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第1話 婚約者が寝取られた

 お見合いで結婚相手が決まるだなんて、正直嫌だった。

 だが、相手は財閥のご令嬢。

 無碍にすることは父上が許さなかった。


 テーブルにつき、俺は目の前の少女を眺めた。名前は『()(づか) 可奈(かな)』というらしい。実に清楚で愛嬌のある表情をしていた。

 美しい黒髪が目を引く。


 話してみると、これが心地よかった。


()(いち)さんは、とても面白い方なのですね」


 そう彼女は笑った。

 へえ、てっきり機械のような対応を取られると思ったけど、これは意外だった。


 話していく内に、俺は可奈のことが気になり始めていた。


 この子は良い子だ。

 話も面白いし、きちんと相手の目を見て話してくれる。


 そうして一週間も経つと、結婚を前提に付き合うことに。



「ありがとう、可奈」

「いいんです。私、あなたとなら……」



 俺も可奈もいいところの家柄。お互いの両親も納得していた。これで俺はハッピーエンドってわけか。父上にもしつこく言われることはなくなる。


 早くも結婚生活かぁ、信じられないな。

 まだ俺は大学生なのに。


 楽しい毎日が続く。

 可奈と一緒にいると嫌なことも忘れられる。


 アニメや映画、ゲームもするようになった。ペットの猫を可愛がったり、幸せな日々が続く。


 ずっとこんな時間が続けばいい。


 そう思っていた――が。



 ある日、俺はブランド物を漁りに外出していた。VIPのみが購入できる販売会があったからだ。可奈にプレゼントしたい。


 高級ブランドのバッグを買い、改めて好きを伝える。


 機嫌よく邸宅へ戻ると――。



『…………パンパンッ』



 そんなリズム感のある音が響いていた。


 え……?


 父上か?


 いや、今日は誰もいないはず。

 いるとしても、可奈が留守番をしているだけだ。

 サプライズがあるから、いい時間になったら大広間にいてくれと頼んでおいた。なら、今は広間でくつろいでいるはず。


 そう思ったけど、なんだか嫌な予感がした。


 広間へ向かうと、人の気配が二つあった。

 ひとつは可奈。

 もうひとつは……誰だ?


 扉の隙間から覗く。


 少し開いていたので中が見えた。



(とう)()さん……私、もう……』

『またかい、可奈さん。こんな淫乱な女だったなんて! もしこれが八一くんに知れたらマズいんじゃないかな……!』


『いいんです。だって、あの人……私のことを全然抱いてくれないんですもん』



 な……なんだこれは。


 あの優男は誰だよ!


 てか、人様の家でなにをシているんだよ……。



 可奈は……俺の家で知らない男と……。


 なぜ、なぜなんだ……!



 動悸が激しくなる。呼吸が乱れ、今にも倒れそうだ。……信じられない。俺と可奈は婚約を交わした仲だぞ。あんなに話し合ったのに。



 どうして……!

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