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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第3章 - 上級冒険者編 -
134/142

第134話 - 相対す -

遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

残念ながら過労死で異世界に行く事はまだ叶っておりませんでしたが、少々書けていたので今年初の投稿です。


2022年も拙作をよろしくお願いします!





※投稿が少々空いてしまったのでざっくりとあらすじ※


リエルにかけられた精神の封印魔法を解く為にエルフの森〈アールヴ〉へと来たベルゼとティア。

封印魔法を解く最重要の鍵は容易に手に入ったものの、ベルゼはエルフによる強制イベントが発生。

ティアは亡き師匠の師匠と出会い、こちらも強化イベ中。


そこへ魔族襲来の報せ。

全ての魔法を封じる魔法〈アンチマジックエリア〉が発動され、アールヴを守る結界魔法が破られた後、魔族に誘導された魔物がアールヴへと押し寄せる事態に。


得意の魔法が使えないエルフ達vs数千を超える魔物の戦いが始まった。



※ーーーーーーーーーー※ーーーーーーーーーーー※



そんな感じです。

今年もコロナ次第で投稿頻度に大きく影響が出るかと思いますが、作者が過労死で異世界転生するまでは書き続けるのでよろしくお願いします。




 ハスカータの夢想一閃が放たれ、ティアが防衛部隊と共に戦闘を開始した頃、[北口]のベイラとヴィラは上機嫌に魔物と戦っていた。




「ベイラ!なんか嬉しそうだなァ!」


「わかる〜?」


「そりゃあお前が銃を振り回(ガンプレイ)してりゃあな!」


「貴女もいつもより嬉しそうよぉ〜!」


「そりゃあそうだろ!なんてったってヴィール様が戦うんだからなァ!」


「そうねぇ〜!ヴィール様が出て戦う以上、私たちも早いところ魔物を倒さないとねぇ〜!」


「こっちがトロトロしてるようじゃ1人で戦うヴィール様に顔向け出来ねえからなァ!」


「そうねぇ!頑張りましょう〜!」




ーーーー



 ベイラがガンスピンで、背面から投げた銃をキャッチしている最中、[西口]でも戦闘が繰り広げられていた。




 エルフ達の長い寿命の間で培ったコンビネーションを駆使し、遠距離からの狙撃部隊を中心に、近距離部隊が撃ち漏らしを掻い摘む安定した戦い。それは先ほどまで(第一ウェーブ)と同じ戦法。



 第一ウェーブの時の様な中ランク程度の魔物であれば、頭に一発ぶち込めば(ヘッドショットで)大抵の魔物は倒せるのだが、今度の第二ウェーブは少ないながらも高ランク(B以上)が混じり、それらは硬かった(・・・・)



 頭に数発撃ち込んでも倒れるまで時間がかかる魔物や、知恵があるのか頭を守る仕草を見せる魔物もいた。


 その隙を縫って、他の魔物が西の入口へと少しずつ進行する。

 押されつつも間引く事は出来ていたが、やがて前衛部隊に負傷者が出始めた結果、間引く量が減り、魔物の進行が止められなくなる悪循環に陥った。



 そして遂には西の入口を突破、アールヴ内へと侵入されてしまう。




 一度崩れた防衛ラインは決壊したダムの様に、魔物を雪崩れ込ませるかに思えた。……が、それを止めたのは一人のハイエルフ(・・・・・)だった。



 アールヴに棲まう唯一のハイエルフ。



 彼女は監視者(・・・)の任を一時放棄し、この西の入口へとやってきたのだ。

 そして今まさにアールヴへとなだれ込もうとしていた魔物を全て(・・)殴り殺した(・・・・・)のだ。



 頭部に数発入れないと倒せない魔物を。




 魔法は使えない現状だが、属性の解放者であるヴィールは、赤青緑茶に光る謎のオーラに包まれ、精霊や身内ですらその覇気に怯える中、入口を抜けてきたその全てを撲殺した。




『せっかく張った結界を!何してくれてるのよ!!ボケぇ!!!』




 本来、女神ですら嫉妬するほどの美貌を持つ彼女が、普段は見せない鬼の形相である。自国の危機に…いや、せっかく張った結界を無効化された事にブチギレているようにも見える。


