スターチス
俺とお前をつなぐ関係にどんな名前がついていた時も、変わらなかった想いがあった。
幼なじみ。
あの頃の俺達は男女の違いなど気にも留めずに、ただただバカやって笑い合って、それだけで満足だった。
ふたりで泥だらけになるまで遊んで、一緒に風呂にも入って。
明日も同じ距離が続くことを疑うすべを知らなかった。
小学校に入り、中学生になって、変わらないはずだったお前への気持ちは"好きな女"に対するそれに変わる。
毎日毎日意地悪をして泣かせて、嫌いなんて言われても懲りずに毎日構って。
高校生になったらそれさえも恥ずかしくて、わざとお前と帰りの時間をずらしたりしてた。
自分から想いを告げる勇気もないくせにお前が誰かのものになるのは嫌で、お前に近づく男を無駄に気にした時期もあった。
大学はお互いに違うところで。
俺は都内、お前は地元。
偶然、本当に偶然、夏休みの花火大会の夜なんていうベタな展開の中で想いを通わせた。
恋人、という地位。
叶った途端に遠恋、本気でもう駄目かと思った時も何度もあった。
それでも消えなかった、つないできた想いがある。
社会人になって、自分とお前を養うだけの余裕ができて。
初めて願ったよ。
俺とお前、大切に温めていた想いに新しい名前をつけたいんだ。
「だから、結婚しよう。」
俺は、お前の目尻に光る涙と左手の薬指に灯る輝きに誓うよ。
俺とお前をつなぐ関係にこの先どんな名前がついたとしたって、お前を愛しいと思うこの気持ちに永遠に変わりはないことを。
スターチスの花言葉は、永遠に変わらぬもの。