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【9】カルピスの呪縛!?


 夏休みまでに告白しなければカルピス原液……

 どう考えても変な約束――というよりも脅し?


 はぁ……ため息が出る。絵里香なら本当にするかもしれない。


 小学生の時、二人でゆびきりげんまんで約束をした。

 でも絵里香は約束を果たせなかった。それは絵里香のせいじゃなかった。どうしようもない事態になってしまったのだった。

 なのに絵里香はゆびきりげんまんで決めた、嘘ついたら玉ねぎ食べる。を本当にやった。


 私が止めさせようとしたのに絵里香は食べた。外皮を取っただけの生の玉ねぎを泣きながら食べていた。

 食べ終わると絵里香は涙を拭いて笑った。


 それ以来、ゆびきりげんまんの約束は絶対に守らなきゃいけないって思った。




「おっはよー!」


 朝からいきなりハイテンションの挨拶をしてきたのは尋ちゃんだった。


「おはよう……何飲んでるの?」


「カルピスだよ。喉渇いちゃって」


 カルピスという単語に体がビクッとした。


「望美ちゃん、どうしたの?何か急に顔が赤くなったけど」


「な、何でもないよ」


 マズい……カルピスと告白がセットで思い出される。


「今日は講義おんなじじゃないね。そうだ、お昼一緒に食べようよ。講義終わったら食堂で待ち合わせね」


 バイバーイと言いながら尋ちゃんは階段を駆け上がって行った。


 経済学の講義の教室に一人入った私は、前から二列目の席に着いた。




「――でさぁ、家にぃカレシ呼んだんだけどぉ、ばあちゃんしかいなくてぇ」


「そんで?」


 一番後ろにいる金髪でパンダのようなメイクの人たちの会話聞こえてきた。

 もう少しボリューム下げて欲しいな……

 話してる内容みんなに聞こえちゃって恥ずかしくないのかな?


「ばあちゃんが、気ぃ使って飲みもん持って来てくれたんだけど……ココアを」


「そんで」


「でも、それがマジヤバいの!ばあちゃん牛乳と間違えてカルピス入れてんの!しかも水薄めて飲むやつで!」


「それマジウケる〜」


「カレシ気付かずに飲んじゃって、その後マジヤバかったし〜」


 二人の大きな笑い声が響く中、私は何故か寒気を感じていた。


 このまま夏休みが来なければいいな……

 夏休みに恐怖を感じるなんて生まれて初めてだよ……



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