なろう作品の大半の『登場人物紹介』は読むに値しない
このエッセイの内容は全てにおいて私個人の主張です。
特定の書き手様を非難したいわけではありません。
ただちょっと、新規の読み手に優しさを下さい。
なろう作品の『登場人物紹介』は紹介ではなく『設定』の公開だからだ。
なので『登場人物紹介』としては読むに値しない。
読み手の皆さん、作品の登場人物紹介は全文ちゃんと読んでいますか?
書き手の皆さん、煽りタイトルで申し訳ありません。ですが貴方の作品の『登場人物紹介』、本当にそれで大丈夫ですか? ちゃんと紹介になっていますか?
討伐指定生物のくまです。すこしお時間を頂いて『登場人物紹介』について検討してみませんか?
まず最初に、私は『登場人物紹介』を全否定する訳ではありません。
私にとって『登場人物紹介』とは物語を読むにあたり、登場人物の導入部分をすんなりと受け入れさせる為の前知識として捉えています。
この人物はこんな立ち位置、こんな行動理念で登場しますよ、と。
なので基本簡潔に、解りやすく期待を煽るように書かれるのがベストだと思っています。
では、なろう作品の『登場人物紹介』はどうであろうか?
そこには本文への期待を煽るような文章は存在しない。
紹介の範囲を越えて、設定を公開しているだけの駄文が記載されているだけだ。
登場人物を深く、深く紹介しようと掘り下げ過ぎてネタバレのオンパレード、本文に関係のないネタ要素を盛り込むならまだしも最新話近くの状況まで説明していたりする。
これもう、人物紹介じゃないですよ。
人物設定の資料ですよ。
例を出してみよう。
参考例
『田中キラッ♪ 黒髪黒眼中肉中背 42才 男 既婚者(小学校に通う娘有り) 主人公とは小学校から高校まで一緒の腐れ縁で、よく暴力事件を起こして警察の世話になる 大学は別に進んだが、取引先の会社の担当として久しぶりに再会する 実はシリアルキラーのロリコン 被害者はもう二桁を越えている 今は会社の社長秘書をタラシこんで会社の金を横領しようと画策中 主人公の妻とも関係を持つがまだばれてはいない』
……ここまでかかれると、本文読む必要があるのか分からなくなりますよね。
少なくとも田中キラッ♪が登場した時点で「あ、こいつシリアルキラーのロリコンだ」って浮かんじゃいますよ。
で、過度な身体的特徴や本筋に絡む設定を削ぎ落とすと……
『田中キラッ♪ 42才 男 主人公とは小学校から高校まで一緒の腐れ縁 大学は別に進んだが、取引先の会社の担当として久しぶりに再会するが……?』
『登場人物紹介』ではこの程度で十分かと。
最後を疑問系にすることで「何か秘密があるぞ」と匂わせて煽るのである。
どちらが本文に期待を持てるでしょうか?
まあ本当に参考するならば書籍の『登場人物紹介』をご覧ください。
一冊や二冊くらいあるでしょ?
できれば挿し絵の無いものを参考に。(なろう上で挿し絵を入れるのは希な為)
別にラノベであっても構いません。口絵のキャラに書かれている文を参考にしてください。
本文後に書かれているのは大抵設定資料なので、紹介文としては不適切かと思われます。
挿し絵付きの紹介文は身体的特徴を説明する必要がないので物凄く簡潔に書かれています。
これは作者が書いているのか編集者が書いているのか不明ですが本文前の前知識として最適の部類だと思っています。
恐らくではあるが、この様な人物紹介と設定を間違えている作者はwikiなどの情報サイトにある登場人物の欄を参考にしているのではなかろうか?
特にwikiなどは本編を読まずともwikiだけみればほぼ事が足りるように情報=設定や考察が書かれている。
読み手としては時間の短縮目的で利用するには非常に便利なツールであるのだが、書き手がこれを参考にして果たしていいといえるのだろうか?
書き手は『作品の本文を読んでもらいたい』のではないのだろうか?
人物紹介だけを読んだだけだったり、その後本文を斜め読みして読んだ気になった読み手から評価をされて本望なのだろうか?
私にはその気持ち知る事はできません。
私が『登場人物紹介』に求めているのは、本文への「期待感を煽る文」であります。
物語のキモとなる部分まで記された解説文、設定資料が読みたいわけではないのです。
たしかに何処まで明かすかは書き手様次第ですが、これだけは言いたい。
登場人物の「説明&解説」をしたら、もうそれは紹介文じゃない!
「説明&解説」をしたかったら『登場人物設定資料』として別文で書いて下さい!!
以上で私が、「なろう作品の大半の『登場人物紹介』は読むに値しない」と思う理由であります。
お付き合い下さいまして有り難う御座います。