【7】片想いです……
クローゼットの整理を終え、次は本棚を整理しようとした時だった。
ケータイが机の上で振動した。
<今からちょっと会わない?>
このメールによって私は今ドーナツショップに来ることになった。
本当は部屋の模様替えを続けたかったが、メールをしてきたのが絵里香だったので模様替えを中断した。
いつでもできる模様替えなんかよりも、なかなか会えない友達の方が優先だ。
絵里香は私の向かいに座ってドーナツを食べながら言った。
「望美なんか変わったっていうか、可愛くなったね。あたしがいない間に彼氏でもできたの〜?」
にやけながら私の額を突っつく絵里香。
「ち、違うよ!」
「あははっ、軽い挨拶よ、挨拶」
四カ月ぶりに会った絵里香はそれ程変わってはいなかった。
相変わらず私をからかい、甘い物が大好きで――
「で、誰を好きになったの?」
「なぇっ!?」
――私のこと何でもお見通しの幼なじみ。
私と絵里香は家が近くて、幼稚園から中学校までずっと一緒だった。
でも、家庭の事情で中三の時に引っ越してしまった。
それ以来、こうして会えるのは年に二、三度くらい。
「はーい、お姉さんに話してご覧なさーい」
満面の笑みでわざとらしく耳を傾けてくる絵里香。
昔から、勘と頭の回転が早い絵里香には何もかも悟られてるような気がしてた。
それに、絵里香には何でも話せてしまう。
絵里香が何でも話してくれたみたいに……
「……高三の時、同じクラスだった人」
うんうんと嬉しそうに頷く絵里香。
「その人の名前は?」
「よ、吉岡君……」
「現在の状態、状況は?」
「同じ大学の……知り合い……」
「知り合い?せめて友達って言いなよ〜。つまり、片想いってこと?」
ストレートな言葉に、私は耳まで赤くなっているであろう顔を下に向けたまま頷いた。
「片想いです……」