人間不信の理由 ー召喚魔道士ゾーシー
よろしくお願いします!!
第三十六章
ピコ!母さん!!なんで自分を置いていった?!なんで戻ってこない?!なんで、なんで、森の結界が消えたの?!そのせいで、兄さんと姉さんは…母さん、無事でいて…自分を、一人にしないで…
アイスレイク事件
3年前、突如一つの森が壊滅した。壊滅とは。その言葉通り、水は濁り、森の草木は枯れ、動物が一匹たりとも森で見られなくなった。アイスレイク事件を引き起こしたのは、ある動物密猟集団だった。集団はアイスレイクに沢山の捕獲、殺傷道具を持って乗り込み、動物たちを捕まえ、毛皮を剥いだり、目をくり抜いたり…そして殺した。
ゾーシはアイスレイクの森にピコ、そして二人の兄妹と住んでいた。兄妹とゾーシは血が繋がっていたわけではなかった。ただ、強い絆で結ばれていたのだ。ゾーシをとても可愛がっていた兄妹は、ゾーシの目の前でハンター達に殺された。
ゾーシはピコに教わった召喚魔法で応戦したが、大の大人の集団に幼い子供が一人で敵うわけがなかった。とどめを刺されるかという時、丁度森周辺を馬車で走らせていた領主の騎士団に救われた。しかし、森はもう元には戻らないだろうと、領主は言った。
「私の妻は数年前に亡くなってしまった。子供を身ごもっていたのに。男の子だったそうだ。…ゾーシ、私の子供になってくれないか?悪いことはない。」
領主にそう頼みこまれたゾーシは断ることが出来なかった。
ゾーシは領主とその召使い達にとても良くしてもらい、邸宅での生活は一年過ぎた。ゾーシはその間も殺された兄妹達、そして、居なくなったピコのことを考えていた。
ある日、領主が見せたいものがあると真夜中にゾーシを街に連れ出した。領主は森の中に建てられた大きな建物にゾーシを連れて行くと、ゾーシをそこに居た仮面の男たちに引き渡した。
「コイツは召喚魔法を使う。まだ子供だが、勝負にはなるだろう。」
領主は確かにそう言った。
「勝負…?な、なんだ?ここはどこなの?父さん…!!」
ゾーシはどこかへ去ろうとしていた領主に尋ねた。領主は答えなかった。静かに扉が閉まった。
ゾーシは仮面の男に腕を引っ張られ、巨大な扉の外に押しやられた。すぐに後ろの扉が閉まる。ドンドンと叩くが、返答もなく、扉も開かない。
ゾーシは光の射す方へゆっくり歩いた。前に歩くしかなかった。光が強くなり、目を瞑った瞬間、殴られた。右に身体が跳ぶ。
「…は?」
目を開けると、目の前に巨体の男が立っていた。筋骨隆々で、偉そうにゾーシを上から見下ろしている。男は口を開いた。
「おいおいおいおいおいっ!!!なんだァ?この弱っちいガキはァ?!魔法が使えるっーから相手してやろうと思ったのに、こんなにヘナチョコじゃ一分も保たねェぞ?!」
男が声を張り上げる。
ー相手?一分も保たないってなんだよ…なんでいきなり自分を殴ったんだ…
ゾーシは男を睨んだ。黒い両目で。
色々よろしくお願いします!!




