表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/64

【19】卒アルマシンガントーク


 昼休みには遅咲き桜に行って、吉岡君とおしゃべりするつもりだった。

 でも、尋ちゃんと生野さんとのおしゃべりから抜け出せなかった。


 まぁ、また明日しようかな〜。吉岡君、きっと毎日お昼はあそこだろうし。




 なんて、また明日、明日と考えている内に日曜日になっていた。


 生野さんに案内されて着いたアパート――というよりも高級マンション的な生野さんの家。

 大学生の一人暮らしにこんな高級なマンションの一室、しかも最上階の角部屋……


「ここホテルだっけ?」


 尋ちゃんがそう思いたくなるのはよく分かる。


 マンションの入り口はオートロックはもちろん、吹き抜けのホールに二十四時間在住の警備員さん、その他いっぱいのサービス……


「生野さんって、もしかしてお嬢様?」


「そんなんじゃないよ。お父さんがちょっと会社作ってるだけで……」


「それって社長!?」


 生野さん、スゴい!


 エレベーターに乗り込んで三十階へ。


 生野さんの部屋は一人暮らしには思えないくらい広かった。カウンターキッチンに二十畳くらいのフローリング。

 ソファーも絨毯も高そうだ。


「テレビ大っきいね!つけてみていい?」


 えっ、テレビ?どこにあるの?


 キョロキョロと探すと、尋ちゃんと生野さんが笑った。


「望美ちゃん、後ろ」

「後ろって壁だよ……えっ!これテレビ?」


 ずっと壁だと思う程にそのテレビは大きかった。


「スゴい迫力……あっ、そうだ」


 テレビを見始めてすぐ、尋ちゃんがカバンから何かを取り出した。


「あたしの高校の卒アル、面白いから二人に見せようと思って持ってきたの」


 尋ちゃんはテレビを消して、アルバムをテーブルの上に広げた。


「これがあたし。それで、このおじさんが担任。そうそう、この担任ね、修学旅行の日に――」


私の中で察知した。尋ちゃんのマシンガントークが始まると……


「――んで、結局卒業式で――」


思った通り、尋ちゃんは永遠としゃべっていた。もう二時間になる……


「そうなんだ……」

「へぇ……」


相槌も限界になりそうだ。


「――じゃ、次は生野さんの卒アル見よ!」


 元々高い尋ちゃんのテンションはさらに上がったようで、卒アル、卒アル〜!と生野さんに駄々をこねている。


「じゃあ、部屋から取ってくるね」


「えっ、ここ以外にも部屋あるの?」


 立派な1Kだと思ってたのにまだ部屋があるなんて。


「ここ、3LDKなの」


 ……もうこれ以上驚けません



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