檻の中の夢
いつから、捕らわれてしまったの?
いつから、
流した涙は忘れないというのに。
帰ることを忘れてしまった小鳥は
檻の中の楽園を夢見る
偽りだと、知っているのに
いつから、
暖かい陽射しが優しく包み込むように見守ってくれる
平和に安寧を覚えて、安堵を感じ、
見えなくなってしまった。
ダメよ
警鐘が頭の中で幾度も鳴る
目を逸らしてはダメ
警告が度々繰り返される
事実を、知っている。
受け止められているわ。
それなのに、私は此処に浸っている。
ドロドロに溶けてしまいそうなほど、依存して、
居心地の良さに、全てを預けてしまう。
逆らえない、心の底からの、願望。欲求。
何もかもを投げ打ってでも此処を守るわ。
此処以外の現実なら、私にはイラナイ
拒絶、否定。何でもいいわ……
そんなことに意味は無いの。
厳しく、辛く、残酷な、痛々しい現実に立ち返るぐらいならば、
愛しい人のいる美しい虚像の世界に還るわ。
愛しい小鳥はいつから、飛ぶことを止めた?
いつから、飼われることに幸せを覚えてしまった――――?