悪魔の微笑み、静かな怒り。
ディケの静かな怒り☆ディケの悪魔の微笑み☆
第六十一章
「秘密はこれでしょ?」
ディケは青ざめた侯爵の腕を、炎を纏わせながら、全力でへし折った。
「バキッ。ガラガラッ…」
人間の腕からしたとは思えない、貴金属の様な音が辺りに響いた。
「やっぱり。この腕、本物じゃないね。魔導石を埋め込んだ、機械だよ。」
ディケは銀色の義手を掲げた。
「変身魔法で銀色の義手を、肌と同じ色に見せていたんですのね!」
「全然気づかなかった、です!!」
アニーとシェラが駆け寄ってきた。アニーはゾーシを抱えあげると、彼の身体に手をかざし、シェラもそれに続く。
「ゾーシさんの魔力回復は、わたくし達に任せて下さい。ディケさんは、マスターとしての仕事を、頼みますわね。」
アニーの言葉に、ディケは大きく頷いた。
「さてと、この義手は、きみとはもうお別れだね。お別れの挨拶はどう?あ、ごめん、手が滑っちゃった。」
ディケは義手をウィグズリー侯爵の目の前に突き出すと、パッと手を離した。
「いや怖っ!!ディケ、悪魔ですよ完全に!!」
ノイの声が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにし、地面に落ちてバラバラになった義手を更に踏みつけた。
義手とディケの赤いヒールがぶつかり、ガキンと金属音が鳴った。
「なっ、なんてことを…っ!!それを作るのに、どれだけの費用がかかったと思ってるんだ!!お前達、ただでは済まないぞ!!!」
ウィグズリー侯爵は尻もちをついて喚き始めた。その様子を、ディケは冷たい目で見つめる。
「国のお金で雇った人に、国のお金で買った物資で作らせた物でしょ?なら、これはぼくの物ってことにもなる。」
「火炎魔法。フィオフレーム。」
ディケは両手に火炎を宿すと、壊れた義手に向かって炎を投げた。
「やっ、やめろ!!まだ直せる!!」
侯爵は無謀にも、火の中に片腕を突っ込んだ。
「ぐああっ!!熱いっ!!!」
「金属が溶けるには、まだかかると思うけど、もう一回チャレンジしてみる?金属を全部取り出せる前に、きみの腕が溶けるか火傷痕でいっぱいになるのがオチ、だろうけど。」
ディケは侯爵を見下ろしてニタリと口角を上げた。
まさに、悪魔の笑みであった。
侯爵の秘密…ゾーシの予想とは反して、彼の秘密は、その腕だった様ですねー!!!
因みに、侯爵くんが義手を作った経緯ですが、3年ほど前に遡りまして、ゾーシが禁忌の召喚魔法を使って、兄妹を呼び出した後。グレゴリオは両目を兄妹の爪で抉られ、身体中に引っ掻き傷をつけられました。でも、やっとのことで逃げ出して、隅で隠れていたんですね。で、当然侯爵も標的になったわけで、彼も必死の抵抗の末、(必死っていうか、抵抗しなかったら死ぬし、漢字よくわからんな…)左目を抉られました。その後、兄妹は建物のいたるところを攻撃し続け、賭博闘技場は崩壊しました。その時、逃げ遅れた侯爵は瓦礫の下敷きになり、片腕を潰すことに。そこから抜け出せず、建物の崩壊がひどくなって行く中で、死の淵にあった侯爵の命を瓦礫を持ち上げて助けたのが、グレゴリオでした。侯爵は国をお金を横流しして再び賭博闘技場を建て、両目の見えないグレゴリオに自分の研究者達に研究させた、人の魔力の流れを見ることのできる魔術を分け与え、闘技場の王として君臨させましたとさ。あ、研究はちょっと伏線です。って!!これグレゴリオの話じゃん!!で、その研究は腕にはあんまり関係なくて、まぁ、なんやかんやあって大金を叩いて魔術士たちに魔導石と義手をつくらせ、それで魔力を吸い取ることを可能とした…わけです。




