今の私
拙いですが書きます。よろしくお願いします。
マリアネラ・グティエレスは夕日が差し込む屋敷の中で父と兄の帰りを待っていた。手にはついさっき書き留めたメモ用紙が握られている。今日は大好きな3つ年上の兄、サンダリオが父グティエレス公爵と共に初めて王宮へ行った日だった。
父は由緒ある名家グティエレス公爵家の家長であり、王宮では軍事大臣として頭角を現していた。父は毎日のように王宮で仕事に追われている。家計を継ぐ長男サンダリオはその仕事を見学するべく、今朝王宮に向かった。
昔から好奇心が旺盛で、様々な事をサンダリオと1つ年上の兄ライネリオから教えてもらった。サンダリオが社交界デビューした時はどんな雰囲気だったかとか、ライネリオが最近読んで面白かった本はどんなものなのかとか、とにかく聞いて聞いて聞き続けた。
だから今日もサンダリオに、王宮はどんなところだったのか、父はどんな仕事をしているのか等聞きたいことでいっぱいになっていた。紙に書き出せば10個近く質問が浮かび上がった。それをしまっては出して確認し、しまっては出して確認しを繰り返していた。
「落ち着かないわね、マリア」
いつの間にか近くに来ていた母は、可愛い娘を愛でるように言った。近くには1つ年上の兄ライネリオもいる。
「お母様!ライお兄様!だって王宮なんて行ったことないんだもの。ライお兄様だってそうでしょう?気になって仕方なくて!だから今からどんなところか聞くのが楽しみなの!」
「そうか。マリアが楽しそうなら何よりだな。」
「そうね。ふふふ。」
ライネリオと母はマリアネラの座るソファの向かいに座り、マリアネラと共に父と兄の帰りを待った。
「ただいま!」
「ただいま」
しばらくすると玄関から大きな声がした。兄と父の声だった。
「あなた、サン、おかえりなさい。」
「お父様、お兄様、おかえりなさい。」
「サンお兄様!お父様!おかえりなさい!王宮はどうだった?」
マリアネラは待ちきれないと言わんばかりに兄に飛びついた。サンダリオは驚き、しかし嬉しそうにマリアネラの話を聞いた。
「とても良いところだったよ。ただ、色んな役人やら他国の人間が歩いてるからずっと緊張してたけどね。」
「しかし初めて公務に携わったとはいえ、及第点をあげれるくらいにはよく出来てたぞ。これなら心配ないと思うぞ!」
普段からおおらかな父は、母にコートを渡しながら嬉しそうに笑っている。相当の出来であったのだろう。
「サンお兄様すごい!ねえ、聞きたいこといっぱいあるの!教えてくれる?」
「お兄様!僕にも教えてください!」
「ああ!どんなことから知りたいんだい?」
この時まだマリアネラは知らなかった。自分の好奇心が自分の首を締めているかも知れないということに。
のんびり更新していこうと思います。