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夢にまで見た異世界でのんびり冒険者をやりたい人生だった  作者: りるお
第1章 - 初級冒険者編 -
10/142

第10話 - 夜明けと共に -

10話目です!

ブクマ高評価ありがとうございます…!

誤字脱字や稚拙な文章なのに大変恐縮ですが、めっちゃやる気になれるのです。 今後ともよろしくお願いします!



 武器屋を出たベルゼは深くフードを被り街を行く。

 この世界では珍しい黒髪のボブヘアーは、知っている者が見たら一瞬でベルゼだと分かる。

 今話題沸騰中の新人冒険者として変に絡まれても嫌だからな。



 空は暮れ始めそろそろ夜に近づいている。

 今日の出発は諦め、宿に泊まり明日の早朝に出発する事にしよう。

 昨日の夜から今日の日中は色々な事に見舞われて疲れてしまっていたからだ。




 街の衛兵隊長のゾルデに言われ、全魔力の1/2程度の力でウォーターボールを放った結果、魔物の森とも呼ばれていた西の森をほぼ消し飛ばした。



 街の外で起きた大事件に、衛兵や冒険者の多くが駆けつけ、驚き過ぎて立ったまま気絶しているベルゼとゾルデを発見。2人の意識が戻り、事情を確認したのだ。

 不幸にもベルゼは、ゾルデにめちゃくちゃ怒られた。不服である。


 そして多数の人間に状況が知れ渡ってしまった事から言い逃れもできず、街中に広まる噂と、尊敬と恐怖の目で見られる事になってしまった。因みに割合は3:7位である。




 エリースの街に戻ったベルゼは、入り口に待ち構えていた衛兵達に見つかってしまい領主の館に馬車で連行された。

 エリースを治める領主、ルクハルト・エリースより必死な勧誘を受けたが、あっさり断る。



 ルクハルトとしては、やはりこれ程の魔法使いを手元に置いておきたいと思うのは当然であったが、最大限の好待遇でも首を縦に振らないベルゼを怒らせて街を消し飛ば…される事は無いだろうが、執拗に勧誘をしたせいで嫌気が差して他国にでも行かれてしまっては甚大な損失であると判断。


 それでもやはり簡単に手放したくないルクハルトは、友好的に繋がりを持つには…と必死に考えた結果、ギルドカードにエリースの家紋を刻む事を思いつく。

 そして秘密裏に使用人をギルドに走らせ、事情と作戦を説明する。


 ルクハルトが渋々折れたように思ったベルゼは、次にギルドへと向かう。衛兵隊長のゾルデと共に。

 ゾルデが付いて来た名目は、件のオークを倒した証明をする為という事で感謝をしながらギルドの扉を開ける。





「お、おい!アイツがそうなのか!」

「間違いない。直接この目で見たんだ」

「子供じゃねえか。いくらなんでも嘘だろ」

「ゾルデさんが一緒なんだ。間違い無いだろう」

「男なのか女なのか分からねえな」

「可愛い…」




 扉を開けた瞬間から聴こえてきた。

 受付嬢がすぐに駆け寄ってきて2階へと案内される。


「ギ、ギルド長がお待ちになってますので!2階へとお向かいくだしゃい!!」




落ち着いて。。








「ギルド長、ゾルデさんとベルゼさんをお連れしました!」


「どうぞ、お入りください」




 通されたギルド長の部屋は、書類の束や様々な本、参考書などで散らかっていた。



「お久しぶりです、フェストさん」


「ゾルデ殿も変わらずなご様子で何よりです」


「殿なんてやめてくださいよ」


「はは、それで彼が…」


「そうです。ウォーターボールで西の森を消しとばした新人冒険者のベルゼです」


「初めまして」


「ああ、最初に話を聞いた時は驚き過ぎて顎が外れてしまってね。回復魔法で治してもらったよ」


「はあ…」


「まあ、それほど驚いたという事だ。前日にギルド登録をした新人が、あの西の森を消失させたなんて普通なら信じられないのだが、衛兵隊長のゾルデ殿の証言から真実と判断したのでね」



