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【15】下駄でバイク!?


 少しだけ吉岡君のことを知ることができた。


 まず、ご……ごく……の世界の人だってこと。

 次に、近所に太っ腹なパン屋さんがある所に住んでいること。

 後、ケータイを持ってないこと……


 まったくもって予想外だった。


「もうすぐ三限目の講義が始まるよ。行こうか」


「う、うん……」


「橘さん、次の講義は何?」


「えっと、環境科学論」


「オレと同じだね」


「ホント?じゃあ、一緒に受けよう」


「うん」


 ん!?私、今自分でもびっくりのこと言わなかった?


 一緒受けよう = 吉岡君の隣りの席に座って講義を受ける = 一時間半も吉岡君の傍にいれる = 前に見た夢が正夢に!?


 ――って、私どうしたの?こんな積極的な――……神様、私に勇気と行動力を与えてくれてありがとうございます。




 忘れておりましたことが一つ。


 教室の中央にぽつんと座っている私と吉岡君。

 そして半径三メートル外の前方後方左右にひしめき合って座っている人々。


「みんな窮屈そうだね。この辺いっぱい空いているのに」


 不思議そうな顔で言う吉岡君。もしかして自分が原因だって気付いてない?


「ここの大学の人ってみんな優しいよね。席空けてくれるし、混んでても道開けて通してくれるし」


 うん、吉岡君まったく気付いてない!


「橘さん、どうかした?オレ今変なこと言ったかな?」


 教えてあげるべきだろうか、吉岡君に合わせてあげるべきだろうか……


「ホント、この大学入ってよかったと思うよ。家から一番近いって理由で選んだだけどね」


 あははと笑う吉岡君。

 ホントに首から上だけならカッコかわいい好かれ顔なんだけどな。

 首から下が問題というか……やっぱりまだちょっと怖いよ、首から下が。

 でも極道の世界にこういう顔した人がいちゃいけないなんて決まってるわけじゃないし……


「橘さんはどうしてこの大学に?」


 あなたに近づきたいがために――って言えるはずありません。


「えっと、家から通えるし……この学部に興味があったからかな……」


「家近いの?」


「ううん、近くはないよ。徒歩と電車で片道三十分かな」


「電車通学なんだ。オレはバイクで十分くらいなんだ」


 もしかして改造バイクで旗があって――それは暴走族か。

 でもきっと大型で、黒とか紫の色してて、何か漢字が書かれていそう。




 ……下駄でバイク!?



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