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ただ……願う  作者:
番外編
73/75

デジャヴ?いいえ、2度目です。

糖度高め(当社比)


 朝霧先輩と言う人は熱を出しやすいのだろうか。

そう思って、前回看病した時から1年近くたっている事に思いいたって、そうでもないかと思いなおした。



「実央。お粥。」



 熱を出すと子どもっぽくなる彼は散々甘えるし我儘を言う。


 本日最初の我儘は、私の家で看病してほしいと言う事だった。

朝霧先輩の熱にデートの待ち合わせ場所で気付いた。

熱を出すと饒舌になるので、すぐわかったが、問題はその場所から私の家の方が近かったということだ。


 朝霧先輩は散々実央の部屋がいい、と駄々をこねてしまいには、実央の部屋じゃないと大人しくなんてしない、と言いだし、仕方なくとりあえずその場所からすぐの病院に行った後、インフルエンザではない事を確かめて私の家で落ち着くまでいると言う事になった。


 ……正直、財布の中に診察券と保険証が入っていた時は、確信犯じゃないかと思った。



「もうできますから、待っててください。」


「お粥いいから、実央来て。」


「……わがまま言わないで待っててください。」



 返答するまでのちょっとの間に可愛いな、とほんの少しでも思ってしまったことは内緒。

……でも、私も相当重症だな……朱音の事を言えなくなってきている。ダメだダメだ。

バカップルほど見ていて寒々しいものはない。



「はい、できましたよ。」



 大人しくベットの中に入っていた朝霧先輩にお盆に載せたお粥を持っていく。

ちなみにお粥が作れるようになったのは、朱音が作るのを見てから。

米と水をいれて火にかけるだけというお粥の簡単な作り方に驚いた。

今じゃ、炊飯器にお粥を作る時の水のラインを親切にひいているものもある。

まぁ、朝霧先輩の家の炊飯器にはなかったので、鍋で作ったが。


 どうぞ、まずくはないと思いますよ、と言って朝霧先輩に渡したのだが、いつまでたっても食べだす気配がない。

どうしたのか、と思って朝霧先輩?と名前を呼ぶと、返ってきたのは、たった一音の言葉と、スプーンを私に向かって突き出す姿。



「ん。」


「嫌です。」



 朝霧先輩の言葉を理解し、拒否の言葉を返すまでコンマ一秒もなかったかもしれない。

もはや条件反射のように答えていた。

これは、あれだ。食べさせろってことだ。


しかし、熱を出した朝霧先輩に私の拒否の返事なんて聞こえない。

もう一度同じ動作を繰り返す。



「ん。」


「スプーン持てますよね? 嫌です。」


「ん。」



 私が答えずに黙ると睨み合いが始まる……って、私は病人相手に何をやってるんだ。

朝霧先輩の態度が幼くなるのにいつもつられてしまう……



「はいはい。食べさせればいいんですね。」



 いい加減、熱を出した朝霧先輩に何を言っても無駄だと言う事を覚えなければいけない。

諦めてスプーンを持って朝霧先輩の口にお粥を運ぶ。

赤ちゃんにあげてると思えば恥ずかしいことなんて一つもない。



「おいしいですか?」



 まぁ、おかゆなんて米に水入れて火にかけるだけなんだからまずくなりようがないんだけど、作ったものを食べられてるわけだし、一応。


 が、風邪をひいた朝霧先輩は私の質問にまたもや答えなかった。

かと思うと、一瞬後、朝霧先輩の顔が目の前にあった。



「うまい?」



 とりあえず、私は付き合って半年近くになるが、こういう事に慣れていない。

そのせいで、まともに怒れない……というより、怒るより前に恥ずかしさがきてしまう。



「実央が風邪ひいたら俺が看病するから。」



 そう言ってもう一度顔を近づけてきたので、思いっきり殴った。

不意打ちじゃなければ対応なんていくらでもできるのだ。

2度目もうまくいくと思うんじゃない、と変な優越感に浸った。



「……痛い。」


「大人しく自分でお粥食べてください。」


「……食欲ない。」



 始めからそう言え、という言葉を頑張ってのみこんで、代わりにじゃあ薬を飲んで寝てくださいとだけ言った。

お粥はもう食べないだろうと思い、お盆を持って立ち上がろうとすると、腕に感じる力。



「……なんですか。」


「添い寝し―」


「しません。」



 またもや睨み合い勃発。

睨み合う……のだけれど、結局のところ、熱を出してる彼には私が折れるしかないのだ。



「眠るまで、手を握ってあげますから。」


「添い寝――」


「しません。」



 そこは譲らない。

何でもかんでも譲ると思うな。

そんなベタな展開を私が許すと思うのか。

いや、お粥を食べさせるのは許してしまったが、そこだけは決して許さない。



「……わかった。」



 朝霧先輩の納得したようなしてないような言葉を聞いてから、お盆を片づけ、薬を飲ませ、朝霧先輩の隣に座って手を握った……ら。



「ちょっ!」



 あぁ、デジャヴ。

いや、経験したことがあるのだけれど。

このひきこまれる感じといい、1年前の看病と同じではないか。

……私は学習能力が自分が思ってるよりないのかもしれない。



「あったかい……」



 まぁ、今はとりあえず大人しく彼を寝かせてあげよう。


 ……だが、私が風邪をひいたら、さっき殴った十倍の力で彼を殴ろうと思う。

糖度高め……ですよね!? 実央と朝霧先輩にしては!w


風邪をひいても付き合う前と最終的には同じような展開に……(汗

途中は朝霧先輩暴走してますw

リクエストありがとうございました^^


リクエストありましたら、活動報告でも、感想でも、拍手コメントでもどこでもいいのでお伝えください。

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