ep.41 予兆
中央集会所にて、リアオンが所長に異常長生個体の報告を済ませた数時間後…
所長室にノックの音が響く。
「入れ」
「失礼します!」
入って来たのは西集会所担当の副所長ミウムだった。
「報告します!Bランク魔域〔花舞の渓流〕にて長生個体を確認!また固有魔法と思しき特殊な力も確認しています!」
「何?」
また異常長生個体だと?一体何が…
「あら?先客がいたようね」
開いていた窓から黒猫が喋りながら入ってくる。
「ウィーラか」
黒猫は魔法で変身した北集会所担当の副所長ウィーラだった。
「急ぎの要件だからこのまま失礼するわ。Cランク魔域〔大雨荒野〕にて長生個体を確認。それも、にわかには信じがたいけど固有魔法を使うらしいわ。でも情報は確かよ」
「え!ほぼ同じじゃないですか!」
「同じですって?」
副所長2人は互いに困惑している。
「…これは明らかな異常事態だ。付いてこい。倉庫へ向かいながら指令を出す」
アールフィントは立ち上がり倉庫へ向かって早足で歩きだす。
「?分かりました!」
「了解…っと」
ミウムは何故倉庫なのかと思いつつ軽い駆け足でアールフィントの横へ、ウィーラは魔法を解除し人間体に戻り2人に続く。
アールフィントは歩きながら2人から報告書を貰う。
「…まずミウムは”華やぐ寝所”に泊まっているSランク探索者”千斬”ルックリへこの招集書状を、ウィーラはAランクパーティ”空割りの槌”の拠点にこの招集書状を送れ。報酬は記載してある通りだ」
アールフィントは懐から取り出した書状を2人にそれぞれ渡す。
”千斬”を動かすのは危ないが…仕方ない。
「わ、分かりました!」
「了解よ」
2人は素早く目を通してすぐにしまった。
「そしてそれぞれSランク出魔品”強者へ導く鍵”の使用を許可する」
「へ!?い、いいんですか!?」
ミウムは驚きを露わにする。
「ああそれで倉庫に向かってたのね。でもそれあと3つしかないんじゃなかった?いいの?」
「先程リアオンに1つ渡したから残り2つだ」
「ええ!?」
「いや尚更いいの?」
「ああ。ここが使い時だろう」
「”星空”がどう言うか知らないよ?」
ウィーラは恐れを含んだ声で言う。
「彼も同じ判断をする。だから問題ない」
アールフィントは迷うことなく断言した。
「そ、ならいいけど」
「というか、この異常事態、”星空”さんには頼めないんですか?」
「Sランク魔域の〔寂寥の夜〕と〔亡国〕で異変があったらしく、彼は数日前からその調査に行っていて手が離せない状況だ」
「うええ…僕らの報告の件といい、一体何が起きてるんでしょう…」
Bランク以下の3つの魔域で固有魔法を扱う長生個体が同時期に発生…さらにはSランク魔域に異変…
「…ひとまず対処するしかない」
そう話しているうちに倉庫に着いた。
「では2人はここで待っていろ。”強者へ導く鍵”を取ってくる」




