これで終わりではなかったのか
昨日投稿できると思ったら話が崩壊しすぎてできんかったわ
結局ホームルームは何事もなくを終えることができた。というかこれ以上何か起きたらたまらない。
あの後は自己紹介と学園生活における注意事項の説明で終わった。学級委員とかの役割とかその他もろもろは後日行うらしい。
幸いイヴみたいな頭のねじがはずれかけているような人はいなかった。つまりクラス内ではイヴとヒトリスさんに注意すれば大丈夫なはずだ。
ただ貴族の数が例年より多い気がする。このクラスだけではなく学園全体でだ。どうしてかわからないが少し注意した方がいいかもしれない。
ホームルームが終わった後テオに一緒に帰らないかと誘われたが断った。この後学園長に挨拶をしないといけないからだ。
現在私は応接室の前にいる。この学園に入ってから挨拶もしていなかったので今日のうちに済ませようと思ったからだ。ただ・・・・・・
「入りたくねぇ」
あんなに騒動を起こしてどの面下げて会えばいいと会いうんだ。しかも私ほとんど関係ないのに。
最初は学園長室で話しあう予定だったのだが教室を出た時に場所の変更を連絡されたのだ。長く話し合う気満々で笑えない。
元凶の2人は連れて来てない。レオンは教室に出向いたときはもういなかったし、イヴは連れてくるのが少し怖かったからだ。なにかぶっ壊しそうだし。
「はぁ・・・・・・」
思わずため息を吐いてしまった。ここで現実逃避をしても事態は好転しないし、約束してた時間を過ぎてしまう。この機会を逃すと次がいつになるかわからないのだ。いつまでも扉の前でうだうだするわけにはいかない。
「失礼します」
扉を開けると意外にも質素なつくりをしていて驚いた。国が運営していて貴族の来客もあるからもっと豪華絢爛かと思っていたが違ったようだ。
部屋のつくりは細長く、家具も真ん中に机とソファーがあるだけで必要最低限のものしかない。
学園長はソファーに座って笑顔で私を迎えてくれた。今年で80歳だったはずだが外見は20代といわれても違和感がないほど若い。さすがエルフ、長寿族なだけある。
そしてすぐ後ろの壁は部屋のデザインなのか殴られたように大きくくぼんでいた。心なしか学園長の顔も青白い。
「・・・・・・失礼しました」
私はすぐさま扉を閉めた。
思えばそんなに急ぐことではなかったのだ。今日はいろいろと問題が起こったし、後日訪問した方が学園長も私もゆっくりとお話ができるだろう。
そう思い踵を返した瞬間後ろの扉が開き、何かが私の肩を掴んだ。
「ま`~ち`~な`~さ`~い`~」
「ーー!!」
この後私の悲鳴が校舎中に響いたのは言うまでもない。
「まあ、座りたまえ」
「よ、よろしくお願いします」
何が『よろしくおねがいします』なんだ。自分で言ってることがだいぶおかしいぞ。
学園長と向かい合わせで座っているが汗が止まらない。だってへこんだ壁がばっちりと見えるんだもん。容疑者なんてあいつしか思いつかないし。
問題が起きないように連れてこなかったのにすでに問題を起こしていたとは一周回って感心する。
いや、状況証拠だけで決めつけるのはよくない。後ろの壁について何も語らないということは私たちと無関係なのかもしれない。
「ち、ちなみに後ろの壁はどうなされたんですか」
聞きたくないけど避けられないことだろう。どうせ聞くなら私は早めに終わらせたい。
「ああ、これ。自分をカイト君と同じクラスにしろと言いながら殴ってきた人がいて・・・・・・」
「申し訳ございませんでした」
はい、アウトー。完全に黒です。
どうしてイヴが一緒のクラスにいるか不思議だったんだよ。あいつもマスターコースに入る予定だったしな。
ここ最近破壊活動は行われてなかったのにどうしてなんだ。禁断症状か?
今日だけで机の破壊に応接室の壁の損傷、加えて天井の件も危うい。私たち控えめに言って退学では?
