グレゴリオコール
ネーミングやばいですね。
第四十一章
「ここ…は…」
「よぉ小娘。」
「っ?!」
ディケは低い男の声で飛び起きた。
「思い出すな、3年ぐれぇ前にも、ガキが来た。まぁ、アイツはお前よりも年はいってなかったけどな。」
「…3年…?」
「あぁ。アイツのおかげで俺はずっとここに居座れてんだ。王としてな。」
「王…」
ディケは男を観察する。筋骨隆々で、かなり大柄だ。でも、それ以上に目立つのは、身体中にある引っ掻き傷と、十字に切り裂かれた顔面。きっと両目は見えていないのだろう。ディケが特に気になったのは、その傷が、ウィグズリー侯爵の左目についていた物と類似していたことだった。
「ウィグズリー侯爵は…?」
ディケは冷静だった。一つ、一つ、自分が置かれている状況を確かめようとしていた。
「ウィグズリー?そうだな、名前は知らねェが、偉そうに豪華な椅子に座ってる男ならいるな。今も、あの専用席に足でも組んで座ってんじゃねェのか?」
「…さっき、王になれたって言ってたけど…何の王?」
「それは…」
「レディースアーンドジェントルメーン!!今宵も国家騎士団どもの目を掻い潜り、この場に集まって下さったことに大変感謝申し上げます!!今夜も、大きな金が動くように、皆さんどんどん賭けて下さいねー!!さて!!今日一番注目の対戦表はー?!」
ディケは立ち上がった。真っ暗だった部屋に、一方向から明かりが射す。大柄な男もゆっくりと立ち上がる。
「さて、俺が先に出る。お前は後から出てこい。」
男はそう言うと歩幅を一歩一歩大きく、光の方へ歩き出した。
「ちょ、ちょっと待って!」
「黙れ。」
「!」
「俺は仕事中なんだ。邪魔するな。」
男の空気をビリビリと揺らす声に、ディケは思わず立ち止まる。
「俺の言うことを聞いておけ。早く終わらせてやるから。」
ーなんなんだこの人…早く終わらせるとか…でも、今はこの人の言うことに素直に従っておくのが、得策かも…
ディケは静かに後ろに下がる。男はその間も、ズシズシと光の方へ歩いていく。男の姿が光に包まれた時、大きな歓声が響いた。
「さあお待ちかね、我らの闘技場の王が現れたぞー!!3年前の生き残り、グレゴリオだー!!3年前、この闘技場は壊滅状態に追い込まれた!!そんな状況を救ったのは、全ての発端である『ルドの黒猫』!そして、その事件で最も被害を負ったにも関わらず、延命している我らの王、そう!グレゴリオー!!!」
「「「「「「グレゴリオ!グレゴリオ!グレゴリオ!」」」」」」
一斉にグレゴリオコールが巻き起こる。
『さてさて、もうベットするファイターは決まってしまったかな?!って、それは大変!賭けがつまらなくなる!!さぁ、完全復活したこの賭博場に再び悪夢が訪れるのか?!魔法を使う子供の登場だー!!』
ディケは自分のことを言っているだと察し、光の方へ恐る恐る歩き出した。
ーここは…賭博闘技場…ルドルフ・ウィグズリーはここに投資しているのか…でも多分、国のお金だ。不当なことに金を流すのは、犯罪っていうのはあの人も、絶対に分かってる。侯爵、キミは許せない。
覚悟を決めたディケは、光に包まれ……左から、拳が飛んできた。
闘技場編?かな?




