表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

第1話 異世界が壊れているんだが

 異世界に来て最初に思ったことは、

「俺、もう死んでるよな?」だった。

 だってHPがマイナスだ。

【HP:-17 / 100】

【状態:正常】

 正常なわけあるか。

「えっと……仕様外さん……」

 目の前で、美少女――バグが縮こまっている。

「……仕様外さん?」

「な、名前が未定なので……その……」

 なるほど、そう呼ぶしかないのか。

 なんか雑な扱いだな。

 近くで見ると、彼女は本当におかしい。

 輪郭が微妙にブレているし、髪の一部が一瞬だけ消えることがある。

「なあ、聞いていいか?」

「は、はいっ! 直しますか!? 消しますか!?」

「どっちもやめてくれ」

 俺は即答した。

「まず状況整理だ」

 ステータス画面をもう一度開く。

【名前:未定】

【レベル:0.5】

【職業:無職】

【HP:-17 / 100】

「……0.5って何?」

「本来は整数しか存在しません……」

「だよな」

 念のため立ち上がってみる。

 普通に動ける。痛くも苦しくもない。

「HPマイナスなのに平気なのは?」

「オーバーフロー……だと思います……」

「聞き慣れた単語出てきたな」

 どうやら俺は、死んでいるはずなのに判定されていない存在らしい。

「……今の俺、完全に仕様外?」

「はい……その……すみません……」

 バグは今にも泣きそうだった。

「本当は転生者の初期処理には近づいちゃいけないんです。でも、数値のズレが見えて……直さなきゃって……」

「直そうとして、悪化した?」

「……はい」

 知ってた。

 俺は近くの小石を拾って、投げた。

 ――途中で、消えた。

「……今のは?」

「当たり判定が……抜けました……」

 草を踏むと、足が地面に少しめり込む。

「おい」

「すみません!」

「謝るな。確認だ」

 俺は少し考えてから言った。

「バグ、ちょっと動かないでくれ」

「は、はい?」

 彼女がぴたりと止まる。

 もう一度、石を投げる。

 今度は普通に当たった。

「……なるほど」

 俺は思わず笑った。

「お前、触ると壊すタイプだろ」

「うぅ……」

「でもな」

 俺は彼女を見る。

「直さなくていい」

「……え?」

「正確に言うと、直せないなら、使えばいい」

 バグはぽかんと口を開けた。

「消そうとするから失敗する。

 なら、どう壊れるかを把握すればいい」

「さ、再現性……?」

「そう。

 バグは武器になる」

 その瞬間。

【スキルを獲得しました】

【《仕様外行動》】

「……え?」

 俺とバグは同時にステータスを見る。

 どうやらこの世界は、

 名前もルールも決まらないまま、俺を受け入れてしまったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