尊き貴族令嬢姉妹
いやぁ、パラディゾ姉妹は本当に、尊い
第四十四章
「それでは、私はディケを探しに行ってきますね。お二人は、先にお休みになっていて下さい。」
「…お三方が戻ってくるまで、わたくしは待っていますわ。」
ノイの言葉に、アニーは言う。
「ず、ずるい!アニーが寝ないなら、私も寝ないもん!アニーと一緒に、ノイさんとディケさん、ゾーシくんを待ってる!!」
「こらシェラ!あなたは早く寝なさい!お母様に言われたのでしょう?!」
「むぅ!!お、親の言いなりになっちゃ駄目なんだもん!!」
「どっ、どこでそんな変なことを…!!」
「本に書いてあった!!」
「その本は即刻没収よ!!」
アニーとシェラは取っ組み合いの喧嘩を始めた。アニーの方が体は大きく、シェラは簡単に抑え込まれると思ったが、小さいながらにシェラも小回りがきき、捕まりそうになったらバタバタと手足を振り回す応戦ぶりだ。
ノイは慌てて二人の喧嘩を止めようと間に入ったが、シェラに蹴られ、アニーに引っ張られてあっという間にボロボロになった。
「このっ、アニーのとんちんかん!!」
「いっ、言って良いことと悪いことがあるわよ!!」
「お、おたんこなす!!」
「シェ、シェラのおバカさん!!」
「お、おバカさんっ?!アニーひどい!鬼!!」
低レベルの言い合いにほっこりする暇もなく、ノイは部屋を閉め出されてしまったのだった。
シェラのベッドの傍のテーブルにちょこんと乗せられた子ウサギは、檻の中でブルブルと震えて、閉まった扉を縋る様に見ていた。
「パラディゾ姉妹の喧嘩を止めることができる人はいるのでしょうか…」
ノイは思わず呟き、ディケ、そしてゾーシを探すため、宿屋を後にした。
いやぁ、パラディゾ姉妹は本当に、尊い。尊い。全ての貴族が、こんなんだったら良いのにね。貴族の争いは、本当に醜い者ですよ。アニーとシェラがこんなに尊いのは、単に二人の心優しい両親のおかげですね。