どうやらゾルデの信頼度はかなり高いようだ。

脅してごめんねゾルデさん…



「さて、前置きはこの辺にして。今日君に来てもらったのは、高レベルオーク4匹の討伐、及び西の森の魔物達の討伐の報酬、及び冒険者ランクの更新についてだ。」



 ギルド長のファストが話を進める。


「まず、我がギルドで、というかエリースにおいて手をこまねいた高レベルのオークをソロ討伐できる実力者には相応のランクを与えたいのだ。ギルドとしては高レベル冒険者を低ランクで遊ばせるのは勿体ないとおもうのだが、いかんせん上が頭の固い連中ばかりで…な。

 高レベルオークをソロ討伐できる事から既にBランク冒険者相当といえるのだが、ギルド規則で飛び級は出来ないのだ。どんな功績を挙げたとしてもだ。つまり西の森の魔物討伐をもしたベルゼ君だが、現在Eランク冒険者の君がこれだけの功績を挙げたにも関わらずDランクにしてあげる事しか出来ない。すまないが了承してほしい……」


「いいですよ」


「そうだよな、これだけの功績を挙げてランクDは不満だ……えっ、いいのか?」


「Dで良いですよ。ランクは上がるなら上げたいですけど、今回それを目当てに討伐をしに行ってた訳じゃ無いですからね」


「そ、そうか…それならこちらも有り難いのだが…」



 すんなり受け入れられるとは思っておらず、逆に歯切れが悪いギルド長のフェスト。



「で、では次の話をする前に、ギルドカードの更新に時間がかかるから先に渡してもらおうか。話をしているうちに更新出来るだろうから効率が良いだろう」


「そうですね」



 そう言ってギルドカードをお付きの秘書みたいな人に渡す。



「では次の話だ。今回の西の森消滅で多くの魔物が討伐…消滅と言った方が良いか。その魔石を出来るだけ多くエリースのギルドに売ってほしい。もちろん可能な限りで構わない。」



 聞けば魔石は装飾品の他に生活魔道具に多く使われるのだが、エリースの冒険者は高ランクでない為、ギルドに入ってくる魔石の数が満足できるほどではないそうだ。

 

 冒険者は魔石のみでは使い道がないので必然的に売るのだが、需要と供給が合わないとの事。ご多忙に漏れず、俺も使い道の無いというか、貴重な財源である魔石は手元に置いておこうとはお思っておらず、全てを売る事に快諾した。




 話をしているうちに職員がギルドカードを持って戻ってきた。

 更新されたギルドカードを受け取ると、所々変わっていた。



「新しいギルドカードって色々変わるんですね〜」


「そ、そうなんだよ。とにかくベルゼ君はDランク冒険者として恥じないように活動してくれよ!」



 謎に焦っていたフェストギルド長に挨拶をし、ギルドを出る。そして今に至るのだ。



 このまま宿に帰って明日の早朝に街を出るつもりで、宿へと向かう。








 西地区に入り閑散とした道を歩く。すると突然前方を塞ぐ数人の人。



「お前がベルゼだなあ?先輩として教育してやるよ!」


「どうせ西の森の消失はゾルデがやったんだろ?」


「新人がDランクって調子に乗るなよ!!」


「そうだそうだ!!」


「わーめんどくせー。 俺は帰ってのんびりしたいんですよねー」



「うるせえ!やっちまうぞ!!」



リーダー格の男が腰に差していた剣を抜く。

傍らの3人も身構え、詠唱を始める。



「「「大気に集いし荒れ狂う雷、我が命令に従い、汝の姿を顕著せよ!サンダーボルト!」」」



詠唱が完了すると稲妻が水平に走る。


(思ったよりも小さい稲光だな)





ドゴォーン!

