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ep.42 作戦会議

「じゃあ入る前に普段の俺たちの戦い方を話しておこうか」


〔轟風丘陵〕への門がある広場にて4人で輪になって話を始める。


「まず俺が長剣コイツで前衛を」


ヴァロウは腰に下げた長剣に手を置く。


「私が魔法で後衛」


ナーニャは手のひらの上に水の玉を作って見せる。


「んで俺が柔軟に動いてこれらで援護。ってとこだな!」


デモニスがコートをこちらに開いて見せると中にはびっしりと様々な魔道具が備えられていた。

 すごい数の道具…!


「わ、分かりました。というか、これ全部出魔品ですか…!?」


「いや、出魔したのと人造のとで半々ってとこだな!これとこれなんか有名な魔道具師のやつだし~…」


デモニスは誇らしげに話し始める。


「はいはいストップストップ。話し始めると止まんないんだからまた後でね」


長くなりそうなところにナーニャが割り込む。


「おおすまんすまん!」


デモニスは頭を掻いて軽く謝る。


「少し逸れたが、俺たちの戦い方は今言ったとおりだ。アインはどういう戦い方なんだ?」


「基本的には使いやすい風魔法で攻めて相性によって火、水を使い分けてて、近接では身体強化してこの短剣を使う…ってところですかね」


「ふむ、万能だな。…そしたら、俺とデモニスで奴を抑え、ナーニャの大魔法で奴を叩く。アインはナーニャが魔力を溜める間、接近してくる魔物からナーニャを守ってくれ。報告通りなら多くの魔物が押し寄せるはずだからな。ナーニャがああ言うほどの魔力量なら可能だろう?」


「分かりました」


「頼りにしてるわ♡」


ナーニャが肩に優しく触れてくる。


「ていうか、三属性全部ちゃんと使えるなんて珍しいわね」


 へぇ珍しいんだ。


「そうなんですね」


「私なんかこの固有魔法だからか、どうも風も火も使えなくてね」


ナーニャは生成した水を高速で変形させたり縦横無尽に動かしたりしてみせる。


「もしかして…固有魔法は『水魔法』ですか?」


「大正解っ」


ナーニャは続けて水の盾や剣を生成してみせる。

 すごい速度の生成と変形…これは強力そうな固有魔法だ。


「2人ともすごいですね…」


「ヴァロウもすごいのよ?体を強化する魔法しか使えない代わりにその強化が並の魔法使いとは段違いなの」


「ついでに話しておこうか。俺の固有魔法は『人体強化(カーパ・ユーカ)』ってんだが…性能は『肉体強化』や『身体強化』と同じようなもんだ」


「なるほど…」


 同じようなもの…でも名前が違うってことはきっと性能にも違いがあるんだろうな。


「俺の固有魔法は『無機透化(トゥミュンハ)』っつって、無機物を好きなように透明に出来る!」


流れを汲んでかデモニスも固有魔法を教えてきた。


「好きなように…?」


 どういう意味なんだろ?


「あら、えっちなこと考えてるのかしら?」


ナーニャはニヤニヤしてこちらをのぞき込む。


「あ、いえ。ただ好きなようにというのがどういう意味なのかなと」


「あらつまんないの」


 ってかえっちなことって…ああ服に使えば裸に出来るからか。


「好きなように透明にってのは、こんな感じだな」


デモニスはコートの中から小さな木箱を取り出してアインの手に乗せる。

 木箱?


「『無機透化(トゥミュンハ)』」


デモニスが木箱に向かって手のひらを向けて唱えると箱の部分が透明になり中に入っているものが見える。

手のひらの上で正方形の虫の塊が蠢いている。


「うわっ!?」


驚いて手を引いて木箱を落としてしまった。


「ハハハハ!良いリアクションするじゃねぇか」


 虫には慣れてるつもりだけど流石にびっくりした…

デモニスは透明化を解除して木箱を拾い上げる。


「今みたいに箱だけ透明にしたり半分だけ透明にしたり、あとこういう調整も出来るぞ」


デモニスは言いながら実演し、最後は箱がガラスのように見える程度に透明化させてみせた。


「おお~面白いですねこれ」


「ま、視覚に頼らない魔物に対しては無力だがな!」


 確かに…でも目に頼るモノ、特に対人ではかなり強力だろうな。


「ちなみに、アインの固有魔法はなんだ?」


「あー…」


「ナーニャから魔力量の話を聞いててな。きっとすごい固有魔法なんだろ?」


デモニスは良い笑顔で聞いてくる。

 3人が悪い人じゃないのは話しててよく分かっているが…

誰よりも魔法を好きな自信があるアインにとって固有魔法の目覚めがまだであることは大きなコンプレックスだった。


「…言いたくなければいいのよ?無理しないで?」


様子で察したナーニャが手を取り優しく包み込む。


「あ…すみません。ありがとうございます…」


 この人たちはこんなに優しいのに…言えない自分が嫌になる。


「ああ。三属性扱えてナーニャが驚くほどの魔力量持ち。固有魔法を聞くまでもなかろう」


ヴァロウはデモニスに目配せする。


「すまなかった。どうも俺は察するってのが苦手でな…」


デモニスは素直に頭を下げて謝罪する。


「全然気にしてないので大丈夫ですよ!」


デモニスは申し訳なさを顔に残しながらも頭を上げる。


「では、行こうか」


ヴァロウは4人の円の真ん中に拳を突き出す。

3人は拳を合わせて応じる。


「ええ」

「ああ!」

「はい!」


デモニスとアインはそれぞれヴァロウの肩に手を置き、ナーニャはアインの腕を抱いて〔轟風丘陵〕へ突入した。

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