 側から見ていた防衛部隊の者達は、数十年振りに見るその鬼気迫る表情と、銃弾すら通しにくい硬い皮膚に覆われている高ランクの魔物を、撲殺できるとは到底思えないその白く細い腕から繰り出される死のパンチに震えた。やはりこの人には何があっても絶対に逆らわないと。中には普段とのギャップに興奮し、違う意味で震えた者もいたそうだが…。




ーーーー



 ティアとハスカータのいる[東口]は、先頭で戦闘するハスカータと、彼女(ハスカータ)の間合いから離れて斬り漏らした魔物を狩るティア。そして2人に巻き込まれないよう(・・・・・)別の方向を遠距離狙撃する後衛部隊。



 こちら(東口)は、主にハスカータのおかげで終始安定し入口を死守することができていた。

 彼女の立ち回りは防衛ではなく、殲滅。

 次から次へと押し寄せる魔物をランクなど関係なく片っ端から斬り伏せる。


 その様相に一切の危なげなどなく、時には意図して斬り漏らし、ティアのリハビリにすら協力し、その様子を見る余裕すらあった。



 そのティアは、ハスカータの力量に感動しつつも、自分の身体に異変がないか都度チェックしながら次々に魔物と戦っていたが、魔力増幅魔法以前と何ら変わらない、いや心なしかそれ以上の手答えを感じていた。



