実はの裏話。ヒーローは魅せ方次第。
実はの裏話。そうそう、完璧にヒーローになれる人なんて、いませんよ。魅せ方次第です。てかまた教訓みたいな…!!
第五十七章
ここはパラディゾ領地、アイリスの森。
『…ここにはいないみたいだ。』
『でも、匂いは強くなってるね。近くに居るよ。』
「…うん。」
ゾーシが再び歩き出そうとした瞬間、何処かから男の剣幕が聞こえてきた。
「女達は諦めてやるんだ、さっさと行けよっ!!俺たちの仕事の邪魔をするな!!今日の客はお得意なんだよ!!」
「この国の法律では野生の動物達の売買は禁止されている!貴方方は犯罪者だ!!」
もう一人、別の男の声が叫んだ。
ー何か、揉めてる…?
『!ゾーシ、匂いだ!』
『あの声の主が、密猟団の連中だよ!』
兄妹の言葉を聞き、ゾーシは声の方に走り出した。
「…でも、そんな世界一のクソ野郎が、やってない事を、きみら如きがやっていいと思ってるの?」
ゾーシが木々の間を駆け抜けて見た光景は、先ほどの赤毛の女が、青い炎を右手に持ち、密猟団の一員だと思われる男を睨みつけている所だった。
「は、はぁ?!ぶぶ、物騒なもの出してんじゃねぇよ小娘っ!そんなもの…」
「最後の言葉は、それで良いよね?…シアンヘルフィオガ・レオ」
男は青ざめた顔で後ずさる。ゾーシはその光景を、ただ黙って見ておくことにした。だが、その考えは、もう一人、スラリと背の高い男が密猟団の男の近くに、ただ座り込んでいるのを見て、変わった。
「殺してやるよ。」
赤毛の女は、青く光る、巨大な火球を投げた。ゾーシは茂みから飛び出す。
「氷結魔法」
召喚魔法ほど極めている訳ではないが、一応覚えておいて損はないだろうと、習得しておいた氷結魔法を使用する。
「動物…いじめる…駄目だ…」
ゾーシは自分が持っているほぼ全ての魔力を使って、火球を止めた。少しでも力を抜けば、すぐに氷は溶けてしまうだろう。体中から汗が滲み出てくる。
「ここ、怖い、です…」
「しーっ!首を突っ込むことは得策ではありませんわよ。…この状況では特に。」
少し離れた所に、白い髪の二人の女が立っていた。背の高い方は、先ほど聞いた声で間違いはないだろう。小さい方は、ゾーシとさほど背丈が変わらないようだ。アカヤシオ色の瞳の、かなり可愛らしい見た目をしている。
赤毛の女は、冷たい瞳でゾーシを見据えていた。氷はどんどんと溶けて行く。ゾーシは限界を超えて行く程、魔力を注ぎ続けた。
「あ、あ、貴方、何者ですか…?!」
地面に尻をつけていた長身の男がサッと立ち上がって、ゾーシに尋ねた。
「自分は…ゾーシ…アイスレイクの守護者…」
ゾーシの声は、少し掠れていた。魔力切れで、頭がクラクラとする。
「お前、…動物、離せ。」
ゾーシは振り返って自分の3倍ほどもある男に言い放った。意識が朦朧としていて、早くこの空間を終わらせたかった。
「離せ。」
黙ったままで動かない男に、ゾーシは再び言う。
ー早く…しろっ…
「は、はははっ。ちょっと魔法が使えるからって調子に乗るんじゃねぇぞチビガキどもが!」
男は手に小さな兎が入った籠を持って立ち上がった。そして、いきなり走り出す。ゾーシは男を止めようとしたが、足がフラついて上手くいかなかった。
男は、そのまま赤毛の女の横を通り過ぎて、白い髪の少女の手首を掴み上げた。
ゾーシくんがノイくんを助けたのには、こんな理由やら背景やらがあったんですよ〜。いやぁ、多分シラフだったら、大男に、命令なんて、ゾーシ君はできないと思います。あはは。




