第1話 六角の光
あらすじ
戦国時代、動乱の渦中にあった近江国。名門・六角氏の三代目当主、鈴木義仲は、木曽義仲を慕い、
その武勇と志を心に刻んでいた。父・六角義賢は、
若き義仲に家督を譲り、隠居生活を送っていた。
義賢は、義仲に家訓を教え、木曽義仲の生き様を語り、義仲の成長を陰ながら見守っていた。しかし、
義賢の心中には、義仲が家督を継いだことへの複雑
な思いもあった。
義仲は、家督を継ぎ、家臣団をまとめ、領国経営に奔走する日々を送る。しかし、家臣団の中には、義仲の若さや、木曽義仲への過度な憧憬を危惧する者もいた。そんな中、織田信長が勢力を拡大し、天下統一を目指し始めていた。義仲は、信長の野心を警戒しつつも、自らの理想を実現するために、家臣たちとともに新たな道を切り開こうとする。
第1話:家督継承と激動の時代
場面:六角氏の居城
永禄9年(1556年)、春。若き鈴木義仲は、家臣たちに囲まれ、厳かな雰囲気の中で家督継承の儀式を終えた。父・六角義賢は、静かに見守っていた。
「義仲よ、よくやった。お前は、立派な六角家の当主になったのだ」
義賢の言葉に、義仲は深々と頭を下げる。しかし、その心は晴れない。木曽義仲の生涯を何度も読み返し、その勇猛果敢な姿に憧れを抱く一方で、家督を継いだ責任の重さを痛感していた。
「父上、私は、必ずや六角家をさらに大きく発展させます。そして、いつか、あなたの名前をさらに高めるような武将になります」
義仲の言葉に、義賢は微笑む。「そうか。だが、決して木曽義仲の影に囚われるな。お前には、お前だけの道がある。それをしっかりと見つけ、進んでいくのだ」
義賢の言葉は、義仲の心に深く突き刺さる。義仲は、父・義賢の期待に応え、自らの道を切り開いていくことを決意する。
場面転換:家臣団との会議
翌朝、義仲は家臣団を集め、今後のことを話し合う。
「諸君、私は六角家をさらに発展させたい。そのためには、新たな改革が必要だ。父上も、私にそう望んでいたはずだ」
義仲の言葉に、家臣たちはざわめく。中には、伝統を重んじる者もいれば、義仲の改革に賛同する者もいる。
「義仲様、織田信長が勢力を拡大しているという噂もあります。我々は、その動きを注視するべきです」
「確かに、信長は恐るべき存在です。しかし、我々もそれに負けないように、力をつけなければなり
ません」
家臣たちの意見は対立し、議論は白熱していく。義仲は、家臣たちの意見に耳を傾けながら、自らの考えをしっかりと伝えようとする。
場面転換:義仲の独白
その夜、義仲は一人で書斎にこもり、父・義賢の肖像画を見つめる。「父上、私は家督を継ぎました。あなたの期待に応えられるよう、精一杯頑張ります。そして、いつか、あなたの名前をさらに高めるような武将になります。しかし、この世は戦国の世。争いを避けられるわけではありません。私は、六角家を護り、民を幸せにするために、何ができるのか。その答えを見つけなければなりません」
義仲は、決意を新たにする。木曽義仲の生き様を学び、父・義賢の教えを胸に、彼は激動の戦国時代を生き抜き、六角家を新たな高みへと導こうとする。
[続く]