹き飛ばしても良いなら俺でも簡単にできますけど…」
「そんな事を簡単に出来るとか言うなよ……」
「それが出来るなら一番手っ取り早いのじゃが…」
「それか乗り込んで、敵をぶちのめして行くかくらいですかね…」
「アンタなら敵地でも出来そうな気がしてならないね」
「うーむ…しかしじゃのう」
「一応、転移魔法も使えるので何かあれば一瞬で逃げれますけど…」
「「「 ………は??? 」」」
「お前は魔法のびっくり箱かよ!!!」
「こんな冒険者初めてみたわ……」
「この件が終わったらアルスロー家に仕えんかの?」
「アルノルト様!ギルド長の目の前で引き抜きはやめてくださいな!」
「いいじゃろう!ワシは領主じゃぞ!!」
子供か!!!
「………有り難いお話しですが、俺はのんびりと冒険者をやりたいんです。誰かに仕えるのは今は考えてません」
ギルド長も勝ち誇った顔しないの!
「ふむ、残念じゃのう。…よし分かった。お主に全てを託そう。ただし、今この街で希望はお主だけじゃ。決して無理だけはしないでくれの」
「もちろんです」
「そうと決まれば話しを煮詰めるかの」
その後決まった話しと言っても
結局俺が突貫する。突貫に際しては少数精鋭の方がリスクご少ないだろうという事。
屋敷にいる人物達は出来れば生きて捕縛。
屋敷の安全確保ができたら、炎初級魔法のファイヤーボールを打ち上げる。不測の事態や退避時は可能な限りウォーターボールを打ち上げる。危険だと思ったら転移でギルドに逃げる。このくらいだ。
「ではよろしく頼んだぞ!!」
危険だったら転移して逃げろ。と、何度もアルノルトさんからの有り難いお言葉で耳にタコが出来そうだなと思いつつギルド1階に向かうベルゼだった。
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次の投稿は明日になります。
次話もよろしくお願いします。
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