囚われのノイ・モーシアくん
トレスインフィニティを、よろしくお願いします!!!
第四十九章
「起きたかい?」
「…ルドの黒猫…」
「はっはっは!ルドの黒猫、いい響きだ。でもな、私の本当の名はルドルフ・ウィグズリー。この辺りを治める侯爵だ。さて、私も名を名乗ったことだし、お前も礼儀にのっとれば…」
ルドルフは口の端を上げて鎖で壁に繋がれているノイを見た。
「…ノイ…ノイ・モーシアだ…」
「そうか、モーシア。…まぁ、平民になど心底興味は無いのだが、今回は少し違う。私はお前の魔法に興味があるのだ。付与術。魔力消費もあまり激しくなく、簡単に扱える魔法だが、使えるまでの鍛錬がかなり困難だと聞く。なんでも、頭の中での術式だと、ごちゃごちゃと意識がおかしくなりそうになると、私の部下が言っていた。だがノイ・モーシア、お前はどうだ?一瞬で術式を展開させ、魔法を使う。攻撃系の基礎魔法とは違うのだぞ?どうなっている?お前の頭は一体!!」
ルドルフは興奮した様に声を荒らげた。
「…ただ、私は数多の歳月を使って、魔術習得に励んだだけだ。何も特別なことはしていない…」
「そんなわけがないだろう!!私の部下は二十何年もつぎ込んだ!!だが、使えるようになったのはたった一つ、威力増加の術式だけ!!しかも魔法陣を書かなければ使えなかった!!」
ノイは黙って侯爵を見つめた。
「そんな雑魚が私に必要だと思うか?アイツはすぐにあの闘技場へ送った。まぁ、すぐに死んだがな。」
「…」
「ノイ、こういうことだ。私に逆らう、もしくは役に立たない、様なことがあれば、お前はすぐにあの賭博闘技場行きだ。生涯を見せ物として過ごすか、私の下に付いて有意義に過ごすか。さぁ、どちらを選ぶ?」
「…」
ノイは侯爵を睨んだ。どちらの選択をしても、二度とディケ達には会えないだろう。
「…まぁ良い。期限は今日の朝、私が帰ってくるまでだ。8時を告げる鐘がこの屋敷に鳴り響いた時、お前が決断をしていなければ殺す。それじゃあな、ノイ。良い返事を待っているよ。」
ルドルフ・ウィグズリーはそう言って地下から地上へと続く階段を登って行った。
ーどうやって逃げたものか…この鎖、魔力封じの術がかけられている…私の体が一部分でもこの鎖に触れていれば、魔力を使うのは不可能だ…
ノイは周りを見渡した。小さな地下牢の様だ。だが、ノイの他には誰もいない。もうすでに、賭博闘技場へ送られてしまったのだ。
ノイは自分の所持品を確認する。まず、ズボンのポケットに手を入れ、父親の写真を取り出した。
「ふぅ…大丈夫だったか…」
写真の中の父は、こちらを見据え、優しく微笑んでいる。母が、ノイがお腹に居た時に撮った物らしい。
「私たちのことを…想ってくれていたはずなんだ…」
ノイは呟いて、写真をポケットに戻した。
腰に下げていた袋は、三つとも、奪われはしなかった様だ。一つには緊急時の為に入れていた非常食がまだ入っている。真ん中の袋には財布を、三つ目の袋には護身用にスタンガンを入れていたのだが…どちらも無くなっている。
ーおっ、お金が無くなっ…
平民のノイは自分が一文無しになったことに絶望した。だが、そこで気づく。三つ目の袋に、何か紫色の塊が入っている。
「なんだ…?石…?」
ノイがその塊を袋から取り出すと、塊は突然白い光を放ち始めた。
「なっ、なんだっ?!」
ノイは反射的に両目を閉じた。
続く…!!! いやぁ、ノイくん意外リバマジメンバー出てこなかったねぇ。いやぁ、尊。




