54話
レッスンが終わった3人は駅に向かって歩いていた。
「社交ダンス……難しいね……」
肩を落としながら、麻奈美はそう呟く。
少しずつ良くなってきてはいたが、なかなかうまくいかず仕舞には、隣にいた智代や唯にぶつかってしまい、転んでしまう始末だった。
その後、佳苗が恵梨香と一緒にお手本で踊った動画を録画をして、家でも練習することになったのである。
「まぁ、お手本の動画撮影できたんだし、家でも頑張って練習しようよ。ね? 恵梨香?」
「そうですね」
ウキウキした表情で恵梨香は返事をしていた。。
「じゃあ、私はこれでまたねー。2人共ー」
「うん、また明日ー」
麻奈美と別れた後、恵梨香とともにホームに向かい、電車を待っていると、ポケットに入れてあったスマホが振動する。
画面を見ると、どうやら麻奈美からのメッセージらしく、メッセージアプリを開く。
『良かったら、私の家で練習しない?』
『行く』
すぐに承諾の返事をする。
恵梨香と練習するよりも、本番で組む麻奈美と練習した方が良さそうだと思ったからだ。
「どうかされましたか?」
「ちょっと、麻奈美ちゃんから、私の家で練習しようって言われたから行ってくるよ」
「そうですか……お気をつけて……」
急いで亮は、麻奈美のいる別のホームへと向かう。
「亮様……」
見送る恵梨香は、少し寂しそうな表情だった。
別のホームへ向かうと、麻奈美がスマホを触りながら待っていた。
「お待たせ」
「来てくれたんだね。嬉しい」
晴れ渡るような笑顔で、麻奈美は一喜一憂する。
「そういや、麻奈美ちゃんの家行くの初めてだね。ちょっと楽しみかも」
「ただのマンションだから、あんまり期待しないでね」
2人で会話をしていると、ホームに電車が到着し、2人は電車に乗り込む。
そして、電車に揺られること、数十分。
麻奈美のマンションの最寄り駅に到着し、徒歩でマンション向かって歩いていく。
「ここだよ」
到着したのは、かなり大きい高級マンションで、入り口にはセキュリティゲートがあるというしっかりした作りになっていた。
「え、結構いいところ住んでない?」
「そ、そうかな……? それなりにいい場所へ住んでると思うよ」
いい反応をされてよっぽど嬉しかったのか、照れた顔をしながらセキュリティゲートを通る。
そして、エレベーターに乗って、麻奈美の後ろへついていくと、ようやく部屋へ到着した。
「どうぞ、中へ入ってねー」
「お邪魔します」
カードキーでドアのロックを解除し、麻奈美と一緒に中へ入ると、そこには広々としたリビングがあり、床にはピンクのカーペットが敷いてある。
隣には寝室と思わしき部屋もあって、1人暮らしには、かなり広すぎる部屋だ。
「じゃあ練習始めようか!」
いつの間にか、佳苗から音源をもらっていたようで、机の上にMP3プレイヤーとスピーカーを用意する。
「そうだね、さっそく始めようか」
2人は、録画したお手本を見ながら、音楽に合わせて練習を始めた。
(それにしてもやりにくい……)
やはり、床ではなくカーペットの上という事もあって、今にも滑りそうでやりにくい。
そんな事を考えていると、案の定、足を滑らせてしまい、亮は杏奈の上に馬乗り状態となってしまう。
「ご、ごめん……!! すぐどくね!!」
「う、うん……。カーペットめくろうか」
「そうだね」
2人は気まずい雰囲気となって立ち上がって、カーペットをめくって、再開する。
そうして、2人は2時間ほど練習し、汗をかいてくたくたになっていた。
「ねぇ、亮君。晩御飯食べて行かない?」
「え……」
急に麻奈美は立ち上がってそう提案する。
麻奈美と言えば、最初の料理対決の時、コンソメの分量が分からないくらい、料理が下手であった。
「い、いやいいや……」
そう拒否すると、麻奈美は頬を膨らませる。
「いっぱい練習したもん……」
「そうなの?じゃあ食べて行こうかな」
「本当?やったあ!」
拒否し続けて、泣かれてしまっても困るので亮は食べて行く事を承諾すると、麻奈美は大いに喜んでいたのだった。
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