不安が顔に出ていたのだろう。学園長が察したように言ってくれた。
「心配しなくても退学にはしないよ。上の学年では別にめずらしいことではないんだ。それに君たちの護衛には期待しているからね」
それならよかった。任務初日に任務失敗とか笑えない。ただ私たちにそんなに期待しないでほしいです。3人とも守護というより破壊のほうが得意なので。
「それに君のときに比べればかわいい方だしね」
「は、ははハハ・・・・・・」
実はこの学園に来たことがある・・・・がわけあって校舎などには立ち寄ってなのだ。私が見た光景は中央競技場の施設内だけだ。
ちなみにこの学園には3つの競技場と5つの体育館がある。前者はおもに試合や決闘をするため。後者は普段の授業で使うためだ。
その中で中央闘技場は3つの闘技場の・・・・いや、この学園施設の中でもっとも価値が高い建物だと思う。
まだ組織に入ってない頃、そこでとある実験を行った。・・・・・・が結果を言えばこの学園が吹き飛ぶ1歩手前までいった。そう思うとサリオス領での出来事も私は強くは言えないな。
「そんなことより、ヒトリス家のお嬢ちゃんの様子はどうだった。」
「突然話題を変えますね」
「嫌ならさっきの話に戻ってもいいんだよ」
「いえ、結構です!」
今日はもう胃が痛い思いをしたくない。
ヒトリスさんの様子か。そんなにしゃべってないしぶっちゃけわからないな・・・・
「彼女ですか? 芯がとても強そうなイメージでしたね。以前の彼女を知らないので、それがおかしいかどうかわかりませんが」
「そうか。それならいいんだか・・・・・・」
「そんなにやばい状況なんですか?」
「そういうわけではないんでけどね。ただ帝国の動きがキナ臭くてね。もしかしたらなにかあるかもしれないね」
「そうですか・・・・・・」
帝国とはこの王国の隣にあるレプトン帝国のことだ。そして帝国の上にナパム神聖国があるのだがいまこの2国がすこし危うい。
原因は帝国の皇帝が神聖国の第四王女を側室にしたいらしいのだが神聖国の教皇がずっと断っているからだ。
というのも神聖国側はこの結婚に大きなメリットがないのだ。
帝国は急激な成長に治安維持や資源が間に合っていない。もし政略結婚をしても帝国から神聖国に何も入ってこないのだ。むしろ支援金などを出すのは目に見えている。
属国にできるほど小国ではない、かといって特別秀でてる部分もない。なにより皇帝は24歳ですでに6人もの側室がいる。教皇としても1人の父親としても許容できないのは当然だ。
ただここで問題が起こった。なんと皇帝らしき人物が単独で神聖国の城に直接侵入して王女を誘拐しようとしたらしい。
もう意味が分からない。もしこれが本当ならフットワークが軽すぎるし皇帝が犯罪をふつうに起こすとか頭がいかれてるとしか思えない。
幸い王女は誘拐されなかったがこれを知った教皇は激怒し帝国に抗議文を送り付け、明確な証拠もなく犯人として決めつけるなと皇帝も怒り狂って詫びに娘を差し出せと要求してもうめちゃくちゃになってるらしい。
一見王国とは何の関係もなさそうだがそうではない。実は第四王女がこの学園に秘密裏に留学してるのだ。
ていうのも教皇がカイトのことをずいぶんと信用しているらしい。城で守るよりはカイトと一緒に学園に入学させるくらいには。いったいいつ二人が邂逅したか全くわからないけど。
「とにかくヒトリスさんの動向を注意すればいいんですよね」
「ああ、彼女が不審な動きをしないか見といてくれ」
そこまで来ているのか。想像以上に早くことが動きそうだ。
「ほかの三人は?」
「一人はともかく残り二人は今のところ問題なさそうだね」
それならよかった。一人の方も帝国関連だから一遍に片付くといいんだけど・・・・・・
「あ! そういえばマスターコースの床がぶち抜けた件は何だったんですか」
ここまで来たらもうやけくそだ。どうせ3件も4件も大して変わらないだろう。私のメンタル以外は。
「ああ、あれはレオン君とは全く関係ないことだから心配しなくても大丈夫だよ」
よかった、レオンじゃなかったのか。心配事が一つ減るだけでこんなに心が軽くなるのか。
「それならよかったで・・・・・・」
「あの床ぶち抜いたのはアイリス君だからね」
「よくねぇ!」
どうやら神様は私に休息を与えてくれないらしい。まあ、そのシワ寄せがこっちに来ないからいいか。
「おっと。そろそろ時間だからお開きにしますか」
「え! もうですか?」
まだ時間の余裕はもう少しあったはずだ。今日起こった問題の対処とかで早まったのかな?
「いや、君は反省文を書かないといけないからね。時間は十分とらないと」
「・・・・・・え?」
そういうとどこから取り出したのか学園長は紙と羽ペンを渡してきた。心なしか表情が明るい。
「ま、待ってください! 私何かしましたっけ?」
残念ながら全く心当たりがない。問題を起こしたイヴとレオンはともかくなぜ私なんだ!?
そんな疑問に学園長はちゃんと答えてくれた。
「ハイド先生から聞いたけどあの二人の保護者なんでしょ? だったら責任はちゃんと持たないと」
あの野郎! なに根も葉もないことを言っているんだ。
冗談じゃない。私が何であの二人の尻拭いをしないといけないんだ。
「ちょっとあの二人を呼んで・・・・・・」
-ガシッー
「逃げちゃだめだよ~」
「・・・・・・はい」
あの野郎、次あったら許さない。
心の中で呪詛を吐きながら、結局私は3件分の反省文を書くのだった。
皇帝が若い・・・・
次回の投稿は金曜日です。
余裕あったら木曜日に出すかも