プロローグ 惨劇の始まり
夕暮れの太陽が傾きを見せ、ホームには帰宅途中の学生達とサラリーマン風の男が10人と少しいた。
海岸線が目の前にあり、南には海、北には山というロケーションだった。
その駅に電車を待つ少女が1人ホームの一番前に立って英単語帳を出して覚えていた。
ブレザーに膝上のスカート、そして丈の短いスカートからは太ももが見えていた。
髪の毛は肩まで下ろされ、あどけない藍色の瞳が少女をより魅力的に見せていた。
女の子は、風にスカートを少し押さえた。
角度によっては強風が吹けば見えてしまうかもしれない、そんな丈のミニスカートだった。
電車が到着するのか、やがて少女の後ろに何人かの人が並ぶ。
「電車が到着致しますので、白線の内側でお待ちください」
女性のアナウンスが流れて、電車が近づいて来た。
人々はそこに思い思いに偶然に居合わせた。
他人を意識することもなく。
そう、ただ1人の例外を除いて。
前を見ている少女からは、気づかなかったかもしれない。
後ろの男が少女の方に両手を向けていた。
そして……。
その手で、彼女を押した。
列車の非常停止音、金切りのブレーキ音、そして、
「いやああああっ……」
惨劇を見た少女の悲鳴。
救急車、救急車だ。
駅員の慌てた声がした。
「生きてるのか?」
そこに居合わせたサラリーマン風の男が気遣うように視線を向ける。
その後ろで、同じクラスの狩野結衣は膝を落としていた。
「なんで、どーして」
やがて、救急車とパトカーのサイレン。
その日、白石琴乃は死んだ。
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