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エピローグ
目が覚めたら、俺は草原に転がっていた。
青空、浮かぶ雲、やけに作り込まれた地形。
「……あ、これ異世界だ」
ブラック企業を辞め、コンビニ弁当を温めた直後に意識を失った身としては、察しがいい方だと思う。
問題は、その直後だった。
視界の端に、半透明のウィンドウが表示される。
【ステータス】
名前:未定
レベル:0.5
HP:-12 / 100
状態:正常
「……未定?」
いや、そこは名前だろ。
決まってないってどういうことだ。
ツッコミを入れる間もなく、空間が一瞬ノイズを走らせた。
バチッ、と視界が乱れ、次の瞬間――
「ひゃっ!? す、すみません! 今の完全に私のミスです!」
目の前に現れたのは、美少女だった。
小柄で、どこか半透明。輪郭が微妙にブレている。
「あの……誰?」
「わ、私ですか!? えっと、その……」
少女は指を突き合わせ、申し訳なさそうに俯く。
「この世界の……バグです」
――その瞬間、俺のHPがさらに5減った。
どうやら俺の異世界生活は、
名前すら設定されないまま始まったらしい。




