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【詩集】Shangri-La

君の生まれた国と僕の生まれた国が戦争しませんように

作者: 野鶴善明

 

神よ 祝福あれ

スマートフォンの君の声がはしゃぐ

今度の夏休みはどこへ旅行しようって


神よ 祝福あれ

そろそろ行き先を決めないと

飛行機のチケットがなくなるわと息を弾ませる


神よ 祝福あれ

僕は長い放浪の旅の果て

いつしか君が生まれた国で暮らし始めた


神よ 祝福あれ

違いが多すぎて馴染むには時間がかかったけど

それでも僕はこの国の人たちといることを選んだ


神よ 祝福あれ

ありふれたなにげない出逢い

僕の第一印象はあまりよくなかったらしいが


神よ 祝福あれ

いつの間に君は僕に馴染んで

僕たちはふたりでいることを選んだ



神よ 祝福あれ

僕の生まれた国はもう二度と戦争をしないと

掟を定め 平和を守ってきたけど


神よ 祝福あれ

ふと気づけば 独裁者が現れ

理屈にならない理屈 欺瞞に満ちた正義を語り始めた


神よ 祝福あれ

僕の国はまた戦争を始めるという

平和を守る掟は時代遅れなのだと嘘をつく


神よ 祝福あれ

もしかしたら僕の国と君の国が

戦うことになるかもしれないと人々は噂する


神よ 祝福あれ

ニュースを見た君は不安そうに声をひそめ

わたしたちは離ればなれになるのと僕に訊く


神よ 祝福あれ

わたしたちはただふたりの暮らしを

平凡に過ごしたいだけなのにと



神よ 祝福あれ

大きな時代の流れには

ささやかな抵抗しかできない僕たちだから


神よ 祝福あれ

今はふたりの生活だけを

それだけを考えようと君を慰めるけど


神よ 祝福あれ

心の底では感じている

戦争への道は止められない

いやもうすでに始まっているのかもしれない


神よ 祝福あれ

僕は君のそばにいたい

手をつないで 冗談を言って 笑って はしゃいで


神よ 祝福あれ

だけど僕は愛について考えしまう

僕は君を不幸にしてしまうのだろうか


神よ 祝福あれ

僕が君を愛すると

君を傷つけてしまうことになるのだろうか



神よ 祝福あれ

僕は君のそばにいたい

いつまでも いつまでも いつまでも いつまでも


神よ 祝福あれ

僕は君に寄り添っていたい

深く 深く 深く 深く 愛したい


神よ 祝福あれ

やさしさをわけあって

おたがいの心を温め 生きてゆきたい


神よ 祝福あれ

僕たちの道は世界でたったひとつだけの道

いつまでも ともに歩いてゆきたい


神よ 祝福あれ

君の手を離さずにすみますように

神よ 祝福あれ

ずっと一緒にいられますように


神よ 祝福あれ

ふたりが幸せでありますように

神よ 祝福あれ

いつまでも とこしえに


神よ 祝福あれ

神よ 祝福あれ

God bless you



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― 新着の感想 ―
[一言] すごく切実な感じがしました。実際に戦争になれば、苦しい思いをするのは民間人だとか言いますし、私も少しくらいは、それを見たことがあると思っています。 まあ日本は右傾化しているとか言われますが…
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