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61話

社交パーティ当日。


 5人は智代から借りた、パーティー衣装に着替える。


「智代ちゃん、今日は用意してくれて、ありがとうね」

「いえいえ、せっかくの社交ダンスですし、ちゃんと着飾った方がいいかと思いましてー」

「ううう……。ドレス着るの初めてだから、緊張するー……」


 水色のドレスを着た麻奈美は落ち着かない様子だった。


「麻奈美ちゃん。ドレス似合ってるよ」

「本当!?  ありがとう」


 亮に褒められた麻奈美はご機嫌で、緊張はもう忘れるくらいに喜ぶ。


「杏奈さん、すごく似合ってますよー?」

「ありがとうね。智代ちゃん」

「皆さん、もう時間のようですよ? 向かいましょう」


 色鮮やかなドレスを着た5人は、会場となる大講堂へと向かう。


「すごい……」


 大講堂の中は、まるで高級ホテルの中のようで、着飾った大勢の生徒で賑わっていた。


 学園内にこんな場所があるとは驚きだ。


「杏奈、これすごくおいしいよー!!」

「本当ですねー。すごく美味ですー。杏奈様も食べましょうよー」

「う、うん……」


 机に並べられている豪華な料理を、麻奈美や杏奈は興奮しながら皿にたくさん盛っているのを見て、亮は呆れた顔をしていた。


「いいじゃないですか、せっかくなので私達も食べましょう。杏奈さん」


 そういう智代の隣でも、同じように恵梨香が料理を口にしながら、亮に賛同を促すように頷く。


「じゃあ、お言葉に甘えて……」


 同じように、亮もお皿を取って、料理をお皿に取ろうとすると、そこにドレスを着た瑞希達がやって来る。


「ようこそいらっしゃいました」

「招いてくれてありがとうね。瑞希ちゃん」

「いえいえ、私も来てくださって、うれしいですよ」


 何気ない会話をしているが、2人の間には張り詰めた緊張感あった。


「ところで、もうすぐ対決のお時間なのですが、どちらが先に踊るかコイントスで決めませんか?」

「いいよ。それで決めよう」


 承諾すると、コインを持った桜が出てくる。


「何も細工していませんわよ?」


 少しに焼けた顔をしながら、桜は亮にどこかの国の銀貨を見せびらかす。


 どうやら何も細工していなさそうだ。


「では行きますわ!」


 桜はそう言って、親指でコインをはじくと、コインを天高く舞う。


 そして落下してきた、コインを桜は難なく手の甲でキャッチする。


「選んでもいいですよ」

「じゃあ表で」


 桜が手の甲を開くと、コインは裏を向いていた。


「それでは、私が先行ですね」


 ニッコリと不敵な笑みを浮かべながら、2人は亮の前から去って行く。


「私達が後攻かぁ……。大丈夫かなぁ……」

「大丈夫だよ麻奈美ちゃん。きっとなんとかなる!」

「杏奈がそう言うなら……」


 そうこうしているうちに、講堂内が暗くなり、1人の女子生徒にスポットライトが当てられる。


「お待たせしました! 今回のメインイベント、社交ダンス対決を始めます!!」


 女子の生徒の開会宣言に、生徒たちは割れんばかりの拍手をした。


「今回は、神宮寺瑞希さん、鳴海桜ペアと、村上杏奈さん、柏崎麻奈美さんペアの二組による一騎打ちとなります!」


 名前を呼びあげられると、瑞希と桜、そして亮と麻奈美にもスポットライトを当てられる。


「そして、今回も諸先生方に審査員をしていただきます!」


 更にスポットライトが当てられた先には、佳苗や別の社交ダンスなどに詳しい女性の先生が4人ほど集まっていた。


 亮達に気付いた佳苗は、ニコっと笑って手を振る。


「よし、麻奈美ちゃん。気合を入れて行こう!」

「うん!」


 こうして、亮達の命運のかかった社交ダンス対決の火蓋は切って落とされたのだった。

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