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【61】あいちゃんの胸の内


「私、勝手に二人に除け者にされてるって決め付けちゃって、二人のこと避けるようなことしてた。私の異変に気づいてもらいたい、その理由を察してもらいたい、私がいなくなったら二人は捜してくれる?って、二人に甘えた考え方ばっかしてた」


 あいちゃんは胸の内を全部話そうとしている。


「もっともっと早く言ってたら……二人に面と向かって、思ってることちゃんと言えてたら──」


「言えたじゃん」


 話ながらだんだんと俯いていたあいちゃんの顔がぱっと上がり、尋ちゃんを見た。


「今ちゃんとあたしたちに言えたでしょ。なら、万事OK!ってことで、ね?」


 あいちゃんがチラリと私を見る。


 私が頷くのを見てあいちゃんの顔が明るい表情になった。


「ところであいちゃん、聞きたかったことあるんだけど──」


 尋ちゃんがにやにやしながらあいちゃんに詰め寄る。


「カッコイい車を運転するカッコイい彼氏さんとはいつから付き合ってんの〜?」


 そういえば、澤田君があいちゃんと男の人が車に乗ってるの見たんだったね。


「ええーっ!?わ、私、彼氏なんていないよ!」


 大きく手と首を振るあいちゃん。今の話を聞いて本気で驚いてるようだ。


「違うの?ゴールデンウイークにあいちゃんがカッコイい男の人と楽しそうに車に乗ってたっていう目撃情報があるんだけど」


 尋ちゃんの話を聞いてあいちゃんはクスクス笑い出した。


「あはは、それね。それ私のお兄ちゃんだよ」


「へー、そうだったんだ」


「……なんだ、そうだったんだ」


 どうしてかちょっとガッカリしている尋ちゃん。


「私に彼氏なんかできないって」


「何言ってんの。あいちゃんも好きな人ぐらいはいるんじゃないの?」


「好きな人……あっ、そういえば──」


 あいちゃんが私の方を向く。


「私、さっきのあの場所にずっといたんじゃないの」


「そういえば、あたしが捜してた時、あいちゃんどこにもいなかったけど、どこにいたの?」


「ずっと図書館にいたよ」


 ……もしかして!


「あっ、図書館はあたし捜してないや。望美ちゃんが藤枝君に呼ばれて図書館行くみたいだったから」


 尋ちゃんの顔も私に向いた。


「ああ、あいちゃんがいたなんて気付かなかった」


「まぁ……望美ちゃんお取り込み中みたいだったし」


 どこまでを話したらいいのかを迷ってるようで、あいちゃんは曖昧に言った。

 だけど、その曖昧さが尋ちゃんの好奇心をくすぐってしまったらしい。


「何、何、何?望美ちゃん、藤枝君と何かあったの?」


「えっと……」




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