63話
あの後、男子だと言う悪い噂もいつの間にか消え去り、杏奈は亮のおかげで学校では生徒達から慕われるくらいに人気者になっていた。
逆に瑞希は負けた腹いせに嘘をついたとして、嫌われ者になってしまっていてサロンの人数も徐々に減って行ってるようだ。
「皆、こんあんなー! 今日もこのゲームをやっていくよー!」
あの後、亮はまた部屋に籠って配信活動を再開し、麻奈美や恵梨香にも合う回数も減ってしまっている。
杏奈が幸せならそれでよかったので、あまりに気にはならなかった。
「それじゃあ皆、おつあんな~!」
夕方になって、配信も終わって、少し疲れたので夜までお昼寝しようと思ってベッドへ横たわろうとする。
「今日も疲れたなぁ……。晩御飯の時間まで寝るか……」
目を瞑ろうとすると、突如としてドアが開く。
「意外と、部屋は綺麗なんですねぇ。もっと汚い部屋に住んでると思ってたんですが……」
なんと制服姿の智代がぶつぶつと言いながら入ってくる。
「ちょ、なんで智代ちゃんがここに!?」
亮は声色を慌てて変えようとするが、それを聞いた智代は笑い始めた。
「そんな事をする必要はありませんよー。もうバレてますからー」
そう言いながら、智代は亮の元へと近づいてくる。
「もしかして、最初から気付いてたの?」
「はい。最初に抱き着いた時から気付いてましたよー」
やはり、普通の女の子とは体つきが違うので、抱き着いた時に違和感を覚えたのだろう。
だが、そうなると、1つ気になる事がある。
「あの、智代ちゃん。男子嫌いだったよね……?」
「はい。そうですよー」
「じゃあなんで、それが分かっていてなんで抱き着いてきたの?」
「……それは……」
「それは……?」
顔を俯かせて、沈黙する智代を、亮はビクビクとしながら、智代を待つ。
「亮さんが女子のようにかわいくて、男子に見えないからですー」
「えぇぇ!?」
吐息荒くしながら、抱き着いて来て、亮は困惑する。
「本当は、麻奈美に譲ろうと思っていたがやっぱり我慢できません……。好きです……」
「と、智代ちゃん……」
耳元でそう囁かれ、亮は智代へ誘惑されそうになっていた。
「やっぱりいた!!」
「智代様、亮様から離れてください」
「2人増えた……」
そこに恵梨香と麻奈美が急いで入ってきて、智代を引きはがそうとする。
「あら、お2人も、私と一緒にくっつけば良いじゃないいですかー」
「後から輪に入ってきた分際で、調子に乗らないでー」
智代は2人にそう提案するが、却下され引きはがそうとするのをやめなかった。
「亮さーん、助けてくださーい。お2人が怖いですー」
「そ、そう言われても……」
甘えた声で助けを求められるが、ここで智代の味方をすれば、後で2人に何されるかわからない。
ここはぐっとこらえて、我慢をする。
「実は今日……。貴方の大好きなピンク色の下着をつけているのですよ……?」
「ぴ、ぴん……えぇぇ!?」
まさか大嫌いな男子に選ばれた下着をつけているとは……。
これには、動揺せざるを得ない。
「な、ななな! 亮君? 私だって今日ピンクだよ!?」
「亮様、私もピンクです」
「は、はいー!?」
まさかのカミングアウトの連続に亮は開いた口が塞がらなかった。
「ま、まさか……3人ともピンクなのですか!? ぐぬぬ……ですが絶対に亮さんは渡しません!」
「な、なにをー!!」
気が付けば、3人は亮を巡って口喧嘩を始めてしまう。
(お、俺のために争わないで~)
仲裁をしようと、3人の輪の中に入ろうとすると、そこに唯が入って来る。
「唯ちゃん!」
「ほ、本当にそっくりなんですね。亮様……」
「唯ちゃん大丈夫……?」
「あ、会った時から好きでした!!」
「こっちもかー!!!!」
亮の姿を見ながら、何故かもじもじとしながら言ってきたかと思うと、まさかの告白で驚く。
「ゆ、唯ちゃんまで……?」
「どういうことですか? 亮様説明してください!」
「あらら、唯ちゃんも亮さんの事が好きだったんですねー。どうするんですか?亮さん」
部屋の中は修羅場状態だった。
正直もう何かもリセットしたい気分である。
「わーお、すごいお兄ちゃんハーレム状態だねー」
ニヤニヤとしながら入ってきたのは、妹の杏奈であった。
「もう俺じゃどうにもならないよー。助けてくれよー杏奈ー」
「やーだーよー」
泣きつく兄を無視して、4人の輪の中に入ったかと思うと、杏奈は天井に向けて人差し指を突き立てる。
「言っとくけど、一番お兄ちゃんが好きなのは私だからねー!」
そう豪語した瞬間4人からは、ブーイングの嵐が飛び交う。
流石にこれ以上言い争われると、喧嘩になってしまうので、亮は止めに入る。
「な、なぁもうそれくらいに……」
「こうなってしまったのは、亮様の責任です。なので、誰が良いか亮様が決めてください」
恵梨香の提案に他の4人も頷く。
「え、えっと……」
「「「「「誰が良いの!!??」」」」」
理不尽に押し付けられた亮は、いつまでも5人に迫られていたのだった。
作品を今まで読んでくださり、ありがとうございました。




