自由に生きろ。リバティマジック。
五十五章なので、盛大にかっこつけようかな。あはは。
第五十五章
「こっんの…クソガキ…っ!!」
ルドルフは引き金を引いた。
銃弾は真っ直ぐノイに飛んで行く。間に合わない。流石のノイも、弾丸を避けたり、掴んだりすることは出来ない。
ノイは覚悟を決めて、目を瞑った。数秒経つ。だが、ノイの体は痛みを感じなかった。恐る恐る、目を開く。
ノイの前には、赤髪の少女が立っていた。そう、ディケだ。
「ディケ?!貴女、何を…っ!!」
「何って、大事なギルドメンバーを守っただけだよ。大丈夫。そんなに痛く無いから。ほら、ぼく火炎魔法使うでしょ?熱さには慣れてるんだよね。流石に、皮膚は貫通するけど…」
ディケの右手のひらは、真っ赤な炎で覆われている。しかし、彼女の手から流れているのも、また赤い液体だった。
「ディケさんっ!!いくらなんでも、素手で弾丸を掴むのは、違うでしょう?!」
アニーが慌ててディケに駆け寄り、傷ついた右手に魔力を込めて手をかざす。
「ありがとう、アニー。」
ディケはウィグズリー侯爵に向き直る。
「ルドルフ・ウィグズリー。きみは犯罪を犯しすぎたと思う。きみが殺されても、誰も悲しまないよね。でもさ、ぼくらは違うわけだよ。家族も、友達も、ぼくらが死んで悲しむ人は大勢いる。そして何より、このギルド、リバティマジック。」
ディケは振り返って、ノイ、アニー、シェラを見る。
「ぼくはメンバーに、死んでほしくない。傷ついてほしくない。何にも縛られず、自由に生きてほしい。」
そして、もう一度、侯爵に向き合う。いや、本当に向き合ったのは、別の者だった。
「きみも、大切なぼくの仲間だよ。」
「…っ…」
ゾーシは息を呑んだ。あの時、ゾーシがノイを助けたのは、決して偶然ではなかったのだ。
時は、昨日の朝にさかのぼる。
ーこの森にも着たのか…あの密猟団の残党は…
ゾーシは木々は倒れ、草花が踏み荒らされた森の中を歩いていた。時々すれ違う動物達は、ゾーシを見た瞬間、すぐに何処かへ逃げてしまう。
「兄さん。姉さん。」
『どうした?』
『なんだい?』
「アイツらはどこへ行ったか、匂いで分かる?」
ゾーシは兄妹に一度アイスレイクで対決した時、密猟集団の一人から奪っていた、服の切れ端を兄妹に渡した。
『『任せな。』』
兄妹達は一斉に駆け出して行った。ゾーシは立ったまま、その背中をただ見つめる。
しばらくすると、兄が戻って来た。
『ゾーシ、もうあの匂いの持ち主はここにはいない。きっと、別の森に移動したんだ。』
「…馬車を使おう。姉さんは?」
『この近くに、湖があった。きっとそこにいる。』
「…そうだね。」
ゾーシと兄は、ゆっくりと森の中を歩き始めた。
ちゃんとした感じですねぇ。ディケの決意も聞けました。そう、自由に生きろ。縛られるな。自由を貫け。個人ギルド、リバティマジック。




