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【18】楽し過ぎて……


 吉岡君、また一人だ。やっぱり今の吉岡君に近付けるのは私だけのようだ。


 お昼になったら、またあの桜のとこに行くのかな?

 誰も邪魔(?)する人は来ないだろうから、昼休みはたくさんおしゃべりしたいな〜。

 吉岡君のこと、まだまだ知りたいな〜。例えば、吉岡君の家族のこととか。

 兄弟いるのかな?お父さんはどんな仕事……これは聞かない方がいいかな。

 ごく……あっちの世界のことは知らなくていいかな。あははは……




 一限目が終わると、すぐに二限目の講義の教室へ移動した。


「今度は一番後ろの窓際にしよ〜。あたし眠いの〜」


 そう言った尋ちゃんは、私と生野さんの腕を引っ張って、一番寝心地のいい席に着いた。


 ここからは教室全体が一望できた。

 次々に入ってくる学生たち――が急に道を開いた。

 静まり返った教室に下駄の音が響き、赤い目の般若――の服を着た吉岡君が入ってきた。


 吉岡君が席に着くと、そこからきれいに三メートル離れた席が埋まっていった。


「ああー、ノート書くの大変だよ……」


「桐生さん、そこ間違ってる」


「えー!?ペンで書いちゃったよ〜」


「じゃあ、ここを塗りつぶして……ほら、パンダになった」


「きゃはは!望美ちゃん、見て見て!このパンダ」


「えっ、これがパンダ?タヌキっぽいような……」


 私の一言でさらに笑い出す尋ちゃん。生野さんは必死にパンダと言い張っている。

 そんな二人を見て、私も笑っていた。


 二人といるとスゴく楽しい。時間が過ぎるのがあっという間だ。ずーっと仲良しでいたい、って思えた。




 楽し過ぎて、自分のことしか考えてなかった。だから気付かなかった。


 吉岡君が一人でいる時間は、長く感じているってことに……



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