第12話 - リエル -
第12話です。
ブクマ、高評価ありがとうございます!
日に日に増えるのが本当に嬉しく思います…!
誤字脱字や稚拙な文章なのに大変恐縮ですが、めっちゃやる気になれるのです。 今後ともよろしくお願いします!
受付嬢のヘレンが勧めてくれた宿、"夕暮れの鐘"はギルドからそう遠くない場所に位置していた。
「こんにちは、泊まれますか?」
「はーい!泊まれますよ!」
(ね、猫耳!!)
受付にいたのは猫耳の生えた女の子だった。この世界に来て初めての獣人である。ベルゼは少し興奮した心を落ち着かせる。
「じゃあとりあえず2泊で、その後はその時考えるよ」
「分かりました!ご飯は1食銀貨1枚です!」
2泊分の料金を渡し、鍵を受け取り部屋に行く。部屋はそれなりに広く、落ち着く雰囲気だ。
「エリースでは色々あったけど、アルスローではのんびりランクを上げたりしようか…」
別にランクを上げたい訳ではないのだが、やはり上に行けば強い魔物の討伐依頼や、ギルドに対しても色々融通が利くようになるので、どうせなら上げるか。とベルゼ考えていた。
♢
「なにこれめっちゃうまいいい!!」
宿屋"夕暮れの鐘"に着く頃にはすっかり陽も落ちて暗くなっていた。
部屋を確認したベルゼはすぐに食堂に向かい、今日のオススメメニューを頼んでいたのだ。
今日のオススメは、所謂ビーフチューみたいな煮込み料理と、サラダ、それと柔らかいパンだ。この煮込み料理がめっちゃ美味い。
「ありがとう、これはオークの肉をじっくりじっくり煮込んだウチ特製なんだよ!」
宿屋の受付をしてくれた獣人の女の子が説明してくれた。
「私はミーシャ!見ての通り獣人だけどよろしくね!」
「ベルゼだ、よろしく。凄く田舎から出てきたんだけど、アルスローでは獣人も多いの?」
「アルスローは普通に多いかな?前の国王様の時代から獣人に対する差別が少なくなったから、今はどこの街にもいるよと思うよ!」
そうなのか。エリースの街では見かけなかったけど普通にいるのか。ああ、ちょっとモフモフしたいな…
前世ではアレルギー性鼻炎だった為、動物を飼うどころか飼ってる家に行くと、くしゃみと鼻水が止まらなくなったため、敬遠していたのだ………
この世界に来てから動物や埃もあまり気にならなくなっていたから忘れていたが、この感じだと多分大丈夫だろう。
ミーシャと少し話しながら美味しいご飯を完食し、心まで満たされるベルゼであった。
♢
翌朝も宿で朝食を取り、昨晩のうちに頼んでおいた数食分の料理をこっそり"収納"にしまったベルゼは、ファングウルフが根城にしているという森に来た。
思ったより探知に引っかからず、出てくる魔物を倒しながら、わりと深くまで潜ってきてしまっていた。
「あーこの反応がそうかな…?」
10匹ほどの反応があり、そこに向かう。
「やっと見つけたか。さてどうするか」
距離があるためかファングウルフはこちらに気がついていない。が、数も多い。討伐証明するために消しとばす魔法は使えない。
「うーん…そうだなあ…」
すると前世の趣味であったFPSゲームを思い出した。狙撃銃みたいにこの遠距離から魔法の銃弾を撃ってみる。そんなイメージで魔力に集中する。
魔力を高めたからか、ファングウルフ達もこちらに気がついてしまった。だが…
「今更気がついても遅いんだよっ」
高まったイメージと魔力を放出する。
それは銃弾のような形状だが、真っ黒に染まった魔力の塊。複数射出した為、軌跡が辛うじて目で見えたが、それは既にファングウルフ達に命中していた。
「おお!イメージ通りだね!イメージと魔力によって大きさとか速さが変わりそうかな」
オリジナル魔法は名前を付けた方が魔法研究の際に楽だという事に最近気がついた。
「今のは…うーん、闇魔法で作った黒い弾だから"ブラック・バレット"と呼ぼうかな」
そのままである。ネーミングセンスがあるとは言っていないのである。
高速連射で高威力、なかなか使い勝手も良さそうな魔法が作れたベルゼは上機嫌で討伐証明の尻尾を剥ぎ取っていく。
魔物の素材はどこの部分が売れるかまだ全然覚えてないからそのまま持って帰る事にする。
剥ぎ取られた尻尾と体を収納し終わると探知に少し大きい魔物が3体映る。わりかし近いな。
不意打ちを食らって怪我をしたくはないので、どんな魔物でも魔力の鎧 "マジックアーマー" を装備して戦闘をするのが、最近のスタイルだ。
