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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第3章 - 上級冒険者編 -
119/142

第119話 - いざアールヴへ -


ミハエルにシスコンなんて言ったら最上級魔法ぶっぱされそ(文字はここまでしか読めない)



今話はちょっと短めです。前半はミハエルの過去と、ベルゼが急にやる気を出したきっかけ、後半は時系列的に117話の後に繋がる展開です。


次話からやっとアールヴ編に入れます。


 ミハエルが決めた覚悟。

 それは自身に前世(・・・・・)の記憶がある(・・・・・・)という事。そうそれはつまり…



「……お義兄さん」


「やめろ、首を刎ねるぞ」



 流石に今の(・・)お前に妹はやらん。






ーーーー



 ミハエルは再びこの世に生を受けて成長し、12歳の頃、突然前世の記憶を思い出した。

 それは今世の両親がテイムしていた大型犬タイプの魔物と戯れていた時、覆い被さるように抱きつこうとした犬と、前世での最後に見た光景とがリンクした事に起因する。


 自分と妹を魔物から守って死んだ両親のこと。魔物に追われ最愛の妹を庇って死んだ自分自身のこと。あの日、あの魔法使い(・・・・・・)が、自分らが住む村に魔物をけし掛ける魔法を使っていたのをたまたま見かけてしまったこと。


 全てを思い出したミハエル。

 もちろん今世の両親には産んで育ててもらった事に感謝している。だが、再び同じ世に生まれたからにはやらなくてはいけない事があると12歳のミハエル少年は覚悟を決めた。


 

 もし万が一、前世の両親や妹が自分と同じよう再びこの世に生を受けているならば会いたい。

 そして、あの魔法使いをこの手で抹殺すること。


 彼のその後の人生はこの2つの目標の為、血反吐を吐く様な努力、後ろ指を指されながらも目的に近づく為にどんな事もした。その結果、今の地位まで上り詰める事になる。






「いや、私の話は良いのだ。そんな事よりお前はやらなくてはならない事がある。」


 と、このタイミングで言うのは卑怯かもしれない。だが、そう言えば彼は必ず奮起してくれるという打算があった。




 だってそうだろう?

 数分前まで死に体だったお前が、今どんな顔をしているか自分で分かっているのか?

 俺が隠していた秘密を、お前にとっては全く関係のない話を聞いた途端にだ。お前の中で何があったと言うのだ。



「ああ。分かってる。必ずリエルを目覚めさせるよ」



 卑怯者と呼ばれても構わない。お前にとって彼女がどんなに大切か十分理解した。だがそれと同じように私も彼女の事を想っているのだから。

 全てを投げ出し、最愛の妹のために今すぐにでも解除魔法を探しにいきたい。だが、()の動きを探り続けるためには折角上り詰めたこの地位を捨てる事は簡単ではない。



 だが、今の覚悟を決めたお前になら託せる。大事な大事なたった1人だけの妹を…



「よろしく頼む」


 






@@@@@@@




「黒い靄の発動条件は結局分からずじまいだった(・・・)な」


「ん。でも今は勝手に(・・・)発動してくれるからいい。」



 リエルにかけられた精神の封印魔法を解く方法を得た俺たちは、森人(エルフ)の住う聖地"アールヴ"へと向かって歩いている。


 アールヴの中心に聳え立つと言われている世界樹から得られる雫、つまり世界樹の雫と諸々の素材を調合し得たものがエリクサーとなる。諸々の素材は比較的容易に揃えられる物で、世界樹の雫だけが鬼門なのである。




「勝手にっても、"なんでか発動する" が "攻撃から守ってくれる" になった程度だけどな」


 まあそうなんだけどさ、任意で好きなように使えないんだよアレ。片手(しかも利き手じゃない方だけ)だと不便だから、自動防御(・・・・)以外で上手く使えないかなと思ったりするんだけど。それに、右眼開けてると地味にHP削れてくの普通に怖いからね。前に検証したけど削れていっても0にはならないけど、でも普通に目開けてて気がついたら残りライフ1とか怖すぎるでしょ。デコピンでも死ぬよ?



「ま、今後も検証はしていきたいな」


「ん、いつでも手伝う(・・・)。」



 アールヴへの道中、基本飛行魔法(フライ)で移動しているが、休む時には必ずティアと模擬戦をしている。


 ことの発端は、「魔法が使えなくなった場合の対処法を鍛える(フンス!)」って言い出したやつのせいなんだが…つまり剣技の向上を目的とした模擬戦を頻繁にやっている。

 向こうは手伝うというより、自身の為にやってるような気がしてならないのだが。



「そろそろアールヴの入り口っぽいかなー」



 手頃そうな切り株に腰掛けて、ある本を取り出す。以前読んだ御伽噺本「秘境・アールヴへの道のり」を、出発前に入手してきたのだ。



 その本によると、獣王国から更に南下すると、広大な森林の中1本だけ馬鹿でかい巨木が目に入る。その巨木の麓がアールヴと言われているのだが、エルフ達の結界魔法により、空から近づく事ができない。この結界魔法は、竜や飛来できる魔物から散々襲われてきた故、稀代のエルフ達がアールヴ全体を守護する結界を張ったとある。


 竜の攻撃から護られる結界ってすごいなーと感心しなくもないが、そのせいでアールヴの手前の森林群から徒歩で向かわなくてはならない事に若干の苛立ちを感じる。

 




 故に、秘境。

 故に、国交があるとはいえ訪れる人間は限りなく少ないのだ。



ベルゼが急にやる気を出した理由

・やっぱりリエルの兄だったミハエルに叱咤された事

・ミハエルが覚悟を決めてこの世の誰にも言っていない秘密を自分に打ち明けてくれた


→コイツがリエルの為に頑張ってるのに俺もいつまでナヨナヨしてられない


単純なんですよ彼。きっと。



ミハエル→妹と仇の天秤

ベルゼが覚悟決めたからお前に妹任せる


ーーーーーーー


本日もご覧頂きありがとうございました。

出来ているストックはとりあえずここまでになりますので、本業の合間を縫ってちまちま書いていきます。


今度は数ヶ月も空くことはないと思います。きっと多分メイビー。

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