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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第3章 - 上級冒険者編 -
116/142

第116話 - 二人旅 -

皆様ご無沙汰してます。

4ヶ月振りの投稿になりまして、大変長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。。

コロナの影響で本業の多忙が一向に収まらず、ここまで空いてしまいました。


久しぶりに本小説を読んで下さってる方は、少し前に遡って読んで頂けると雰囲気を思い出せるかなと思います。また、本小説の今後については後書きに記載させて頂きます。(途中打ち切りはしません)


ーーー

・休載中に20万PVを達成してました!本当にありがとうございます!


・世間はクリスマスらしいですね!筆者にとっては普通の平日ですね!(メリークリスマス)


・コロナで色々大変ですけど、皆様体調はいかがですか。



ーーー宿にサラが来たあの日ーーー



「…そうだ。私の研究では世界樹から採れる雫を調合した万能薬(エリクサー)だけが、永遠の微睡夢から目覚めさせることが出来た。」



万能薬(エリクサー)

 ファンタジーではお馴染み必須レアアイテム。

 主に怪我や病気の回復など生きている者に対してのみ絶大なる効能を発揮する。




 前に文献で見ただけなので存在をすっかり忘れていた。ちなみに作り方も他の素材もその本に載っていたのを覚えている。


「とはいえ、前に私が赴いた時は雫が不作でね。それ以降は音沙汰もなければ、万能薬のストックも切らしてしまってね。」


 それを聞いたベルゼは表情を曇らせる。


「……世界樹の雫どころか、俺は今までエルフすら見たことないが、本当に存在するのか?」



 それはベルゼがなんとか絞り出した疑問だった。この女だけには弱味を見せたくないのだ。


 ベルゼがこの世界に来てから既に2年経過している。これまでの冒険や、大陸中を飛び回ってる近頃においても世界樹どころか、エルフを見たことがなかった。



「ふむ。エルフを見た事がない…か。それもそうだろう、彼らは"アールヴ"と呼ばれる森の聖地から滅多に出てこないからな。偶に変わり者が出張っているが、極端に少ないからだろう。」



 "アールヴ"と呼ばれる森の聖地は聞いた事がある。というか、この世界に来て間もない頃に、この世界について調べた際に古い書物で見た記憶だが、彼の地は幻と呼ばれるとあった為、「なんだ御伽話か」とスルーしてしまっていたのだが。



 (エルフまでテンプレ通り引きこもりか。なんとなくだけど現地に行っても、快く歓迎して貰えなそうだなぁ)



 そんな事を考えながらも続くサラの言葉に耳を傾ける。



「先代国王陛下の尽力もあって今ではエルフとの国交はある。遠さゆえ全く盛んではないがね。」


「ほう…?」



 幻の聖地と国交がある。前に見た古い書物には無い情報だが、それは少なくとも門前払いをくらう事はないということ。

 どうやら以前ベルゼが読んだ書物は国交を結ぶ以前に記された物だったのかもしれない。



「確か…その聖地とやらは獣人の」


「そうだ。ここより南、獣人が住う国"エクロン"の更に南に位置する。」



 そうなんだよなあ。といった顔のベルゼ。

 その古い書物で読んだ時に、在るとされている場所も記されていた。セレスタンの南方には獣人の住う大陸、"エクロン"があり、それを越え更に南下するとエルフの住う森"アールヴ"がある。



 実在するならばそこだろうという予想はあった。

 

 ここ最近、リエルにかけられた封印魔法を解除する(すべ)を探すため大陸を飛び回っていたが、南の獣人の大陸は行っていなかった。



 獣人の大陸へ行っていなかった理由としては、獣人は魔法を使えない。魔法を使えない種族に封印魔法の解除方法があるとは思っていなかったからだ。


 ティアからも話に聞いていたように、獣人は体内の器官が人間や魔族とは異なり、魔力を生成する事ができないのだ。その代わりに"氣"というものを体内で生成し、身体能力の向上に使うことができる。

 人間の魔力を生成する器官が氣になったと考えていいだろう。因みに魔族は、人間よりもその器官が発達している為、当然人間よりも魔力が多いらしい。ファンタジー物でよく見るやつだ。


 名前が出て来たのでエクロンの話をすると、毎年開かれている獣王祭に出場したいと言っていたティアは、リエルのために今年の出場を見送っている。それなのにわざわざエクロンに行くのは気がひけていたからだ。



 次に挙げる理由としては、まずは近い所からという事で、片っ端から人間の住む大陸を探していたのだ。そして、飛行魔法(フライ)自体を使える者が極端に少ないこの世界。人間より更に身体能力に秀でた獣人は視力もよく、迂闊に獣人の大陸を飛び回って存在が万が一明るみになってしまった場合、その情報が人間の大陸に持ち込まれる懸念があった。


 せっかく王家からの"お呼び出し"を断ったのが無意味に成りかねないという懸念からまずは人間の住む大陸を、高高度で飛び回っていたのだ。



(そうは言っても事が事だ。エクロンを高高度で素通りできるならフライで行っても良いか…?)

