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攻略対象とマリアネラの意志

説明回になりそうです。いや、なります。

 『シクラメンの花君』

 前世の私──千聖がプレイしていた乙女ゲームの名称。シクラメンの花言葉「内気」「はにかみ」といった性格の男爵令嬢(ヒロイン)が王子や貴族子息と恋をする物語である。


 そして今の私──マリアネラ・グティエレスがこのゲームにおける悪役令嬢だ。誰もが想像するように我儘・高飛車・癇癪という嫌な奴3段活用が全て備わったトンデモな令嬢。王子やお兄様との恋を邪魔したり、虐めたりするのである。


 ストーリーとミニゲームをクリアすると攻略対象の好感度が上がる。それによって様々なイベントが発生する。最終的に、マリアネラはヒロインを精神的・肉体的に追い詰めたという理由でよくて投獄、悪くて国外追放という可哀想な結末を迎えるのだ。


 せっかく大好きだったゲームの世界に飛び込んだのだ。絶対に生き残って見せる!


 (攻略対象によっては少しは刑がマシになるのだけど……。やはり処刑されないのが1番ね。とりあえずストーリーと処刑内容を纏めて、1番いいのは攻略対象の婚約者にならないようにしなくては。)


 記憶も大分鮮明になってきた。マリアネラは4枚目の紙に手をつけ、更に書き連ねていく。


 (次は攻略対象についてね。私はプレイ途中で死んじゃったから具体的なストーリーは分からないのよね。)

 

 攻略対象は3人と2周目以降に開放される1人。合わせて4人いる。


 (王道というか、無難なのがハビエル王子ルート。あとはサンお兄様のルートね。)


〇攻略対象その1 : ハビエル・サン゠ディアンソロ


この国『ディアンソロ王国』の第1王子。アイボリー色の髪と美しいラピスラズリを埋め込んだような瞳はこの国ではとても珍しい容姿をしている。

王家主催の社交界デビューお茶会の時、庭園で迷子になったヒロインと出会う。内気なヒロインに王子は紳士的に接し、次第にヒロインと仲良くなっていく。

最終的にマリアネラは国外追放。ヒロインは晴れて王妃になるのだ────。


 (何が王妃になるのだ────。だよ!こちとら大問題だぞおい!)


 淑女らしからぬ言葉遣いをしてしまったが、誰も聞いてないし聞けやしないので良しとする。



〇攻略対象その2 : サンダリオ・グティエレス


悪役令嬢マリアネラの3つ上の実兄でグティエレス公爵家の長男。マリアネラやライネリオと同じパールグレーの髪にミントグリーンの瞳の持ち主。

ヒロインとは王家主催の社交界デビューお茶会で出会う。王子と違うところはヒロインが途中でお茶をこぼすということ。そこにお兄様がすかさず手を差し伸べたのがきっかけで仲良くなる。

最終的にマリアネラは断罪・投獄される。ヒロインはお兄様の嫁になるのだ────。


 (私はもうつっこまないわよ。多分国外追放しなかったのは私が実妹だからね。)


 実妹でなかったらと考えるとゾッとするものだ。



〇攻略対象その3 : アダン・モリエンテス


マリアネラの実父グティエレス公爵に使える秘書。モリエンテス伯爵家は、代々王宮役人に仕える秘書を育て上げている。その腕は一流なんだとか。



 (アダン秘書はプレイ出来ずに死んじゃったのよね。だから詳細が全く分からないわ。)



 処刑内容だけでも分かればいいのだけど……。と悩んでいた頃に外は明るくなってきた。



 (とりあえず10歳の社交界デビューお茶会まではほぼ安全ね。その後についてと妃以外に何になれるか考えなくては……。)


 もうすぐマリアネラ付きの侍女が来る頃である。6枚ほどにかさばった紙を小さな引き出しの奥に仕舞い、素早くベッドに潜り込み、マリアネラはぎゅっと目をつぶった。



 (私は妃にならない。この世界で絶対生きていく!)

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