3本の稲妻はベルゼのいた場所へ着弾する





「やったか!!?」


「……それはフラグと言うんだよ」


「なに!どこから!!??」



 お決まりのフラグを無事回収してしまったリーダー格の後ろに突然現れたベルゼ。ベルゼに対して魔法を放った者は驚嘆する。



 身体強化を施した拳で、リーダー格を殴りつける。リーダー格はぶっ飛ばされ、壁に激突し意識を失う。


 リーダー格をぶっ飛ばした要領で、転移しながら2人を殴り飛ばす。

 残った1人の後ろに転移し、とても12歳前後に見えるあどけない顔からは想像できない程の圧力がこもった声で問う。



「お前らは何者で何が目的だ?」



「お、俺たちは、Dランクパーティの、夜更けの月…だ。西の森を消失させた、お、お前が本当に、実力者だと思ってなかったんだ…! 新人が調子に乗る前に教育してやろうと宿を張ってたんだ。すまなかった、許してく…」


「うるせえ」



ドゴォーン!



 最後まで聞くのを待つ必要が無さそうだったので他の連中同様壁に激突してもらった。

 どうやら、噂を聞いたDランクパーティの嫉妬みたいだな。そうえいえば確かにゾルデとギルドに行った時に見た顔だったか。



 ボロボロになった装備をひん剥いてから、"収納"に入れておいた、先日道具屋で購入していた紐で4人を縛り、身体魔法で強化した体でズルズル引きずっていく。





 出勤してきたギルドの受付嬢が、入り口の前にほぼ裸で縛られて転がっている冒険者を見つけるのは翌日の朝になってからだった。

 リーダー格に貼り付けられた紙には「善良な市民を襲った荒くれ者。今回は見逃すが次はどうなっても知らないぞ」と書かれていた。


 そしてこの話は瞬く間に広まり、エリースのギルドに所属する者の間では『ベルゼを怒らせるな』という暗黙の了解が広まった。


 幸いな事に、縛られた4人を発見した受付嬢が恐怖のあまり出勤直後に失禁してしまった事は、誰にも知られていない。











 まだ日が昇る前。辺りは静けさと暗闇に包まれていた。


 昨晩のうちに、明日の早朝に出発する事を伝えていたベルゼは今まで泊まっていた"夜明けの宿"を後にし、街の入り口へと向かっていた。



「料理も美味かったし、またこの街に来る時はここに泊まりたいなあ」




「なんだ坊主、こんな朝早くにどこに行くんだ?」


そう声を掛けてきたのは、エリースの入り口を守る衛兵隊長のゾルデだ。


「ああ、ゾルデさんおはようございます。これから少し旅に出てきますね」


「旅って随分といきなりだな。とはいえ坊主の噂はエリース内で広まってるから居づらいもんな」


「そうですね。詳細は武器屋のおっちゃんに言ってるんで知りたかったら聞いてください」


「随分と早い別れになっちまったが、元気でやれよ」


「まあまたそのうち来ますよ。宿屋のご飯は美味しかったので。」


「ああ、そうだな」



 ゾルデに挨拶をし、ベルゼは新たな街へと向かうのであった。







ー ステータス ー


Name ベルゼ

Rank D

HP 35400/35400

MP 48900/48900


- 装備 -

○宵闇のローブ

・光以外の属性魔法耐性

・防御力 極大

・耐寒耐熱 温度調整

・破損修復

○回復の指輪

・HP.MP自動回復 (回復量大)


- 属性 -

炎,水,土,風,雷,氷,時,闇


- 固有スキル -

・創造具現化・遅延呪文



ーーーーーーーーーーー


ご覧頂きありがとうございました。

次の投稿もよろしくお願いします。


高評価、ブクマ等して頂けると筆者もやる気に満ち溢れます。それはもうモリモリと。合わせてよろしくお願いします。


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