というのも、アルスローに向かってる最中に休憩がてら食事をしていると、突然、猪のタックルを食らったのだ。食後でウトウトしていた時の出来事である。
その時からなるべく魔力コントロールの練習も兼ねてマジックアーマーを装備している。
余談だが、猪に体当たりされた際ほんの少しダメージが入ったのだが、大した事はなかったが
猪はそのまま食事の足しになってしまった。
おっと、今は付近にいる魔物を狩り切らねば。そう思い、ブラックバレットを放出直前にして索敵。
草むらが揺れそこに現れたのは、先程戦ったファングウルフよりも大きい個体。
その後ろにはその個体に乗ったゴブリン…である。
前に戦ったゴブリンよりなんか強そうだし、装備もちゃんとしている。ただのゴブリンで無いのは間違いなさそうだ。
ファングウルフ(大)×3
ゴブリン (強) ×1
(見るからに強そうだな)
そう考えマジックアーマーを厚めにする。
いざ戦闘!というところでいきなり大きな声が割って入る。
「君ー!!逃げてーーーー!」
声の主は大声と共に俺と猪達の間に割って入る。
「ごめんなさい!これはゴブリンロードよ!早く逃げて!」
「ゴブリンロードって言うのか」
「余裕かましてないで早く逃げて!!!」
そう言って彼女は剣を抜く。薄っすら金色の魔力を帯びて光る刀身は、彼女の金髪に合い、とても綺麗だった。その神々しさはこの鬱蒼とした森に不釣り合いで見惚れてしまう。
「ライトニング・スプリット!」
刀身から放出された斬撃が2股に分かれて飛んでいく。
「「グガァァアアアアアアアア!!!」」
2体の猪に直撃し、その命を刈り取る。
(強いな…それに今詠唱なかったよな……?)
「どうだっ!あとはもう1体とロードだけね。…あれ?」
「これのことか?」
「そうそう、それ!ってなんで倒してるのよ!!!」
「いや、そっちが2体相手してる間にこっちに攻撃してきたから倒したんだけど」
「よくまあ無傷で…」
少女がライトニングスプリットで2体を相手にしてる間、狡猾にも回り込んでいたゴブリンロードと、猪(大)の攻撃はマジックアーマーで完全に防がれていた。そこをブラックバレットで撃ち倒していたのだ。
マジックアーマーの強度とブラックバレットの威力もとりあえず試せたから、まあ良しとしよう。
「いきなり戦闘に巻き込んでしまってごめんなさい!私はリエル! Aランク冒険者で今はBランクパーティ "大空の雷"の臨時のパーティーメンバーよ」
「あんまり気にしないでくれ。俺はベルゼ、ランクはDだよ」
「あら男の子だったの!可愛いから女の子かと思ってたわ!」
「まあ……よく言われるよ」
もはや諦めているベルゼ。最近よく言われるから一々反応するのも面倒になってしまったのだ。
「それにしてもDランク冒険者がゴブリンロードを瞬殺とは…やるわね! それに比べてあの子達はどうして上手く戦え無いのかしらね…」
「あの子達?」
「そうそう、私が臨時で入った……」
「姉さーん!!大丈夫ですか!!」
「リエルさん!早すぎ!」
「ロードもう倒してるっスよ!」
「ああ、ゴブリンロードを追いかけるのに夢中で忘れてたわ…」
とりあえず、無事ファングウルフ5匹の討伐も終わったし街に戻るとしよう。
「じゃあ俺はこれで」
「いやいや待ちなさいよ!このゴブリンロードはあなたの取り分よ!」
「えーいらないよ。重たいだけだし」
「なら私が運んであげるからギルドに戻ったら取り分受け取ってね!」
そう言いながらリエルは鞄っぽい物に魔物を収納していく。
「えっ…それなに…?」
「ああ、これはマジックボックスと呼ばれる魔道具よ!ダンジョンの報酬でドロップしたのよ。」
「ダンジョン…」
「そうよ。王都の西に出来たダンジョンの下層部で入手したのよ」
「はえー!楽しそうな響き」
「今度行ってみるといいわ。ただ、ダンジョンマスターにはどうやっても勝てないと思うから気をつけてね!」
「そんなに強いのか…楽しそうだな…」
「姉さん!そろそろ街に戻りましょうよ!」
「あ、そうだったわね、みんな一旦戻ってクエスト完了の報告をしに戻るわよ!」
「「「はい!」」」
ベルゼは森で出会ったリエルと大空の雷のメンバーとギルドへと向かうのだった。
ご覧頂きありがとうございました。
今晩もう1話投稿予定です。
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