 


 そんな事を考えていると、ノックもなくいきなり部屋の扉が開かれる。と言ってもクロやカノミンが全く無警戒であったし、探知で部屋に訪れたのがティアだというのは分かっていた。



「べるぜ、リエルの服交換しに来…」


「ほう…?」



 サラが来ている事を知らないティアが普段のようにリエルの寝巻きを交換に来てしまった。それを見たサラの口角が上がるのをベルゼは見ていた。



「…君はアレか?動物園(・・・)パーティでも作りたいのか?」


 おそらく冗談のつもりで言ったのだろう。サラが他人のパーティにまで興味を持つような人柄ではないのは分かっている。


 ......それにしても、クロやカノミンだけならまだしも、ティアが入室した途端にこの発言。コイツはティアに獣人の血が流れているのを見抜く能力を持っている。正確に半分流れていると分かったのかは不明だが、少なくとも獣人と思ってそう言ったのは間違いない。



「お前は」



 ティアも俺の向こうに立っている女が誰か分かったようで、腰に差している刀に手を当てている。



「ああ、すまない。今日は旧友の見舞いに来たんだ。ベルゼに用があって来たわけではないから安心してくれ。」


「信用できない」



 そう言いながら愛剣エターナルイデアを抜き放つ。まあ、そうだよな。俺もコイツは信用してないし。



「ふむ。君くらいの実力で私をどうこう出来ると思っているのかな?もっとも、私の完璧な捕縛魔法を破った彼は今や右目と左手を失(・・・・・・・)ってしまった(・・・・・・)。今となっては、私に太刀打ちできないだろうがね。」



 そう言いながらサラはベルゼを見やる。




 そう、彼が着ている服。それは平凡でどこにでも流通している服なのだが、左手の中身は無くプラプラしているのだ。更には右目にも眼帯をしている。





「やってみなきゃ分からない」



 ティアは獣人の父と、人間の母の間に生まれ、亜人である事を隠し今までで生きて来た。ベルゼ達と出会ってからというもの、母と自分を捨てた獣人の父親を見返す為、血の滲むような努力で魔物を狩り、レベルを上げ、腕を磨いて来たのだ。



「やる気だけではどうにもならない事もある。それを教えてやっても良いが…寝込んでる旧友の前だ。今日のところは大人しく帰るとするよ。」



 そう言うとサラはベルゼに手を上げ、入ってきた扉に向かって歩いていく。



「ティア、リエルがいるんだ。今は我慢してくれ」



 ティアに振り返ったベルゼは、すたすたと歩いて部屋を出て行くサラを横目にティアへと言葉を投げかける。



「ちっ」


 ベルゼの言葉を受け、ベッドで寝ているリエルを見たティアは小さく舌打ちをするだけに留まる。


 

 そんなティアを宥めながら、ベルゼは一抹の不安が拭えない表情で退室していくサラの背中を眺めるだけだった。






ーーーーーー







「イライラするなよ。ティア。」


「ん」



 Sランク冒険者サラがリエルを見舞いに来てから2日後、そんな出来事を思い出しながら俺は現在、エクロンのかなり上空を飛んでいた。もちろんティアを連れて。



 リエルの面倒はCランク冒険者のハイク率いる"疾風の翼"に依頼として診てもらう事になり、2人でアールヴへと行くことになったのだ。


 というのも、ベルゼだけでアールヴへ向かおうとしていたところ、ティアから私も行くと言われ、リエルの看病の事で少し揉めていたところに、依頼から帰ってきていた彼らと遭遇したのだ。



CランクからBランクへとレベルアップを目指している彼らは、このところ休みなく立て続けに依頼をこなしていたが、今回の依頼が終わったら1ヶ月ほど休みにしようとしていた。冒険者たる者時には休息も必要、らしい。


 長い休みと言っても、その間に武器や装備も新調したり、剣技や魔法についてもスキルアップに充てるのだが、それ以外は暇な時間が多い。それゆえ、リエルの看病を喜んで引き受けてくれる事になったのだ。


 パーティメンバーの事だからと、ベルゼも断ろうとしたのだが、世話になった先輩の看病をと、疾風の翼、紅一点のリーナが譲らず渋々お願いする事にしたのだ。


 彼女らならリエルを頼めると思い、代わりにわりと高額の謝礼を支払う事にしたのだが、意図していなかった武器や装備の新調代も稼げると彼らは逆に喜んでくれて、更にはカノミンもリエルの側に居てくれるとの事だったのでありがたく2人でアールヴへと旅立ったのだった。



「あの女に捕まって実験体にされそうだったのにもう許したの」



 フライ中に身体強化で持っている籠に入ったティアが、咎めるようにベルゼへと疑問を投げつける。



「いや、そんな事はないけど。」


 まるでペット用のキャリーバッグに入った()だなと笑いながらベルゼは答える。

 そんな内心で笑っていた事に気がついたティアは膨れてぷんすかしている。



「……一旦飯にするか。」


「ん」



 時刻は昼時。快晴の空とは打って変わって曇天のような心模様のベルゼは、小高い山に開けた場所を見つけ、休憩する為に着陸する事にした。



本日もアクセスありがとうございました。


さて次話以降についてですが、まだ暫く不定期になりそうです。流石に今回ほど空くことはないと思いますが、一応どなたかウイルスを滅却する魔法を編み出して下さい。


一応年内にもう1話投稿できたらと考えてはいますが、変に期待させてしまうのは申し訳ないので、考えている程度に思っていてください。



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