「ん!」



 身体の調子が良い。もっとこちらに回せ。そんな態度でハスカータに目配せをするティア。


 それを見てニヤリと笑うハスカータは、「それならば」と、わざと斬り漏らしを少しずつ増やしていった。





ーーーー








 各所でエルフ達が善戦し、調子を取り戻したティアが魔物の数を減らしていたその時。それは唐突にやってきた。



 感知能力に優れない者も、誰しもが大気に発せられた威圧感を受け取った。それは姿を見ずとも何が来たのか一瞬で理解させるほどだった。







「本命がきたようじゃな」

「ん。流石にドラゴンは厳しい。」

「ティアよ、ここはお主に任せても良いかの?」

「ん。片付けたら援護に向かう。」

「了解じゃ。さっさとドラゴンを倒して小僧(フウガ)がお主の身体(猫耳)を触りたがっておった話を聞かねばならぬからな」

「ふ。なら、私も早く行かないとね。」

「そうじゃのう…。ここの魔物も少なくなったが無理はせぬようにの。」

「ん!」




「あらぁ〜ヴィラこれはまずいかもぉ〜」

「ちっ、トカゲ風情がイキがってんじゃねェぞ」

「そんな事言ってえ〜」

俺たちの方(北口)は魔物が減ってきたから後は任せて向かうか!」

「そうねぇ〜なら急ぎましょう〜!」

「ああ!」





 各所の防衛にあたっていたそれぞれの強者が、アレは自分の相手だ。と、認識し行動を始める…が、[西口]の様子は他とは異なった。





「ヴィール様…!この威圧感はド、ドラゴンでしょうか!?」


『そうね…いくらハスカータがいるとは言え、流石に厳しいかしら…。私も行きたいのだけれど。」


「お任せください!と言いたいところですが…」


『なんでここ(西口)は魔物が減らないのよぉ!聞いてた話と違うのだけど!」


「申し訳ありませんっ!!多方面からこちらに押し寄せて来ている模様です!」


『私がここを離れたら、また入口を越えられてしまいそうね…。なるべく早く魔物を殲滅させるわよ!』


「は、はい!!」



 ヴィールのそばに付いていた指揮官は部隊の再編成をする為に慌てて走り去っていった。




『…多方面からここに(・・・)魔物が集結してる?何か怪しいわね』



 駆け出して行った指揮官の背中にヴィールの独り言は届く事はなかった。





 そして、ついに戦場の誰もがその咆哮を耳にする。





『ギャァァァァァァアアアアアアアアアアアアウ!!!!!!』






 凄まじい咆哮、圧倒的な威圧感。翼を羽ばたかせながらアールヴ東部の森の上空に現れたのは濃い藍色に包まれた藍鉤翼竜インディゴートドラゴンだった。






「ブレスを吐かない下位竜とはいえ、小国をも滅ぼすドラゴンじゃ。心してかかるかのう」



 藍鉤翼竜インディゴートドラゴンの元へ最初に到着したのは、位置的に一番近かったハスカータだったが、その姿に追いつく者がいた。



「ハスカータ殿!」


「ぬ、ヴィラか。久しいのう。お主も出張ってたのか?」


「はっ。ご無沙汰しております!我々が担当していた北は、落ち着きを見せたので部下に任せ、ベイラと共に参りました」


「あら〜ヴィラはハスカータが隠居してから会ってなかったのねえ〜。ところでヴィール様は来てないのかしらぁ〜?」


「ん?ヴィール様も出ておるのか?」


「そうよ〜」


「何ぶん実弾の底が見え、魔物の減りが悪く、手が足りない為、西の防衛に回って頂きました。」


「お主、ヴィール様を駒扱いとな…」


「いいのよぉ〜ヴィール様も日頃の鬱憤を晴らしたがっていたし〜!」


「ふむ…それは…確かに。ガス抜きにはちょうど良いかもしれぬな。」


「ええ。申し訳なく思っておりますが、使える者は使えと貴方に(ハスカータ)教わりましたので。…そんな事より」



 ハスカータとヴィラの久しぶりの再会は、彼の(・・)お世辞にも綺麗とは言えない言葉で遮られ、ゆっくりと味わう事はできなかった。



「オイオイ!俺様達とドラゴンを前に呑気なエルフ共だなァ!」


「それほど余裕なつもりなのでしょう。私達はただの中級魔族に見えているでしょうからね。」


「ああん?テメーがブレスを吐かねェドラゴンなんか呼んだからだろうがよォ!このカマ野郎!!」


「はぁ…やはりエルフ共の前に貴方を殺すべきですかね?」


「やめんか二人とも!これからが本番なのだぞ!」




 三人の会話を中断する様に現れたのは、例の魔族達。【千里眼】で確認したヴィールからそれぞれの特徴は聞いているが、確かに聞いた通りの出立ちであった。



 一人目は、この世界ではあまり着る者は少ない…イメージしやすく例えるならば、世紀末感を漂わせるトゲトゲが付いた謎の衣装に身を包み、普段のヴィラよりも口調が悪い。

 二人目は、女性の様な装いであるが、世紀末覇者の言葉を信じるならば中身は男なのだろうか。

 三人目は、両者を宥めながらもエルフ最強の剣士とアールヴNo2(ヴィラとベイラ)への警戒を怠っていない。





「魔族とな?久方に見るのう」


「ハスカータ殿、ヴィール様からのお話では此奴らが【魔法無効領域(アンチマジックエリア)】を。」


「ほう…。何のつもりか知らぬがアールヴを脅かすのならば我が刀の錆にしてくれる」



「ハッ!ババアが抜かしてろ!刀じゃ俺らには勝てねえぜ!」


「元防衛隊長、無詠唱の白鬼。今は刀がメイン武器と聞いてるけど…あとは雑魚でしょ?」


「お主ら!あのお方の命だ。油断なくゆくぞ。」


「ちっ!わーてんよォ!」


「ええ。抜かりなく殺しましょう」





 突然現れた魔族。そしてドラゴン。戦闘は不可避と誰もが分かっていたが、今その火蓋は切って下ろされた。

ご覧頂きありがとうございます!

作者を応援して下さる方はブクマと評価をお願いいたします(スライディング土下座)


次話は書き留めたものが少々あるので近々投稿できたらと思いま…す…。


次話もよろしくお願いします!!

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