はいみんな、顔が青ざめました。草。
ひっさしぶりの投稿…いやはやいやはや。いやはややややあ。
第六十章
「ドサッ…」
誰も、声を挙げなかった。侯爵は苦痛の悲鳴を挙げなかった。ゾーシは、勝利の雄叫びを謳わなかった。リバティマジックの面々も、歓喜の言葉と共にゾーシに駆け寄りはしなかった。
地面に倒れたのは、ゾーシだったからだ。
「ふっ、はっはっは!!私に勝てるとでも思ったのか?!烏滸がましいにも程がある!!」
侯爵は手足を狼達に押さえつけられたまま叫んだ。
『ゾーシ…』
『ちっ、力がっ…』
黒い煙に包まれ、二匹の狼は消えていった。侯爵は腕をさすりながら立ち上がる。
「なっ、なんで?!狼も、消えちゃったよ?!」
ディケがノイのマントをぐいぐいと引っ張った。
「…これは…魔力切れ…じゃ、ないでしょうか…」
「はっ、はぁっ?!今?!この状況で?!ゾーシ運悪すぎない?!」
ディケはゾーシに駆け寄った。
「大丈夫?!魔力の調整、間違ったの?無理しなくても、勝てたんじゃ…」
「これは、アイツの魔法だ…自分の魔力は、アイツに吸い取られた…マスター、ごめん…もう、気が保たな…」
ゾーシはそう言うと目を瞑り、身体をディケの腕に預けた。
「ゾーシ!!」
「はっはっは、つくづく馬鹿な小娘だ。ゾーシの言う通り、私はゾーシから全魔力を吸い取った。直に回復はするが、しばらくは動けないぞ。そして、お前の魔力もそうだ。俺は昨日、お前から全魔力を吸い取っている。お前は万全の状態ではないということだ。」
侯爵はニタニタと意地悪い笑みを浮かべながらディケを見下ろした。
「なっ…」
「ディケ、危ないです!!そいつから、離れて下さい!!」
ノイは叫んで走り出した。
「おっと。お前の魔力はほんの数時間前に吸い取ったよな?もう大分回復した様だが、そんな身体で魔力の限界値を遥かに上回っているこの私に勝てるのか?」
「くっ…」
ノイは足を止めた。確かに彼の武術の腕なら、侯爵を止めるのは訳ないことだろう。しかし、彼が膨大な魔力と共に強力な魔法を使ってくれば、結果は分からない。ノイはそう考えた。
「さてさて。私の屋敷をこんなにして、どう償ってもらおうか。」
侯爵はディケの顎を、グイッと人差し指で持ち上げた。
「離して。」
ディケは顔を近づけてきた侯爵を鋭い目で睨む。
「おっと怖い怖い。だが、私の邸宅をこんなにし、昨日の賭けも駄目にしたお前の罪は大きいぞ。あぁ、不法侵入の罪でお前を王国騎士団に引き渡しても良いなぁ。」
侯爵は目を細めて、サッと顔を青くしたディケを見た。
「おっ、王国騎士団に、キミが何をしていたのかを言えばキミも監獄行きだよ!!」
ディケの声は動揺で上ずっていた。その様子を侯爵はニタニタと見つめる。
「誰が子供の言うことなど信じるか。ただの戯言だと、邪険にされるのがオチだぞ。」
侯爵の言葉に、ディケは唇を噛んだ。腕の中で、ゾーシが苦しそうに息をしている。
ーゾーシ……あっ!!そうだ、ぼくが昨日ウィグズリー侯爵に魔力を取られた時、ぼく達は真っ直ぐ向かい合ってた。それで、侯爵が手を…
「ガッ!!」
ディケは勢い良く立ち上がり、侯爵の腕を掴んだ。
「秘密はこれでしょ?」
侯爵の顔は、みるみるうちに青ざめた。
そういや、ちょっと考えてみまして、ノイとグレゴリオって、もし闘技場でタイマン張ってたら、どっちが勝ったんだろうなって。で、よし、真剣に思考を巡らせてみました。
まず、あの最初の拳が飛んでくるやつですね、初見殺しの。アレは…どうなるかな…ノイは多分、光の方へ歩く時、ずっと警戒体制をとると思います。急かされても、ゆっくりゆっくり、光に目を慣らしながら、歩く。で、拳も、光に慣れた目で、少し見えるんじゃないかなと。避けられるかは微妙ですが、六四の確率ぐらいで腕を掴みますね。そのまま引っ張って地面に叩き落とします。パンチの威力は凄まじいので、カウンターはかなり綺麗に決まると予想されます。因みに体格差は、平民で貧乏なノイはガタイはそこまで良くないですが、身長だけはありますし、幼いことに仕込まれた武術をめげずに特訓し続けたことで、筋肉量もまぁまぁあります。頭を使うノイと、客を楽しませ、駆け引きとパワーでゴリ押すグレゴリオは、意外と相性の悪いマッチかも。ノイの方が、勝率は高いと思われますね。自己回復もできますし、付与術も使えますので。と、いうわけで結論、ノイが勝ちます。はい。決定事項です。うわぁ、闘技場の王と呼ばれるノイくん…草。




